女子SPA!で大きな反響を呼んだ記事を、ジャンルごとに紹介します。こちらは、「結婚」ジャンルの人気記事です。
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不倫事情を長年取材し著書多数のライター・亀山早苗さんがレポートする、不倫発覚後の“夫婦の行方”。(以下、亀山さんの寄稿)
夫の不倫は許せないが、だからといって簡単に離婚もできないと考える女性は少なくない。アキエさん(仮名・45歳)もそう結論づけて、淡々と日々を送っている。
たまたま夫が無防備にテーブルに置いていたスマホを見てしまったことから、ことが発覚。長年つきあっているような様子がわかったため、アキエさんはショックで体調を崩し、2週間も入院するほどだった。
夫のヨウジさんは平謝りしていたが、退院してきたアキエさんが「すべて聞かせてほしい」と問い詰めると、態度を一変させて逆ギレした。
「『もう会わない』『別れたよ。オレを信用できないのか』と怒鳴っては、しばらくたつと『本当に反省してる。見捨てないで』とすがりついてきたり。彼自身もバレると思っていなかったからパニックになったのか、あるいはただの演技だったのか、いまだにわかりませんが、とにかくその話は封印したかったようです。私は私で、とにかく真相を知りたかった。
親の代から会社で働いている番頭さんのような社員がいる。アキエさんは、「真相がわからないと私はもうこの家ではやっていけない。夫には言わないから知っていることを教えてほしい」と頼み込んだ。
ただ、彼女は当時結婚していたため、その配偶者も巻き込んですったもんだがあった。そして彼女は子どもを連れて離婚した。一説にはその子どもはヨウジさんの子だとも言われているらしい。そんなときヨウジさんはアキエさんと友だち主催の飲み会で知り合った。例の彼女と結婚することは親が許さなかったため、ヨウジさんはアキエさんと結婚した。
「その番頭さんが言うには、ヨウジさんもアキエさんのことが本当に好きだった、だから結婚したんですよって。でも私にはそうは思えない。夫は本当はその彼女と一緒になりたかったんじゃないかしら。
結婚生活は確かに不幸ではなかったけど、私にはどうしても夫のことが今ひとつわからないところがあったんです。
「彼女も働いていたけど、子どもの学資や生活の不足分は夫が出していたようです。本当はそういう細かいことも夫の口から聞きたかった」
それでも日常生活は待ってくれない。思春期にさしかかっている子どもたちに気取られないよう家事をこなし、会社での仕事もいつもと変わりなくおこなう日々が続いた。
「会社で夫と私が険悪になっているわけにもいきません。番頭格の社員は信頼できる人で、陰でいろいろ気遣ってくれました。日常ってすごいですよね。夫と例の件を話さなくても、なにごともなかったかのように仕事も家庭も回っていく……」
だからといって彼女が悩まなかったわけではない。心の奥にいつも重りを抱えているような不快感がある。
「夫は、例の番頭格の社員から私も全部知ったと聞いているはずです。それでも何も言わない。
きちんと話し合ったわけでもなく、何かケジメがついたわけでもなく、淡々と日常は過ぎていく。夫は以前と同じように子どもたちの学校行事にも出かけるし、夏休みは家族旅行もする。またあの話を蒸し返したら、せっかく凪(なぎ)が続いているところに波乱を起こしてしまうのはわかりきっていた。
「だから何も言えない。家出も考えましたけど、私はもう両親もいないので帰るところがない。なにより子どもたちと離れたくないし、子どもたちを連れて出たら私も生活に困る。夫も私が出ていったら会社経営がうまくいかなくなることはわかっている。お互いの利害が一致しているような気もします。だから波風たてないでおこう、と」
「それまでは週に1、2度はセックスしていたんですよ。
夫を憎みきれないからこその葛藤と苦悩がアキエさんにはある。表面上はごく普通にふるまい、夫婦で出かけなければならない会合などには一緒に出席する。周りからは「相変わらず仲がいいね」と言われるが、そんなとき、アキエさんはふと虚しくなるという。
「最近ではもう考えることもめんどうになってきたので、このまま仮面夫婦でいいんじゃないかと……。子どもたちが成人して夫が働けなくなったら会社を畳むなり誰かに譲るなりして、私はもらうものをもらって離婚したい。
そのためにも会社の業績は落とせないから、もう少し仕事の幅を広げていくつもりです。夫とも仕事の話はよくするようになりました。私の老後の費用を貯めるため、とは言えませんが(笑)」
毎朝起きると、「あと10年、がんばろう」とアキエさんは自分に言い聞かせる。結論はそのとき出せばいい。気持ちを切り替えて、彼女は今日も笑顔を作る。
<TEXT/亀山早苗>
【亀山早苗】
フリーライター。
(初公開日は2018年5月28日 記事は取材時の状況)
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不倫事情を長年取材し著書多数のライター・亀山早苗さんがレポートする、不倫発覚後の“夫婦の行方”。(以下、亀山さんの寄稿)
夫の不倫は許せないが、だからといって簡単に離婚もできないと考える女性は少なくない。アキエさん(仮名・45歳)もそう結論づけて、淡々と日々を送っている。
夫に愛人が……ショックで2週間入院
「結婚して15年、14歳と12歳の子どもがいます。5歳年上の夫は社員10人ほどの会社を経営していて、私も経理や総務の仕事を担っているんです。夫が自分の親から継いだ会社ですが、つい3年ほど前、夫に愛人がいることがわかりました」たまたま夫が無防備にテーブルに置いていたスマホを見てしまったことから、ことが発覚。長年つきあっているような様子がわかったため、アキエさんはショックで体調を崩し、2週間も入院するほどだった。

