ここ数年、若い世代の“献血離れ”が進んでいるそうです。このままでは、必要な血液がさらに足りなくなる恐れもあるとのこと。
少しの勇気と思いやりで他人の命が救えられるという事実、多くの人たちに再認識してもらいたいと願うばかりです。

 そんな今、注目してほしいのはXユーザーのめがね︎さん(@ZOZrcmxamdpRp1N)が2025年3月13日に発信したポストでした。

「RHマイナスA型不足のLINEお知らせが来たので、献血行ってきました。お決まりのハーゲンダッツをいただく。」

“日本人の500人に1人しかいない血液型”の女性の投稿が話題...の画像はこちら >>


RHマイナスの血液型はとても珍しい

 献血した後、献血ルームでもらった記念品のハーゲンダッツに舌鼓を打つめがね︎さん。目を引くのは、彼女の血液型です。ポストから察するに、どうやらめがねさんはRhマイナスA型のよう。

 Rh型は赤血球にタンパク質である「Rh因子」があるかないかで決まり、あれば血液型がRhプラスに、なければRhマイナスになります。輸血の際にRh型の合わない血液をもらってしまうと体が「これは自分の血じゃない!」と判断し免疫反応が起きてしまうことがあり、とても危険なんだそう。

 日本赤十字社のホームページによると、日本人のRhマイナスの頻度は0.5%で、約200人に1人(「RHマイナスA型」となると、約500人に1人)。希少なだけに、献血者の人たちへ電話やメールで個別に献血の依頼を行い、年に複数回献血してもらうことでなんとか賄っている状況とのこと。その連絡にめがねさんが応え、上記のポストにつながったということなのでしょう。

 Rhマイナスの方々が献血する意義や思いなどについて、ご本人に話を聞いてみました。

定期的に献血するようになった理由

“日本人の500人に1人しかいない血液型”の女性の投稿が話題に。その背景を本人に聞いてみた
※イメージです(以下、同じ)
――めがねさんは献血をよく行っているのでしょうか?

めがね︎:献血は定期的にするようにしてます。定期的に行うようになったのは、ここ数年です。


――定期的に献血するようになった理由を教えてください。

めがね:なにか世の中に貢献できることをそろそろしたいな、と思ったのがきっかけでした。「自分が一番役に立てそうなことはなんだろう?」と考え、手軽にできることなので献血をすることにしました。いつか、私がお世話になる日が訪れるかもしれないですし……。

――Rhマイナスは希少なだけに、継続的な献血協力が大事なんでしょうね。

めがね:私は献血ルームのLINEに登録しているので、必要なときは「不足があります」などのお知らせが来るようになっています。そのタイミングと自分の都合が合えば、できる限り献血するようにしています。

ただ、女性の400ml献血は年に2回しかできないと決まっています。また、前回の献血から一定の期間が開いていないとできません。自分の体調にもよるので、タイミングが合わないこともあります。

さまざまな理由で献血ができない人も

――ご自身の血液型がRhマイナスだと知ったとき、驚かなかったですか?

めがね︎:子どもの頃からRhマイナスだとは知っていたので、「自分の血液型はめずらしいんだな~」くらいの感覚でした。私を出産した病院で、母が知らされたみたいです。

――めがね︎さん以外に、ご家族でRhマイナスの方はいますか?

めがね︎:私の父と姉がRhマイナスで、息子たちはRhプラスです。


――お父さんとお姉さんも、定期的な献血を意識しているのでしょうか?

めがね︎:父は若い頃に輸血をしているので、献血はできません。姉は血液の成分の濃さが基準値以下なので、献血ができないらしいです。世の中にはさまざまな理由で献血できない人もいます。だから、私は「自分ができるうちは定期的に献血をしよう!」と思っています。

――ちなみに、今までご家族以外でRhマイナスの人と出会ったことはありますか?

めがね:今まで、友人や知人でRhマイナスの人と出会ったことはありませんでした。でも、もしかしたら知らないだけで周りにもいるかもしれませんね。私からすると家族のなかにRhマイナスが3人いるので、それほど「めずらしい!」という感覚は持っていないかもしれません。

――RhマイナスA型として生活するなかで、今まで遭遇した印象深いエピソードはありますか?

めがね:血液型の話題になったとき、私がRhマイナスだと話すと大抵は周りの人に驚かれます。あと、私は医療系の学校に通っていたのですが、血液型の簡易検査の実習のときにRhマイナスは私だけでした。だから、周りのみんなは自分の検査結果と私の結果を見比べてましたね(笑)。

「これからも定期的に献血しよう!」と改めて決意

――ポストに上がっていたハーゲンダッツ、おいしそうでした。すべての献血ルームがハーゲンダッツをくれるわけではないですが、いつも決まって利用する特定の献血ルームがあるのでしょうか?

めがね:いつも、決まった献血ルームを利用しています。
さまざまな献血ルームがあるらしいので、「ほかのところにも行ってみたいな」という思いはちょっとあります。でも、帰り道で体調不良になっても困るのであまり遠くまで行く勇気が出ず、毎回自宅から近いところへ行くようにしています。

――今回のポストには、社会的にも大きな意義があったと思います。めがね︎さんの本心としては、Rhマイナスである自分が献血する姿を発信し、「多くの人に献血してもらいたい」と啓蒙する目的もあったのでしょうか?

めがね:啓蒙的な意味は特にありませんでした。ただ自分の日常をポストしただけなのですが、意外にも大きな反響があってびっくりしています(笑)。感謝のリプなどもいただき、驚きつつも「これからも定期的に献血をしよう!」と改めて決意しました。

==========

 めがねさんのポストにはさまざまな反響が寄せられていますが、特に印象的だったのはRhマイナスA型の妊婦の方からのリポストでした。今回の投稿を見て、「安心して出産に挑める」「不安が少し減った」という心境になったそうです。

 献血を行えば、回り回って自分の知らない誰かを救えるかもしれない。それは、RhマイナスもRhプラスも同じです。若者の“献血離れ”が話題の今だからこそ、献血の必要性をより実感したポストでした。

<取材・文/寺西ジャジューカ>
編集部おすすめ