ヤチナツ氏作の『真・女性に風俗って必要ですか?~女性用風俗店の裏方やったら人生いろいろ変わった件~』(新潮社)が原作漫画の、4月から放送を開始したドラマ『ジョフウ ~女性に××××って必要ですか?~』(毎週火曜深夜0時30分~、テレ東ほか)。本作は女性用風俗店を舞台に繰り広げられるヒューマンドラマとなっている。


「女性向け風俗」に意外と多い、“性行為をしない女性客”たち。...の画像はこちら >>
 本作を制作するうえで、プロデューサーを務める正井彩夏氏は、実際に女性用風俗店で働くセラピストに取材したという。以前よりは浸透してきているものの、依然として謎のベールに包まれている女性用風俗。取材ではどのようなことがわかったのかなど、話を聞いた。

女性用風俗店では、“行為”なしで帰る利用客も少なくない

 そもそも、正井氏は取材を通して女性用風俗に対するイメージに変化はあったのか。

「女性向け風俗」に意外と多い、“性行為をしない女性客”たち。性欲処理だけの場と思ったら大間違い
『ジョフウ ~女性に××××って必要ですか?~』のプロデューサーを務める正井彩夏氏
「もともと女性用風俗にネガティブなイメージはなく、“性の悩みに寄り添ってくれるサービス”とむしろポジティブに捉えていました。ただ、取材を通して具体を知ったことで、イメージは正直変わりました。

 というのも、“性感エステ”を希望する利用客ばかりではなく、ただただ性の悩みを聞いて“何もせずに”帰っていく利用客も少なくないそうです。『女性の性欲を処理するところでしょ?』とイメージされていますが、性という相談のハードルが高い悩みに寄り添える重要な職業なのだと理解を深めました」

 そして、「本当に“セラピスト”とはよく言ったものだなと思います」としみじみと語った。

女性用風俗だけで食べていけるセラピストは一握り?

 続けて、「他の仕事をしながら兼業で働いている人も結構多いそうです」と、セラピストの切実な事情も話す。

「女性向け風俗」に意外と多い、“性行為をしない女性客”たち。性欲処理だけの場と思ったら大間違い
Ⓒ「ジョフウ 〜女性に××××って必要ですか?〜」製作委員会
「彼らは基本的に、出勤すれば給料をもらえるわけではありません。多くの利用客に施術しなければお金にならないため、働き始めても数ヶ月は全然儲からない。施術してリピートしてもらって、また安定して指名してもらってようやく儲かるようになるそうです。そこから本業に転身するケースもあるものの、結局のところ3割ほどしか続かないと聞きました」

 実績を積まなければ指名されることは珍しいようだ。新人でも好まれやすい“男性用風俗”とはその辺りは大きく異なるのかもしれない。


良識ある客が多いが、認知が広がって変化も……

 正井氏が聞いた中で印象的なエピソードを尋ねると、「“口でのご奉仕”の練習台として依頼する人もいるそうです」と明かす。

「ドラマでも描かれていましたが、夫婦からの依頼が来たというケースがあったそうです。別に“3P”がしたいわけではなく、単純に『うまくセックスができなくなった』という悩みにアドバイスだけして、施術はせずに終わったそうです」

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Ⓒ「ジョフウ 〜女性に××××って必要ですか?〜」製作委員会
 ちなみに“過激なエピソード”はなかったのか聞いたところ、健全に利用する客が多いのか、インパクト抜群のエピソードは特になかったという。それでも、「女性用風俗が周知されて利用客も増えた結果、本番行為を求めるなどマナーを守らない人の増加に困惑しているセラピストも結構いました」と語っており、今後セラピストの過激な体験談は増えていくのかもしれない。

一気に倒産も。今後のジョフウ業界の動向は

 今後の女性用風俗業界の動向についても、正井氏はこう語る。

「数年くらい前から女性用風俗店が急増したのですが、最近は経営がうまくいかずに倒産してしまうこともあるそうです。儲からない背景にはいろいろありますが、研修制度が杜撰(ずさん)なところは、そのためにトラブルが起きてしまったりリピーターを獲得できないことなどが影響していそうです。言い換えれば、必然的に研修が充実している大手が残りやすい構図と言えます

「女性向け風俗」に意外と多い、“性行為をしない女性客”たち。性欲処理だけの場と思ったら大間違い
Ⓒ「ジョフウ 〜女性に××××って必要ですか?〜」製作委員会
 また、先述した通り、性的な悩みを相談したい利用客も多いです。ただ単に『性的な快感を与えるサービスを提供すれば良いんでしょ?』と思っている店舗は苦戦しているのではないでしょうか」

女子会の会話だと思って、気軽にドラマを見てほしい

 女性用風俗に関するいろいろな話を聞いてきたが、最後に改めてドラマ『ジョフウ ~女性に××××って必要ですか?~』をどのように楽しんでほしいのかを聞くと、「居酒屋とかで隣のテーブルでやっている女子会の会話だと思って、気軽にドラマを見てほしいです」と語る。

「女性向け風俗」に意外と多い、“性行為をしない女性客”たち。性欲処理だけの場と思ったら大間違い
Ⓒ「ジョフウ 〜女性に××××って必要ですか?〜」製作委員会
「別に『みなさんも女性用風俗店に行きましょう』と推奨したいとは考えていません。ドラマを通して『こんなサービスがあるのか』『こういう性の悩みを抱えている人がいるのか』『そんな悩みに寄り添ってくれる人がいるのか』と思ってもらえれば。
また、もしも悩んだとき、性の悩みを解消する一つの選択肢になったらいいのかなと思います

 これから転換期を迎えようとしている女性用風俗。どのように変化していくのかを観察するのも楽しみ方の1つなのかもしれない。

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Ⓒ「ジョフウ 〜女性に××××って必要ですか?〜」製作委員会


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Ⓒ「ジョフウ 〜女性に××××って必要ですか?〜」製作委員会


「女性向け風俗」に意外と多い、“性行為をしない女性客”たち。性欲処理だけの場と思ったら大間違い
Ⓒ「ジョフウ 〜女性に××××って必要ですか?〜」製作委員会


「女性向け風俗」に意外と多い、“性行為をしない女性客”たち。性欲処理だけの場と思ったら大間違い
Ⓒ「ジョフウ 〜女性に××××って必要ですか?〜」製作委員会


「女性向け風俗」に意外と多い、“性行為をしない女性客”たち。性欲処理だけの場と思ったら大間違い
Ⓒ「ジョフウ 〜女性に××××って必要ですか?〜」製作委員会


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Ⓒ「ジョフウ 〜女性に××××って必要ですか?〜」製作委員会


<取材・文&人物撮影/望月悠木>

【望月悠木】
フリーライター。社会問題やエンタメ、グルメなど幅広い記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている。X(旧Twitter):@mochizukiyuuki
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