また、仕事の愚痴を口にした際には露骨に会話を切り上げたり、デート中「それ以上愚痴を吐くならもう今日はもうさようならだよ」と言われるように。
そしてついに先日「お前みたいに向上心がないやつ見てるとイライラする!」「あれが嫌だこれが嫌だって言ってる暇があるなら転職しろ!」と、彼氏はブチギレと一緒に“正論”を突きつけてきたという。投稿者は彼氏のその言葉と態度に怒り心頭のようで、文末には「つまんない正論しか吐けない男は反省しろカスが」と吐き捨てていた。
「黙って愚痴を聞いて共感して」は当然の権利なのか?
「共感してほしい」「ただ聞いてほしい」という気持ちでパートナーへ愚痴をこぼしたにもかかわらず、“しっかりとしたアドバイス”をもらってゲンナリした経験のある人は珍しくないだろう。同投稿には大きな反響が寄せられているものの、「思ってもないことに同調するのは酷い感情労働で疲弊するから無理」や「性格的に共感する演技をし続ける事が難しい」など、残念ながら投稿者への“共感”はあまりない。むしろ投稿者の「アドバイスとかいらないから、共感だけしてそれ以外は黙って話を聞いてほしい」という態度に、不満を示す声が多い。
投稿者と彼氏の関係性はわからないため憶測で語っていくしかないが、投稿者の投稿内容からは愚痴の聞き手、今回で言えば彼氏に対する配慮不足を感じる。「大変だったね」と相槌を打つことは一見簡単に思えるが、彼氏は機械ではなく投稿者同様に感情や何かしらの事情を抱えている人間だ。同じような愚痴を何度も聞かされればたまったものではない。
愚痴を聞かされ続け爆発した彼氏に、共感してしまう
急な自分語りで恐縮ではあるが、筆者も過去に交際していた女性から仕事に関する同じ内容の愚痴を何度も聞かされた経験がある。最初は「大変だったね」とそれこそ共感していたが、毎回同じ内容の愚痴を聞かされるのはしんどい。なにより、最初に愚痴を聞いていた時よりも元カノの周辺状況は悪化しており、「これまで何をやっていたのか?」と不信感さえ覚えた。むしろ「安易な共感は何もしないことを肯定しているのでは?」と不安にさえなった。
「正論しか吐けない男は反省しろ」投稿がバズった背景
改めて同投稿が盛り上がった理由を考察してみると、先述した通り“愚痴を聞く側の軽視”につきるのではないか。投稿者は「ただ辛い思いをしているんだから彼氏としてうんうんって優しく聞くだけでいいんだよ」と述べているが、愚痴を聞くことの難易度は低いものと考えている様子。たしかに一見、アドバイスするよりも「うんうん」と聞いているほうが簡単に思える。
愚痴ばかりを聞かされることは精神的に辛い。また、愚痴を話している時の話し手はほぼほぼ不機嫌だ。エナジーバンパイアやフキハラという言葉が誕生・存在している要因には、愚痴を聞くことに激しく負担を感じている人が多いことがうかがえる。だからこそ、その怒りや不満が今回の投稿で一気に破裂して盛り上がりにつながったように思う。
恋人関係に限らないが、愚痴をただただ聞いてもらうことの負担を意識できるようになれば、余計にいらいらすることはなくなるかもしれない。また、人間関係の不和は多少減らせるのではないか。
<文/高萩陽平>
【高萩陽平】
恋愛系のメディアで多数執筆。10年前からmixiやスカイプちゃんねるなどでネットナンパに没頭。数年前からマッチングアプリに参戦して結果を出し続けている。元アイドル、100キロ越えのふくよかさんなど、多種多様な女性との交際歴を持つ。