TBS退社から8年経った今年、紆余曲折を経て20年生活した東京を後にして活動拠点を故郷北海道に戻したアンヌさん。
第26回となる本記事では、女同士の友情について考えます(以下、アンヌさんの寄稿)。
札幌に拠点を戻してからの“怒涛の一年”
春は門出の時期、変化の時期。テレビ局やラジオ局は改編の時期。皆さんはどんな春になりそうですか。私が故郷札幌に拠点を戻したのは2024年春のこと。振り返れば怒涛の一年でした。
札幌に愛犬と共に帰ってきたときは、まずは自分と大型犬リリーの生活空間を確保すべく実家の片付けから着手し、心身のコンディションを整えることが先決でした。
まだまだ自分の未来が見通せない、まさしく五里霧中の状況。今所属している札幌のモデル、タレント事務所に入らせていただいたのが6月。
TBS時代の私のことを覚えていてくれていて、絶対、できることがたくさんあるはずです!! と、一から私のマネジメントを引き受けてくれたのが、モデル事務所MODEAの責任者A女史です。A女史とは、初対面のときからウマがあうといいますか、初めて顔をあわせた瞬間から、ここで一緒に頑張らせていただこう、と決意させる、清潔さや芯の強さがありました。
事務所運営そのものが女性中心だったというところにも非常に惹かれ、すぐにお世話になることを決めさせていただきましたが、文字通り東奔西走してもらえたことで今日の私があります。
海外生活よりも学びになったこと

はっきり言って、20代の頃の私よりもアラフォーの今の私の方が数千倍良い仕事ができていると感じています。私にとって個人的に非常に良かったと感じているのは、TBSを退社した後、さまざまな世の中を拝見することができたこと。
海外で生活していた時期もありましたが、それよりも、たとえば、世の中の主婦の皆が日々どういう生活を送っているのか、何を感じて生きているのか、など生々しい現実の数々を目にすること、耳にすることができたという事実が、私の血となり肉となりました。
何気なく公園で犬の散歩をさせているご近所さん、いつも笑顔を絶やさないご婦人も、周りからは見えない苦しみや壮絶な悩みを抱えていることもあるということ。「生活」とは、実はドラマチックかつ深刻なものであるということ。
あのままテレビ局員で居続けたらなかなか見えなかった「世の中」というのを知り、学ぶことができ、幅広い視点を自分の中に構築することができたと感じています。
4月から新たなお仕事がスタート

今しかできない、大小さまざまな経験を積んだ私だからこそできることをしていきたいですし、そんな私だからこそご提供できるものもあるはず、と感じています。
さて、私は4月から日テレ系列のSTV(札幌テレビ放送)『どさんこWEEKEND』にてメインキャスターを務めさせていただくことになりました。
毎週土曜日9時25分から、北海道のレジェンド明石英一郎アナウンサー、マルチタレントの上杉周大さんとともに北海道に寄り添った情報をお届けする番組です。
札幌出身の私が、北海道の朝の情報番組でメインMCを務めさせていただくという、こんな光栄すぎるお仕事が来るだなんて……とまだ放送が始まっていないのですが、今からとてもドキドキしています。
今の私だからこそできるお仕事
イベントMCや、文筆業や講師業も私にとって不可欠な存在であり、どれが欠けても私ではないのですが、テレビやラジオで「アナウンサー」として仕事をしている姿が見たい、とお優しい言葉をかけてくださる方がいらしたのも事実。私は今北海道で、こうして、今の私だからこそできるお仕事をしています!と、改めてお伝えしていければと考えています。
毎日が勉強であり、どんな経験も無駄になるものはひとつもない。
月並みで、要所要所で目にするフレーズかもしれませんが、実はこれほど本質をついた言葉はないのかもしれません。
4月からまた新しい毎日がはじまります。新年度も「進撃のアンヌ」をモットーに、やってやりますよ。
みなさんもご一緒に!
<文/アンヌ遙香>
【アンヌ遙香】
元TBSアナウンサー(小林悠名義)1985年、北海道生まれ。お茶の水女子大学大学院修了。2010年、TBSに入社。情報番組『朝ズバッ!』、『報道特集』、『たまむすび』などを担当。2016年退社後、現在は故郷札幌を拠点に、MC、コメンテーター、モデルとして活動中。文筆業にも力を入れている。ポッドキャスト『アンヌ遙香の喫茶ナタリー』を配信中。Instagram: @aromatherapyanne