夕子さんが介護職に就いたきっかけは、以前の職場が時代の流れにより事業縮小となり、解雇されたことでの転職でした。離職後に職業訓練を受講し、学びを生かして介護施設に就職。自宅からの距離や働きやすさの面から、ずっと同じ施設で働いています。
ボディタッチや胸を触られるのが当たり前
「私はもう慣れましたが、給料が安いことや仕事がキツいことのほかに、利用者さんたちからの性的な問題行動が多すぎて辞めていくスタッフも多いです。お年寄りになると性欲が減退すると考えている人も多いと思いますが、そういうわけでもありません」
「なかには入浴の介助中、振り向きざまに偶然を装ってキスをしようとする男性利用者さんもいます。洗えていない部分がないか尋ねると『もっと下、もっと下』と誘導したり、下半身を洗っているときに『いいよ、いいよ~!』と変な声を出したりすることも日常的です」
注意すると激昂、嫌がらせをしてくる高齢者も
そして、「注意するとプライドが傷ついたのか、激高したり粘着質な嫌がらせをしたりする人もいて、入職したての頃は心が折れそうになりました」と話す夕子さん。夜勤のときに用事もないのに何度も呼び出されたり、卑猥な言葉を囁かれたりといったこともありました。「はじめは驚きましたし、不快な気持ちになって仕事が手につかなくなることもあったほどです。でも先輩スタッフは軽く流し、動揺している私にも『あんなの、放っておきな』と言葉をかけてくれました。そのうち、いつの間にか慣れていったという感じです」
「介護の仕事だから」を理由にもはや無法地帯に
けれど、「なかにはそういった利用者さんの言動にうまく対応できず、辞めていく新人スタッフさんも少なくありません。給料が見合わないうえに利用者さんからの性的な言動が酷ければ、辞めたくなりますよね……」と、夕子さんはこれまでを振り返ります。
男女の利用者が夜の個室で“営んで”いることも
ほかにも、「抱えて起すときに胸を触られたりすることは日常茶飯事で、男性利用者から『夜のおともにしたいから』と勝手に写真を複数枚撮られることもありますし、スタッフたちの目を盗んで男女の利用者が夜の個室で営んでいることもあります」とのこと。「利用者さんの部屋を開けたら下半身を露出してニヤニヤしていた、なんてことも。もちろん施設にもよって違うと思いますが、介護現場の性事情は皆さんが想像している以上にヤバイです。私なんて50代ですが、70~90代の男性からすれば若い女性。性的な対象なんです」
そして、「こうした介護の現場に耐えて頑張っている職員もたくさんいるのだということを知ってほしいです」と夕子さんは続けます。人手不足が深刻化する介護の現場では、給料や労働環境だけでなく、利用者の性的な言動や行動に関しても何らかの対策が必要かもしれません。
<取材・文/山内良子>
【山内良子】
フリーライター。ライフ系や節約、歴史や日本文化を中心に、取材や経営者向けの記事も執筆。おいしいものや楽しいこと、旅行が大好き! 金融会社での勤務経験や接客改善業務での経験を活かした記事も得意。