近年は、「義父母と同居しない」が当たり前のスタイルになりつつあります。加藤ありささん(仮名・41歳)もそのひとり。
義父母とは同居せず、適度な距離を取っていました。

 しかし、昨年の夏、思わぬ“義母トラブル”が……。

夫が毎月渡していた10万円を陰で「はした金」と言い放つ義母。...の画像はこちら >>
「本当に驚きました。別居していても身内のトラブルって避けられないこともあるんだなって思いましたし、義母の非常識さに呆れました」

義父母との同居を徹底的に避け続けてきた

夫が毎月渡していた10万円を陰で「はした金」と言い放つ義母。夫に真実を告げると…
拒否する女性
 ありささんは13年前、夫の亮太さんと結婚。自身の母と祖母の仲が険悪であったため、「私は絶対に義母と同居はしない」と、昔から決めていたそうです。

「夫は私の意思を尊重してくれましたが、何かあった時に駆けつけやすいよう、近くに住みたいと言われたので、隣の市に暮らすことにしました」

 そのくらいの距離感なら、トラブルは起きないだろう。ありささんはそう思っており、実際10年ほどはあまり義父母との交流がありませんでした。

 しかし、3年前、義父が亡くなったことを機に義母の態度に変化が……。広い一軒家でのひとり暮らしが寂しくなったのか、亮太さんに「あなただけが頼り」と、同居を願い出たのです。

「可哀想だとは思いましたが、私の意思は変わりませんでした。夫は迷っている様子でしたが『同居するなら離婚する』と言ったら、折れてくれました」

閉めたはずの玄関が開いていて…リビングで見た“衝撃的な光景”

夫が毎月渡していた10万円を陰で「はした金」と言い放つ義母。夫に真実を告げると…
お金を持つ人
 ただ、亮太さんは母が気がかりだったようで仕事帰りや休日に数時間、実家へ行くように。やがて、月に5万円ほど母親に渡し、金銭的な援助もするようになりました。

「私たち夫婦には子どもがいませんし、結婚当初から共働きで夫婦の財布も別。夫は自分の貯蓄から義母へお金を渡していたので、私はまったく気になりませんでした」

 そんな日々が2年ほど続いたある夏の日、体調不良で仕事を早退したありささんは自宅の玄関先で恐怖を味わいます。
朝、たしかに閉めたはずの鍵が開いていたのです。

 もしかして、泥棒かもしれない……。警察を呼ぼうかと思いましたが、万が一、自分が閉め忘れていただけだったら迷惑すぎる……と思い、躊躇。悩んだ末、意を決して家の中へ入りました。

 すると、目に飛び込んできたのは信じられない光景。なんと、エアコンがガンガンにかかったリビングで義母がくつろいでいたのです。

「数か月前から電気代が高くて、電力会社の値上げがきついな……と思っていたのですが、これが原因だったのかと……」

不法侵入した義母の“開き直り”に絶句

夫が毎月渡していた10万円を陰で「はした金」と言い放つ義母。夫に真実を告げると…
悩む女性
 ありささんに気づくと義母は、硬直。不法侵入したことを謝るかと思いきや、信じられない言葉を口にしました。

「あのね、年金生活は苦しいの。だから、このくらいの贅沢はいいでしょ。私たちは家族なし、支え合って当然! それに、今まで何もしてくれなかったあなたに私を責める権利なんてないと思うけど」

 そう開き直る義母の言葉に腹が立ったありささんは、「でも、夫から金銭的な援助は受けてますよね?」と反論。すると、義母は「あんな10万円、はした金よ」と笑いました。

夫が毎月渡していた10万円を陰で「はした金」と言い放つ義母。夫に真実を告げると…
※画像生成にAIを使用しています
「私は夫が月に5万円渡していると思っていたので、10万円も渡していることをその時初めて知りました。
高収入ではないのに母親を支えたくて、貯金を切り崩していたんだと気づき、余計に義母の言葉が腹立たしく思えました」

 そこで、「これ以上、滞在するなら不法侵入で訴えますよ。あと、お義母さんが入れないように今後は鍵を変えますからね」と伝え、義母をなんとか追い出しました。

義母が不法侵入できた理由が判明! 知らなかった夫の“心の傷”にも触れて…

夫が毎月渡していた10万円を陰で「はした金」と言い放つ義母。夫に真実を告げると…
喧嘩する男女
 その夜、ありささんは事の経緯を夫に報告。すると、義母がありささん宅に侵入できた理由が判明しました。

 実は亮太さん、「もしもの時のために…」と数ヶ月前、合鍵を勝手に作り、義母に渡したそう。また、ありささんの勤務時間も義母に共有していました。

 実の母とはいえ、なぜ、そこまで気にかけるのか。ありささんがそう尋ねると、亮太さんの複雑な心理が明らかに。

「夫は昔、あまり義母に構ってもらえず、甘やかされるお兄さんが羨ましかったそうです。お兄さんは今、県外にいて義母とは疎遠。だから、今なら母を独り占めできるとか、役に立たないと、という気持ちになったようで……」

 胸の内を聞いたありささんは、夫が母親のための人生を生きることにならないよう、悩んだ末、義母が10万円を「はした金」と言っていたと伝えました。

 それを聞いた亮太さんは「やっぱり俺じゃダメなんだ」と大泣き。
ありささんは亮太さんの背中をさすりながら、「あなたにはあなたの人生があるし、私がいるよ」と伝えたそうです。

 それから数日後、亮太さんは吹っ切れたような表情で「家の鍵を変えよう」と提案。ありささんの前で義母へ電話をし、「これからは月10万円も渡せない。はした金なら渡しても意味ないだろうし、本当に生活が苦しいなら行政に相談しにいこう」と伝えました。

 すると、義母は電話を一方的に切ったそう。その後、ありささん夫妻は義母と疎遠になっています。

「連絡が来ないってことは、きっとなんとか暮らしてるんでしょう。今度は、お兄さん夫婦に頼ってるのかもしれませんしね」

 なお、ありささん夫妻は、将来、義母に介護が必要になった時の対応についても話しているところだそう。義母は最期が近づいた時、ようやく自分の生き方を見つめ直すのかもしれません。

<取材・文/古川諭香>

【古川諭香】
愛玩動物飼養管理士・キャットケアスペシャリスト。3匹の愛猫と生活中の猫バカライター。共著『バズにゃん』、Twitter:@yunc24291
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