TBS退社から8年経った今年、紆余曲折を経て20年生活した東京を後にして活動拠点を故郷北海道に戻したアンヌさん。
第37回となる本記事では、アンヌさんを襲ったあるハプニングについて綴ります(以下、アンヌさんの寄稿)。
愛犬リリーと満開の大藤棚へ
季節の進み方が他の地域とは違う北海道。ここに来てやっと半袖でもまあまあいけるかな、というくらいの気候になってきました。桜の開花も本州に比べてだいぶ遅いのですが、先週まではちょうど藤の花が見頃を迎えていました。
私と愛犬リリーのお散歩コースにもお気に入りの大藤棚があり、昨年に引き続き今年も満開の時を狙って足を運んで参りました。
ちょうど昨年の今頃はまだリリーを連れて北海道の実家に帰ってきたばかりの頃。思い返せば、現在の札幌の芸能事務所に所属することもまだ決まっておらず、さて私の人生どうなるかと思いあぐねていた時期だったことを思い出しました。
1年後の自分は、札幌を拠点にまたこうしてテレビの仕事や文章のお仕事をさせていただいているというのも、かつての自分にはまったく想像がつかなかったわけで。
1年経ってみると、人生というのは本当に予測のつかない方向に進むことがあると改めて思い起こさせてくれるのが、この藤棚。そんなしんみりした話を今日は書かせていただこうと思っていたのですが、
この藤棚を見に行った際、事件が。
犬同士のアウトレイジが勃発

SNS用にと撮影活動にいそしむ私の横で、うちの愛犬は明らかにイラついておりました。
この時点で大型犬の飼い主として本当に失格なのですが……。私の死角になっているところで、犬同士のアウトレイジが始まってしまっていたのです。
大型犬リリーの目線の先には中型犬くらいのふわふわのワンちゃんが。本当に私が良くなかったのですが、目を離している隙に、2頭の間で目線が噛み合ってしまい、
「なんだおら」「なんだこら」
のやりとりが静かに始まってしまっていたらしいのです。
そして我が愛犬、いきなりグッと構えて、勢いよくそちらのほうに向かおうとしたのです。
27kgの愛犬に引きずられて……

その時にちょうど半袖だった私は、腕から派手に流血。アラフォーにしてなかなかわんぱくな怪我をしてしまった始末。家に帰って見てみると、腰にも擦り傷が。
こりゃ本当やっちまったなとひとしきり反省していたわけですが、今になって思うのは、この派手な引きずられ方、下手したら、ボトムスが完全に脱げていた可能性も捨てきれなかったという恐怖。はい、おズボンですね、脱げなくてよかったよ。
この日、私はたまたま腰紐をしっかりと結ぶタイプのイージーパンツを履いていました。
実は脱ぎ着が非常にしにくいので、あまり好きではないのです。お手洗いに行くたびに非常に面倒。だからいっそ、そのうち手放そうかなんて考えていたくらいのもの。
いやいや、その脱ぎにくさが功を奏したかたちになりました。実はつい最近、私が中学時代に履いていた水色のジャージをタンスの中から発掘し、その楽ちんぶりから、それを履いては寝て、そのままお散歩に行き、という日が頻繁につづいていました。
丸ごとポロリするところだった
そのジャージ、腰紐が完全になくなっており、超絶ゆるゆる。ちょっとの刺激であればすぐに丸ごとポロリするくらいの、そんなジャージを普段私は愛用していたわけです。万が一私がそのジャージを履いてこの公園に来ていたら……考えただけで恐ろしく、これは確実に大衆の面前ですべてが“こんにちは”するところだったと戦慄いたしました。
むしろ流血で済んで本当によかったくらいですよ。
そもそも大型犬の飼い主として、ワンコそっちのけでお花の写真撮影に勤しんでいた自分に大きな責任があり、今回の件は一重に私の愛犬も悪くなければ、うちの愛犬に喧嘩を売ってきたワンちゃんも悪くない。これは完全に私の自己責任なわけです。
とにかくズボンが脱げなくて本当によかったということにつきます。
今日はちょっと良い話が書けそうかもと思った私でしたが、なんだかしょーもない話に帰結しそうです。皆様、腰紐は普段からきつめに締めましょう。そしてゆるっゆるのボトムスはむしろやめておきましょ。
いや、本当、まじめに危なかった。
<文/アンヌ遙香>
【アンヌ遙香】
元TBSアナウンサー(小林悠名義)1985年、北海道札幌出身、在住。現在はフリーアナウンサーとしてSTV「どさんこWEEKEND」メインMCや、情報番組コメンテーターして活動中。北海道大学大学院博士後期課程在籍中。文筆家。ポッドキャスト『アンヌ遙香の喫茶ナタリー』を配信中。Instagram: @aromatherapyanne