本作を制作するうえで、プロデューサーを務める正井彩夏氏は、実際に女性用風俗店で働くセラピストに取材したという。以前よりは浸透してきているものの、依然として謎のベールに包まれている女性用風俗。取材ではどのようなことがわかったのかなど、話を聞いた。
女性用風俗店では、“行為”なしで帰る利用客も少なくない
そもそも、正井氏は取材を通して女性用風俗に対するイメージに変化はあったのか。
というのも、“性感エステ”を希望する利用客ばかりではなく、ただただ性の悩みを聞いて“何もせずに”帰っていく利用客も少なくないそうです。『女性の性欲を処理するところでしょ?』とイメージされていますが、性という相談のハードルが高い悩みに寄り添える重要な職業なのだと理解を深めました」
そして、「本当に“セラピスト”とはよく言ったものだなと思います」としみじみと語った。
女性用風俗だけで食べていけるセラピストは一握り?
続けて、「他の仕事をしながら兼業で働いている人も結構多いそうです」と、セラピストの切実な事情も話す。
実績を積まなければ指名されることは珍しいようだ。新人でも好まれやすい“男性用風俗”とはその辺りは大きく異なるのかもしれない。
良識ある客が多いが、認知が広がって変化も……
正井氏が聞いた中で印象的なエピソードを尋ねると、「“口でのご奉仕”の練習台として依頼する人もいるそうです」と明かす。「ドラマでも描かれていましたが、夫婦からの依頼が来たというケースがあったそうです。別に“3P”がしたいわけではなく、単純に『うまくセックスができなくなった』という悩みにアドバイスだけして、施術はせずに終わったそうです」

一気に倒産も。今後のジョフウ業界の動向は
今後の女性用風俗業界の動向についても、正井氏はこう語る。「数年くらい前から女性用風俗店が急増したのですが、最近は経営がうまくいかずに倒産してしまうこともあるそうです。儲からない背景にはいろいろありますが、研修制度が杜撰(ずさん)なところは、そのためにトラブルが起きてしまったりリピーターを獲得できないことなどが影響していそうです。言い換えれば、必然的に研修が充実している大手が残りやすい構図と言えます。

女子会の会話だと思って、気軽にドラマを見てほしい
女性用風俗に関するいろいろな話を聞いてきたが、最後に改めてドラマ『ジョフウ ~女性に××××って必要ですか?~』をどのように楽しんでほしいのかを聞くと、「居酒屋とかで隣のテーブルでやっている女子会の会話だと思って、気軽にドラマを見てほしいです」と語る。
これから転換期を迎えようとしている女性用風俗。どのように変化していくのかを観察するのも楽しみ方の1つなのかもしれない。






<取材・文&人物撮影/望月悠木>
【望月悠木】
フリーライター。社会問題やエンタメ、グルメなど幅広い記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている。X(旧Twitter):@mochizukiyuuki