※以下、各ドラマの一部ネタバレを含みます
元和牛・川西賢志郎、俳優としての新たな一歩
まず1人目は、最終回が6月3日に放送された『対岸の家事~これが、私の生きる道!~』(TBS系)に出演した元和牛の川西賢志郎だ。主演を多部未華子が担当し、さまざまな家庭の家事や育児の様子を描いたドラマで、リアルな描写が話題となり人気を集めた。
“ダメ夫”役で見せたリアルな演技
川西は、江口のりこが演じる仕事と育児の両立に悩む長野礼子の夫・長野量平を担当。イベント会社に勤務する量平は多忙で帰宅が深夜に及ぶことが多く、ほとんど育児に参加できず、夫婦関係を悪化させる役だった。川西が演じた量平は、家族を愛していながらも仕事が忙しいことを口実に家事には参加しない典型的なダメ夫。外面だけは良い一面があり、ドラマの序盤では礼子を悩ませる存在だった。そんな量平を川西は自然体の演技で表現し、視聴者がリアルに嫌だと感じるような絶妙なキャラを構築した。
結果として、仕事と育児に悩む礼子の苦悩をわかりやすく見せることに貢献した。ドラマの中では量平も最終的には「良い人」として描かれるが、視聴者の働くママたちからは総スカンを受けたことだろう。それほどまでに川西は量平を上手く表現できていた。
川西といえば、和牛の解散後は俳優業を本格的に始動させ、NHK連続テレビ小説『おむすび』でも良い演技を見せたばかりだ。『LIFE!~人生に捧げるコント~』(NHK総合)でもコントの中で表現力の高さを披露しているため、今後は俳優業でもブレイクしそうな芸人だ。
ティモンディ・高岸宏行、“鬼教官”で新境地を開く
そして2人目は、内野聖陽が主演を務める『PJ ~航空救難団~』(テレビ朝日系)に参加している、お笑いコンビ・ティモンディの高岸宏行である。
『PJ~航空救難団~』の中で高岸は、救難員であり新米教官の中林誠を担当。この中林だが、肩に力が入りがちな性格をしていて、超がつくほどの体育会系の教官となる。訓練生たちに罵声を浴びせることもあり、山岳総合実習を描いたシーンでは迫力満点のドスが効いた声で注意や叱責を続けた。
芸人たちの新たな挑戦に注目
高岸といえばバラエティ番組では「やればできる!」というセリフがおなじみで、いつでも温和で優しい性格を披露している。そんな高岸が『PJ ~航空救難団~』では笑顔がない恐ろしい教官を演じたことで、SNSでは驚きのコメントが書き込まれる事態となった。鬼教官を演じる高岸だが、第6話では救難活動シーンに参加し、救難員らしい機敏な動きを披露した。アクションも含めてしっかり役作りができている印象で、俳優として成長した高岸の姿を見ることができた。高岸といえば、これまで大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(NHK総合)や『必殺仕事人』(テレビ朝日系)などに出演しているが、今回の『PJ ~航空救難団~』は新境地を切り開く作品となりそうだ。
今期の春ドラマで個性的な演技を見せた川西と高岸の活躍を紹介したが、他にも何人かの芸人が作品に出演している。ここ数年、特にドラマでは芸人が出演することが普通になり、重要な役を与えられることも多い。
果たして夏ドラマではどの作品で芸人の演技が見られるのか。引き続きチェックを続けていきたいと思う。
<文/ゆるま小林>
【ゆるま 小林】
某テレビ局でバラエティー番組、情報番組などを制作。退社後、フリーランスの編集・ライターに転身し、ネットニュースなどでテレビや芸能人に関するコラムを執筆