コンビの活動は継続しているが、相方の松井ケムリは吉本に所属してタレント活動を行うという特殊な形になっている。
一方、高比良は事務所を辞めたことでテレビ出演や舞台が減り、現在はコンビのYouTubeチャンネルで配信する動画をメインとして活動を行っている状況だ。
トミーズ雅「2億4000万円を捨てた」発言に物議
そんな高比良に対して、かつて吉本の先輩だったトミーズ雅が情報バラエティ番組『せやねん!』(MBS)にて「2億4000万円を捨てた」と発言し物議を醸している。この騒動を簡単に説明すると、トミーズ雅は高比良が『M-1グランプリ』で連覇した実績をもとに、「年収1200万円ぐらいを20年間もらえる権利がある」芸人だと解説。高比良は、吉本を辞めたことで2億4000万円損したというのだ。
この発言を受け、高比良は、令和ロマンのYouTubeチャンネルでネタにして紹介。動画の中で「僕はそんなこと本当に知らなくて。マサ算によると絶対なんだから」とし、吉本を辞めなければよかったと発言して笑いを生み出した。
高比良は、『M-1グランプリ2023』でさや香が披露して「大スベリ」した「見せ算」をモジッて「マサ算」としているだけに、トミーズ雅をネタにしていることが推測される。
このアンサーに、トミーズ雅は『せやねん!』で「4億8000万円」損したと、独自のマサ算で上方修正し、あらためて大金を失ったと発言。さらに、高比良も再度アンサー動画を自身のYouTubeで配信した。
この騒動を見たお笑いファンは、X(旧Twitter)上で「害悪」「恥ずかしくないんか?」「トミーズ雅なんて誰も支持者もいない」とトミーズ雅に猛バッシング。双方、アンサーのやり取りはネタ化しているが、トミーズ雅だけ悪者になった形だ。
「損する発言」背景にバランス感覚の欠如
なぜトミーズ雅は、そこまで関係性が濃くはない高比良に対し、自分が損する発言をしたのか?理由の一つに挙げられるのが、芸人としてのバランス感覚の無さだ。トミーズ雅は、元プロボクサーの肩書を持ち、ダウンタウンと同じ大阪NSCの1期生。全国区となったダウンタウンとは異なり、大阪を拠点に番組出演しているベテラン芸人だ。
正直、関西圏以外の人からは、ダウンタウンの同期だというころくらいしか認識がない。そんな立ち位置なのに、熱狂的なファンが多い高比良をイジるのは危険だということを理解していなかったのだろう。
大阪ローカルの番組はとくにトミーズ雅のホームグラウンドで、ある程度はどんな発言をしても視聴者が笑ってくれる。出演する芸人も、トミーズ雅に対して意見することはない。そういった環境の中で、うかつな発言をポロリとしてしまったのだろう。
それに、こんな発言をすれば、トミーズ雅が吉本至上主義者であるかのように見えて、SNSでバッシングを受けるのは火を見るより明らか。その辺りのバランス感覚も欠如している。
また、『せやねん!』は2001年から放送する関西ではおなじみの番組。ブラックマヨネーズやチュートリアル、千鳥、かまいたちなどの売れっ子芸人を輩出し、若手芸人の登竜門的な番組となっている。
人気番組なだけに、トミーズ雅も気がゆるんでいた部分もあるだろう。
そういった要因があり、言わなくても良いことを発言し、若い世代のお笑いファンから猛バッシングを受ける結果になったのだ。
高比良くるまは吉本を辞めて本当に大損?
高比良だが、本当に吉本を辞めたことで大損したのだろうか?まず、吉本を辞めてプラスになる点を考えると、ギャラがそのまま自分に入ることだ。今後、芸能事務所に所属するか不明だが、現状では個人事業主として、収益を直接得られる状況になる。
また、活動や出演番組について、吉本による確認をしなくて良くなり、フットワークは劇的に軽くなる。いろいろな仕事に手を出せるのだ。
相方のケムリが個人でのテレビ出演もある中で、高比良も個人活動をしていく可能性が高くなっている。
個人でのYouTubeチャンネル開設や執筆業、トークライブを有料配信しても客は集まる。さらに、オンラインサロンや芸人の利用者も多いnoteなど、高比良の知名度があればいくらでもマネタイズできる仕事がある。
すでに独立した芸人たちが、これらのプラットフォームを利用しているので、高比良も手を出すだろう。
高比良くるまの将来性:1億円プレイヤーへの可能性
また、令和ロマンのコンビとしての活動は認められているので、自主興行を打つことはできるはずだ。現在、ケムリが個人で行っている仕事は、他のM-1王者と比べるとそこまで多くはない。それだけに、漫才の単独ツアーはスケジュール調整次第で実施が可能だ。
2人の実力もさることながら、これだけ話題になっている中で、多くのファンがライブに訪れるだろう。
高比良といえば、初の著書『漫才過剰考察』(辰巳出版)がトーハン調べの「週間ベストセラー」でエンターテインメント部門の1位に輝いたこともある(2025年1月7日)。

金銭面だけで言えば将来性が明るい高比良。他の芸人も事務所を辞めたいと思うほどに、今年は大暴れを見せてほしいところだ。
<文/ゆるま小林>
【ゆるま 小林】
某テレビ局でバラエティー番組、情報番組などを制作。退社後、フリーランスの編集・ライターに転身し、ネットニュースなどでテレビや芸能人に関するコラムを執筆