それは読書中の本に挟んで、どこまで読んだかを目印にできるしおり。でも、ただのしおりじゃないんです。上部に描かれたお箸と下部にあるどんぶりの間にある縦長の空白が、このプロダクトの重要ポイント。おわかりでしょうか? ここ、実際に穴が空いているんです。
このしおりを本に挟むと……。

食欲と知識欲を同時に高められそうなしおり、『ラーメンしおり』を作った経緯などについてミチルさんに話を聞いてみました。
ラーメンを愛する人たちから人気
――どんな発想で、この『ラーメンしおり』を思いついたのでしょうか?ミチル:ワクワクするようなしおりを作りたくなったのがきっかけです。
――ちなみに、ラーメンはお好きなんですか?
ミチル:ラーメンは好きです(笑)。だから、文字をラーメンに見立てられるようなしおりが欲しいなと思って、形にしました。
――この『ラーメンしおり』は2025年3月にXで公開され、今まで(5月12日現在)に7000以上のリポスト、6.5万件以上の「いいね」が寄せられています。これらの反応は、やはり読書が好きな人たちからの反響が大きいのでしょうか?
ミチル:どちらかと言えば、私と同じようにラーメンを愛する皆さんからの反響かな? と思います(笑)。今までに「かわいい!」「欲しい!」というお声をいただけて、とてもうれしいです。
――「欲しい!」という声が寄せられているとのことですが、実際に商品化する予定はありますか?
ミチル:商品化は予定していないのですが、どこかで商品として販売できたらなあ……という気持ちはあります。
初商品化は削りカスがかつお節になる“お好み焼き型鉛筆削り”
今回の『ラーメンしおり』を見ればわかるように、くすっと笑えるアイデアをポップなプロダクトに昇華させるのがミチルさんの得意技。2020年4月ごろから完成品をXで公開するようになり、数多くの秀逸な作品を今までに発表してきています。『お好み焼の鉛筆削り』


お好み焼き屋の前を通りかかったとき「鉛筆削りの削りカスはかつお節に似ている」と思ったミチルさんが、そのインスパイアを活かして完成したプロダクトです。
――この鉛筆削りは、いつの作品ですか?
ミチル:2021年12月にXで投稿したもので、たくさんの反応がありました。その結果、オタフクソースさまから商品化のお話をいただき、実際に商品化したプロダクトの第一号です。だから、私のなかでも特に愛着があります。
『カニ泡ソープディスペンサー』

好きが高じて製作したのが、このプロダクトでした。ハンドソープ容器の上に乗ったカニを押すと、泡を吹いて手を清潔にしてくれます。
『寝るペーパークリップ』



『賛辞のおやつ』


ティッシュが海に浮かぶ氷山に見えた
――さまざまなプロダクトを製作してきたミチルさんですが、特にお気に入りの作品はどれですか?ミチル:『氷山になるティッシュケース』です。これは「ティッシュって氷山に見えるな」と気付いて製作したプロダクトなのですが、多くの反応が皆様から届いたので特に感慨深かったです。

ミチル:全然、そういうメッセージ的なことは考えていませんでした。でも、深読みしてくれた人たちの反応を見て「そういう視点もあるのか」と気付かされました(笑)。
――今回の『ラーメンしおり』には、なにか隠されたメッセージが含まれていますか?
ミチル:特に、隠しメッセージは無いです。でも、使っていただくと「ラーメンを食べたい!」という気持ちが抑えられなくなるかもしれません(笑)。
――「今後、こんなプロダクトを作ってみたい」というアイデアはありますか?
ミチル:私としては、『賛辞のおやつ』のような誰かをほっこりさせるプロダクトが好きなんです。今後もやさしい気持ちになるプロダクトを生み出せたらいいなと思っています。
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「誰かをほっこりさせる」を信条としている、ミチルさんの創作活動。センス優先の尖りまくったクリエイターさんかと思いきや、ハートの部分も重視するものづくりを実践していました。
ちなみに、ミチルさんが製作したプロダクトのいくつかはウェブショップ「王様のアイディア」で購入が可能です。今回紹介したなかでは、『氷山になるティッシュケース』と『カニ泡ソープディスペンサー』が販売中。
最初に紹介した『ラーメンしおり』の商品化は未定ですが、もし商品化された場合、自分なら“読書の秋”にラーメンのレシピ本に挟みたいです!
<取材・文/寺西ジャジューカ>