実は、便秘の原因は「食物繊維」や「水分」の不足だけではないのです! 今日は、勘違いしやすい落とし穴と、その他の重要な便秘解消法について、研究結果に基づいて解説していきます。ぜひ最後までご覧くださいね!
食物繊維を摂ると逆に便秘になる?
「便秘解消には食物繊維が必須!」とよく聞きますが、実は、その摂り方次第で逆効果になることもあるんです。そもそも、食物繊維には色々な種類があります。
特に要注意なのは、繊維が大きくて水に溶けない、不溶性食物繊維。
<不溶性食物繊維の落とし穴>
不溶性食物繊維は便のかさを増す働きがありますが、水分が十分にないと硬い便になり、むしろ便秘を悪化させる可能性があります。
ある研究では、便秘患者に対して食物繊維の摂取をむしろ減らすと、症状が改善したという結果が報告されています(※1)。日本人女性を対象にした1つの研究でも、食物繊維の摂取と便秘の改善には関係が見られなかったと結論付けられているのです(※2)。
つまり、やみくもに食物繊維を多く摂ることは得策ではない可能性がありそうですね!
水分だけでは便通が良くならない理由
続いては、水分について。「水をたくさん飲めば便秘は解消する!」という意見もありますが、こちらも実際はそう単純ではありません。理由は以下の2点。
水分は、小腸でほぼ吸収されてしまうため、摂取量を増やしても大腸に残る水分はごくわずか。茶色の宝石(便)は大腸で徐々に作られていくので、大腸に届かないと意味がないわけですね。
理由② 体のホメオスタシス機能(いつも通りを維持する機能)
どれだけ水分を沢山とっても、余分な水分は尿として排出されます。ですので、いくら飲んでも茶色の宝石(便)の水分量に大きな影響は出ない可能性があるのです。
研究結果をみてみると「1日500ml以下の摂取」だと、便秘が悪化する可能性が示唆されています。
大切なのは、飲む水分だけでなく、食事からの「食べる水分」も意識することだと分かっています。筆者も、水分量が多いお米や野菜、果物を積極的に摂るようにしていますよ!
他の“あるモノ”が不足すると便秘になりやすい!
食物繊維や水分以外で、まず注目したいのが以下の2つです。・食事からの摂取カロリー
・食事からの栄養素のバランス
便秘は、単に食物繊維や水分の問題だけでなく、エネルギー不足が原因となる場合もあります。体を動かすエネルギーが足りないと、腸の動き(ぜん動運動)も低下してしまうのです(※3)。
また、例えばマグネシウムや亜鉛、ビタミンB群などは、腸の働きをサポートする重要な栄養素。これらが不足すると、便秘リスクが高まることも示唆されています(※2、※4)。
便秘の改善は「体の炎症をとること」から
さらに、便秘の根本原因の一つに「体の炎症」があります。長期間の便秘は、腸内細菌のバランスを崩し、炎症を引き起こす物質が増加。これがさらに腸の動きを低下させ、悪循環に陥る可能性があります。
では、どうすれば良いのか? 近年注目されているのが、食事性炎症指数「DII」と呼ばれるものです。また難しそうな漢字が出てきましたね……(笑)。

・DIIスコアが高いほど「炎症を引き起こしやすい食事」
・DIIスコアが低いほど「炎症を抑える食事」
1つの研究では、DIIが高い(=炎症を引き起こしやすい食事)ほど、腸内細菌バランスが崩れ、「便秘のリスクが上昇したり」「便秘が慢性化しやすい傾向」が示されています(※5)。
DIIスコアが低く、便秘改善に良い食事の具体例などは、また別の機会に詳しくお伝えしますね!
便秘の原因は様々あるので、総合的にアプローチを
今回は「なぜ食物繊維や水分では便通が良くならないのか? 最新の便秘解消法を根拠を基に解説」というテーマでした。便秘の原因は様々あるので、単に食物繊維を増やせば良い! わけではなく、総合的にアプローチすることが大切です。もちろん、食物繊維や水分の意識も大切なので、続けていきましょう! 今日お伝えしたことも、まずは1つだけでも意識してみてくださいね。
出典(※1)Kok-Sun Hoら「Stopping or reducing dietary fiber intake reduces constipation and its associated symptoms」(2012)
(※2)村上謙太郎ら「Association between dietary fiber, water and magnesium intake and functional constipation among young Japanese women」(2007)
(※3) Shuai Yang 「Association of Dietary Energy Intake With Constipation Among Men and Women: Results From the National Health and Nutrition Examination Survey」(2022)
(※4)Wenyi Du 「The association between dietary vitamin B1 intake and constipation: a population-based study」(2024)
(※5)Zhang Zhuhui, Bi Chunlu, Wu Runsheng, Qu Muwen「Association of the newly proposed dietary index for gut microbiota and constipation: a cross-sectional study from NHANES」(2025)
<文/腸活の研究家ざっきー>
【腸活の研究家ざっきー】
腸活の研究家。「健康と体作りを後回しにしない」をモットーに、フォロワー11万人のInstagramでは、論文を元にした腸活情報や腸が整うレシピを発信中。Instagram:@zakii312、Twitter:@chokatu_zakii