今年の春夏もファッションは多様で鮮やかなアイテムが流行しています。
そんな中でも、さりげなく自然な形で流行を取り入れたいなら着目すべきは「デザイン」よりも「カラー」です。今回は、2025年春夏のトレンドカラー3色の上手な取り入れ方をご紹介します。
トレンドカラー①「モカ・ムース」
世界共通の色見本を作る米国のPANTONE社が、2025年に選定した流行色は「モカ・ムース」。ダークなチョコレートほど深くはない、柔らかさを感じさせるモカブラウン系のアイテムは身につける人に安心感と調和をもたらします。今年の春夏の新作でもこのモカムースから着想を得たカラーアイテムが数多く登場することが期待できそうですね。
モカ・ムースの注意点は
上品かつ洗練された落ち着きを表現するモカムースは、大人世代にとって得意とする分野そのもの。しかし、一歩間違えれば地味な印象を与えかねない危険さもはらんでいます。やってはいけないのは、全体的に血色感のない着こなしでまとめてしまうこと。モカムースに黒やグレーなどを重ね合わせると洗練さよりも「老け」を感じさせるので気をつけましょう。おすすめの配色は、モカムースの落ち着きをベースにしつつも、柔らかなアイボリーを差し色にしたり、淡いピンクや優しげなブルーでささやかな差し色を与えるとコーデに洗練さが加わります。
トレンドカラー②「ホライゾングリーン」
日本流行色協会が発表した2025年の流行色は「ホライゾングリーン」。自然界から生まれる雄大な深みのある青みグリーンは、広い視野で先を見通すというメッセージ性も込めて発表されました。
ホライゾングリーンの注意点
ホライゾングリーンを取り入れるときは、コーデが色浮きしないかに注意が必要です。ホライゾングリーンは彩度が落ち着いた青みカラー。
ライトベージュなどの柔らかくて優しい色合いのニュアンスカラーで色を馴染ませることが鉄則です。
トレンドカラー③「バレエピンク」
昨今、バレリーナアイテムのような可憐な素材、モチーフのアイテムが人気沸騰中。無論、カラーにおいてもこのバレエコアブームは影響しているようです。とくに今年は軽やかでロマンティックな「バレエピンク」がトレンド入り。
バレエピンクの注意点
とはいえ、バレエピンクはその名にふさわしいほど、可愛げのあるカラー。顔つきも肌の色も正真正銘の大人である40代の私たちは、見た目に違和感を覚えやすい色でもあります。避けたほうが良いのは、全身を可愛いデザインでまとめること、黒で無理やりクールにまとめることです。淡いピンクや優しげな締め色で馴染ませるのが大人コーデの正解。
ライトグレーやサックスブルー、インディゴブルー、同じくトレンドカラーのモカムースとの組み合わせもおすすめです。
メリハリをつけすぎるのも失敗のもと
コーデの配色バランスにおいて大切なのは、適度なメリハリです。全身を同じ色でまとめると野暮ったい印象になりますが、反対にコントラストがつきすぎても色同士がケンカしあって洗練された印象に見えないので注意しましょう。とくに昨今のトレンドカラーはコレと断定できない、柔らかい色や彩度のカラーが多く取り上げられているので、程よく馴染みの良い配色バランスというのがキモとなってきます。
<文&イラスト/角佑宇子>
【角 佑宇子】
(すみゆうこ)ファッションライター・スタイリスト。スタイリストアシスタントを経て2012年に独立。過去のオシャレ失敗経験を活かし、日常で使える、ちょっとタメになる情報を配信中。2023年9月、NHK『あさイチ』に出演。インスタグラムは@sumi.1105