大抜擢された白石聖
2026年1月よりスタートする『豊臣兄弟!』は、仲野太賀さん演じる豊臣秀長と池松壮亮さん演じるその兄・豊臣秀吉を描く物語です。永野さんは士豪の娘で秀長の幼馴染「直(なお)」役を演じる予定でした。2024年10月に発表された出演者の中でも、永野さんは仲野さんと池松さんに次ぐ3番手で紹介されていました。吉岡里帆さん演じる秀長の正室「慶(ちか)」、浜辺美波さん演じる秀吉の正室「寧々(ねね)」よりも先に名前が記載されており、重要な役どころであったことがうかがえます。
そんな「直」役の代役は誰が務めるのか、ネットで注目が高まっていました。そして、5月22日、白石聖さんが務めると正式に発表されました。
代役起用で開く国民的女優への扉
白石さんは1998年生まれで、1999年生まれの永野さんとほぼ同年代。2016年に女優デビューし、2019年には人気女優の登竜門とも呼ばれるリクルートの結婚情報誌『ゼクシィ』で12代目CMガールに抜擢され、一躍有名になりました。これまで地上波ドラマの主演経験もあり、女優としての実績と経験を十分に備えています。しかし、全国区の知名度が十分とは言えない白石さんだけに、今回の代役起用で名前を初めて知ったという人も多かったのではないでしょうか。以前から白石さんを応援してきたファンの間では、「今まで代表作に恵まれなかっただけ。やっと国民的女優になるチャンスが来た!」、「演技力もビジュアルも申し分ないから『直』役が楽しみ!」と期待の声が寄せられています。
川口春奈の成功例に続く飛躍なるか
永野さんは今回の『豊臣兄弟!』では、2013年の『八重の桜』(NHK)や2016年の『真田丸』(NHK)に続き、3度目となる大河出演予定でした。それだけに、この役がこれまでの大河出演歴や実績を重視して選出された役どころだった可能性もあります。しかし、急遽代役を務めることとなった白石さんにとっては、これから大躍進の機会が訪れるかもしれません。
川口さんは2020年の大河ドラマ『麒麟がくる』(NHK)で、織田信長の正室・帰蝶(濃姫)役に抜擢されました。この役は、2019年11月に合成麻薬MDMA所持容疑で逮捕された沢尻エリカさんの降板によって急遽代役となったものです。
川口さんにとっては時代劇初挑戦、大河ドラマ初出演という状況下での代役引き受けでした。また、既に撮影が進行しており、放送開始までわずか2か月というタイトなスケジュールでの抜擢でした。その状況について川口さん自身も「何十冊もの台本を渡されて翌週からの撮影に臨んだ」と語っています。
当時、撮影済みのシーンを川口さん出演のものに変更するなど、放送開始直前の急ピッチの修正が行われました。それでも川口さんはプレッシャーを背負いながら帰蝶役を見事に演じ切り、女優として飛躍したことは周知のとおりです。
川口さんの現在の活躍ぶり――20社以上の企業CMに出演し、CM女王と呼ばれるまでになった背景には、この大河ドラマ代役が重要なターニングポイントであったことがうかがえます。
大河ドラマで新たな才能を開花か
このように川口春奈さんの例を考えると、白石さんにも同様の大飛躍が期待されるのではないでしょうか。そして、大河ドラマという特殊な演技力が求められるジャンルで、これまでのイメージを大きく覆し演技派へと成長する可能性があります。実際、小芝風花さんは現在放送中の大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(NHK)で花魁・瀬川を演じていますが、そのたびに演技や表現力が高い評価を受け、注目を集めています。
また、白石聖さんは過去にNHKの『大奥」や東海テレビの『恐怖新聞』において時代劇の設定で演技をした経験があり、その際には視聴者から非常に高い評価を受けました。このことからも、彼女が時代劇の中でその才能を発揮する可能性は十分に示されており、『豊臣兄弟!』での活躍にますます期待が高まります。
一見ふんわりとした印象を与える彼女ですが、実際には度胸を備え、男前な性格の持ち主でもあります。

2026年から始まる『豊臣兄弟!』。クランクインが間近に迫る中、作品以上に白石聖さんという女優に視線が集まるのではないでしょうか。
<文/エタノール純子>
【エタノール純子】
編集プロダクション勤務を経てフリーライターに。エンタメ、女性にまつわる問題、育児などをテーマに、 各Webサイトで執筆中