※以下、各ドラマの一部ネタバレを含みます。
対岸の家事~これが、私の生きる道!~
まずは『対岸の家事~これが、私の生きる道!~』(TBS系、火曜よる10時~/原作:朱野帰子)。過去の出来事から専業主婦という生き方を選んだ主人公・詩穂(多部未華子)が、仕事と二児の育児に奔走するワーママ(江口のりこ)や、育休中のエリート官僚パパ(ディーン・フジオカ)をはじめ、生き方も価値観も違う人たちと交流する姿が描かれています。はじめは「また、専業主婦とワーママの対立構造か……」とモヤモヤしていたのですが、そんな単純な話ではありませんでした。それぞれの立場を慮りながらも、自分が自分らしく生きることの難しさと大切さを丁寧に描いています。多様性を謳いながらも制度や社会は追いついていない、現代のモヤモヤを言語化してくれるのも本作の魅力ではないでしょうか。
SNSを中心に、多くの共感を呼んでいる
例えば6話における“ロールモデル”の話題。「人生はビュッフェと同じ。誰かに『これもおいしいから食べろ』って自分のお皿に勝手にのせられたらイヤなように。私は私の選んだ人生を生きているだけなのに、“ロールモデル”と言われると誰かに役割を押しつけられているみたい」というのです。人生の選択をビュッフェの選択の難しさに例え、選択を押しつけられることへの窮屈感も分かりやすい。SNSを中心に、多くの共感を呼ぶ作品になっていることには激しく頷けます。

続・続・最後から二番目の恋
古都・鎌倉を舞台としたヒットシリーズの続編『続・続・最後から二番目の恋』(フジテレビ系、月曜よる9時~)は相変わらず高いクオリティ。
泣いたり笑ったりしながら、最後まで見守りたい
特に4話。幼い頃に脳腫瘍で手術を受けるも完治しなかった過去をもつ、真平(坂口憲二)の主治医が亡くなったことが明かされたシーン。主治医の死と向き合えずに不安を抱えるも、家族にはカラ元気で振舞い続けた真平。そんな彼に和平と典子(飯島直子)は愛のある厳しい言葉をかけ、万理子(内田有紀)「双子の私が気づいてあげられなくて、ごめんなさい」と謝ります。第1期から変わらない仕草で、泣きながら万理子の頭を撫でる真平の姿に、涙が止まりませんでした。台詞も、所作も、表情も、兄姉それぞれのキャラクターをとてもよく物語っているのです。もうみんな愛おしい! 彼らと一緒に泣いたり笑ったりしながら、最後まで見守りたいと思います。
波うららかに、めおと日和
そして春クール、今のところの筆者最推しは『波うららかに、めおと日和』(フジテレビ系、木曜よる10時~/原作:西香はち氏による同名漫画)です。
なつ美は男性への免疫がなく、旦那不在で始まった結婚生活に戸惑うも、懸命に家事に取り組みます。
ふたりのピュア演技が冴えわたる
2話の冒頭の新婚旅行では、お互いの見慣れない服装(瀧昌は真っ白な軍服で、なつ美は洋装)にときめきドキドキするも、気持ちを上手に伝えられない展開。観ていてニヤニヤしてしまいます。しかも芳根京子の抜群の透明感が、初心な新妻にぴったり! 瀧昌を演じているのは、朝ドラ『虎に翼』で梅子(平岩紙)の三男・光三郎ちゃんを演じた本田響矢です。両名のピュア演技が冴えわたっており、この春一番の癒しドラマといっても過言ではありません。何かとせわしない春、ほっこり作品に癒されている筆者ですが、皆さんはお気に入りの作品、見つかりましたか?
<文/鈴木まこと>
【鈴木まこと】
日本のドラマ・映画をこよなく愛し、年間でドラマ・映画を各100本以上鑑賞するアラフォーエンタメライター。雑誌・広告制作会社を経て、編集者/ライター/広告ディレクターとしても活動。X:@makoto12130201