精神的ショックで入院
「『もう会わない』『別れたよ。オレを信用できないのか』と怒鳴っては、しばらくたつと『本当に反省してる。見捨てないで』とすがりついてきたり。彼自身もバレると思っていなかったからパニックになったのか、あるいはただの演技だったのか、いまだにわかりませんが、とにかくその話は封印したかったようです。私は私で、とにかく真相を知りたかった。
知らないままでは暮らせない」
親の代から会社で働いている番頭さんのような社員がいる。アキエさんは、「真相がわからないと私はもうこの家ではやっていけない。夫には言わないから知っていることを教えてほしい」と頼み込んだ。
結婚前から、20年も妻を裏切っていた夫
その結果、夫が社員だったその彼女とつきあい始めたのは、もう20年も前。ただ、彼女は当時結婚していたため、その配偶者も巻き込んですったもんだがあった。そして彼女は子どもを連れて離婚した。一説にはその子どもはヨウジさんの子だとも言われているらしい。そんなときヨウジさんはアキエさんと友だち主催の飲み会で知り合った。例の彼女と結婚することは親が許さなかったため、ヨウジさんはアキエさんと結婚した。

長年の愛人
結婚生活は確かに不幸ではなかったけど、私にはどうしても夫のことが今ひとつわからないところがあったんです。
常に心にうっすらバリアを張っているような気がしていた。だから夫の隠しごとを知って、むしろ納得できた面はありました」
すべてを知った妻の選んだ道
納得できたからそれですべてがチャラというわけにはいかない。そもそも、夫と彼女の仲は続いていたのだから。「彼女も働いていたけど、子どもの学資や生活の不足分は夫が出していたようです。本当はそういう細かいことも夫の口から聞きたかった」
それでも日常生活は待ってくれない。思春期にさしかかっている子どもたちに気取られないよう家事をこなし、会社での仕事もいつもと変わりなくおこなう日々が続いた。
「会社で夫と私が険悪になっているわけにもいきません。番頭格の社員は信頼できる人で、陰でいろいろ気遣ってくれました。日常ってすごいですよね。夫と例の件を話さなくても、なにごともなかったかのように仕事も家庭も回っていく……」

家庭
「夫は、例の番頭格の社員から私も全部知ったと聞いているはずです。それでも何も言わない。
彼女への支援も続いているんじゃないでしょうか」
きちんと話し合ったわけでもなく、何かケジメがついたわけでもなく、淡々と日常は過ぎていく。夫は以前と同じように子どもたちの学校行事にも出かけるし、夏休みは家族旅行もする。またあの話を蒸し返したら、せっかく凪(なぎ)が続いているところに波乱を起こしてしまうのはわかりきっていた。
「だから何も言えない。家出も考えましたけど、私はもう両親もいないので帰るところがない。なにより子どもたちと離れたくないし、子どもたちを連れて出たら私も生活に困る。夫も私が出ていったら会社経営がうまくいかなくなることはわかっている。お互いの利害が一致しているような気もします。だから波風たてないでおこう、と」
このまま仮面夫婦で、老後を迎えたい
夫が今も彼女と会っているのか、性的な関係があるのか、それもわからない。週に2、3回、仕事が終わると飲みに出かけるのも以前と変わらないからだ。ただ、少なくとも浮気発覚以降、アキエさんと夫との間はセックスレスだ。
家事
私は夫のことが好きだったんだと思う。でも今は……わかりません」
夫を憎みきれないからこその葛藤と苦悩がアキエさんにはある。表面上はごく普通にふるまい、夫婦で出かけなければならない会合などには一緒に出席する。周りからは「相変わらず仲がいいね」と言われるが、そんなとき、アキエさんはふと虚しくなるという。
「最近ではもう考えることもめんどうになってきたので、このまま仮面夫婦でいいんじゃないかと……。子どもたちが成人して夫が働けなくなったら会社を畳むなり誰かに譲るなりして、私はもらうものをもらって離婚したい。
そのためにも会社の業績は落とせないから、もう少し仕事の幅を広げていくつもりです。夫とも仕事の話はよくするようになりました。私の老後の費用を貯めるため、とは言えませんが(笑)」
毎朝起きると、「あと10年、がんばろう」とアキエさんは自分に言い聞かせる。結論はそのとき出せばいい。気持ちを切り替えて、彼女は今日も笑顔を作る。
<TEXT/亀山早苗>
【亀山早苗】
フリーライター。
著書に『くまモン力ー人を惹きつける愛と魅力の秘密』がある。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。Twitter:@viofatalevio
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