40~50代の中年期は、健康や仕事、家族におけるさまざま問題に直面することも増えて、不安や焦りを感じやすいもの。
そこで今回は、老いを感じておしゃれを楽しめなくなった時の「モチベーション回復のコツ」についてご紹介いたします。
「おしゃれをする気がしない……」は、あなただけじゃない
昔はあんなにおしゃれが好きだったのに、最近では何かを買うことも、着飾ることも億劫(おっくう)になってしまう。一度この考えにどっぷり浸かってしまうとどんどん気が滅入ってきて、おしゃれはもちろんメイクもしたくないし外出さえもしたくなくなってしまいますよね。そんな気持ちを抱く原因はひとつだけではありませんが、大きく影響しているのは見た目の変化。以前よりも肌はくすみ、シミやシワ、たるみ、ほうれい線ができたり、体型が崩れたりして「今さらおしゃれをしたところで……」という諦めの気持ちが出てくる人は少なくありません。また、その老化に抗うかのようにおしゃれをするのが“みっともない”と思う価値観も、ファッションへの意欲低下を増長させます。
その自己評価の低さや不安は、ミッドクライシスかも?
外見の変化が一気に見えてくる40代・50代は自信喪失をしやすい年代。人生の折り返し地点に差し掛かったこの時期に感じる、自己評価の低さや将来への不安、焦りや虚無感などは「ミッドクライシス」(別名「中年の危機」)と呼ばれています。「なんだか最近、おしゃれしたくない」という気持ちは、この世代ならば誰しもが抱える可能性がある、ごく自然な悩みなのかもしれません。
それでも、おしゃれはするべき? 諦めた方がラク?
さて、問題はこのミッドクライシスをどう捉えるか。おしゃれをしたいと思わないのに、無理におしゃれを頑張ろうとするのって、食欲がないのに無理にご飯を食べようとするようなもの。心と行動が一致していないことをやっても結局、長くは続きません。
ミッドクライシスを解消させるには、自己否定と将来への不安を取り除くことが先決です。
月に1度だけ「おしゃれを楽しむデー」を作ってみる
おしゃれに対する意欲が低下してしまう方は、もしかするとおしゃれはとてもハードルが高いものだと感じているのかもしれません。毎日きちんと身だしなみを整え、自分に似合うメイクをし、トレンドも少し取り入れて。周囲からイタいとか、若づくりとか、オバさんと思われないようにしなくては……! というネガティブをつぶしていくような視点でおしゃれを捉えてしまうと、おしゃれが楽しいものではなく義務的なものに感じて心が疲れてしまうのです。
無意味だけど自分が楽しくなってしまうものを
最初は少し面倒かもしれません。ですが、些細なことでもOK。例えば「ふだん使用しているリップよりも、鮮やかで華やかな色のリップをつける日」でも良いのです。「見ているだけで可愛いと思ったアクセサリーを、実際に身につけてみる日」にするのも素敵ですね。「どこに着ていくか分からないような、でも可愛いワンピースを着て近所のカフェに行ってみる」のも楽しそう。そんなふうに、無意味だけど自分が楽しくなってしまうものを身につけ、お出かけをしてみる日を1日だけでも良いので作ってみてください。
その些細な変化で、少しずつ自分への自信を取り戻し、おしゃれへの意欲、ひいては人生を前向きに楽しむチカラが湧いてきますよ。
おしゃれを“面倒なもの、見栄を張るもの”と思うとつらい
毎日をつまらなく単調にするも、面白おかしく楽しいものにするも、自分次第です。そして、おしゃれも同じく。身だしなみを整えることを“面倒なもの、見栄を張るもの、今の私には相応しくないもの”と思うと、ファッションがますます鬱陶しくなってしまいます。その気持ちはどうか、すぐに完全には捨てられなくても時には横に置いて、「今日は私が私のためにおしゃれを楽しむ日」というように、なんでもない日をちょっと特別なものにしてみましょう。
そこには正解も不正解も必要ありません。他者目線・他者評価も要りません。私が好きな私を探求し、私が私にOKを出せるようなおしゃれを楽しんでみてください。良いか悪いか分からないけれど「なんか楽しい!」そう思えたら、とても良い兆候です。ぜひ、心が少しネガティブになった時はこのことを思い出してみてくださいね。
<文&イラスト/角佑宇子>
【角 佑宇子】
(すみゆうこ)ファッションライター・スタイリスト。スタイリストアシスタントを経て2012年に独立。過去のオシャレ失敗経験を活かし、日常で使える、ちょっとタメになる情報を配信中。