女子校出身、恋愛経験ゼロの35歳女性
「一生独身でいるつもりはないものの、結婚したいと明確な結婚願望があるわけじゃない。何もしないでいたら、アラフォーになってしまった」という人が、筆者のところにはよく相談にいらっしゃいます。真由美さん(仮名・35歳/インフラ関係)もそんな一人です。中高一貫女子高出身で部活は吹奏楽部。大学は共学でしたが同様のサークルに所属して女性が多い環境に身を置きました。これまでに恋愛経験はありません。
周りの女友達には、男性目線を意識したり恋バナをしたりするような人はいなかったといいます。だから、自分のことは普通だと思っていたのだとか。
でも、それはお友達が「相手が真由美さんだから」そういう面を見せなかっただけなのではと思うのです。
本人だけが気づかない「恋愛経験が乏しい女性の特徴」
申告がなくても、筆者は真由美さんに会った時から「男性と付き合ったことがないのだろうな」と感じました。髪の毛はややボサボサ気味で、眉毛は描いてあるのが分かる程度のメイクです。同年代女性がみんな涙袋を作っているのに対し、目の下は手付かず。
この身だしなみレベルの女性に、誰もオシャレの改善点は指摘しづらいでしょう。太っていないし顔立ちには何ら問題はない。でも美意識が低いため、同年代女性の中で外見は“中の下”なのです。
とはいえ、本人は自分の外見に問題があると思ってはいません。
どう見ても、心配するポイントがズレている
真由美さんは婚活についてこう語ります。「結婚したいとはっきり思わない状態で婚活したら、相手に悪いと思っていました。新型コロナが流行っていた時は、不要不急な外出や濃厚接触はいけないからと、友達と食事したりもしなかったんです。でも気が付いたら友達がパタパタと結婚していって、みんな当時も普通にマッチングアプリとかやっていたんです」

「婚活しても普通の男性にすら会えない」
いろんな不安を乗り越え、重い腰を上げてマッチングアプリに登録した真由美さん。でも、知らない人に自分の情報をさらすのも嫌だし、国際ロマンス詐欺のニュースも聞いて不安だし、知らない人の中からどうやって選んだらいいかもわからない。ただただ不安で、誰ともマッチングせずにマッチングアプリは削除。そして結婚相談所に登録しました。ところが、真由美さんいわく「婚活しても普通の男性にすら会えない。高望みしているわけじゃないのに、常識がない人にばかり遭遇して疲れる」というのです。結婚相談所の人に相談してもレスポンスが遅く、アドバイスも「もう少し希望条件を広げては」と言われるだけでした。
もう結婚は諦めて婚活をやめるべきなのか、どこか見直す点があるのか、困り果てて筆者のところへご相談にやってきました。
時間ギリギリに、汗だくで現れた男性
30代半ばの真由美さんに申し込み(※結婚相談所における、会いたいという意思表示)をしてきたのは、ほとんどが40代中盤以上の年上男性ばかりでした。太っている男性、真由美さんより年収が低い男性もいました。彼女が「会いたい」と感じる男性からの申し込みはほぼなく、自分から申し込みをした同年代男性には、ほとんど断られます。

投票に行くつもりがないと言う「民度が低い男性」
会話も盛り上がらず、なんだか全体にかみ合いませんでした。真由美さんは“お断り”したのですが、結婚相談所経由で「お断りの理由を教えてほしい」と言われます。真司さんは、自分では脈アリと思っていたのかもしれません。「話も全然盛り上がらなかったし、清潔感もないし。
次に、結婚相談所から紹介されたタカシさん(仮名)という39歳の男性とお見合いしました。初対面の印象は可もなく不可もなくで、2回目も会ってみることにしました。
デートをしたのは、参院選の投票日があった3連休でした。近くに街頭演説の候補者がいて、会話の流れの中でタカシさんは「投票なんて行くつもりないですけどね」と発言しました。
このことで「民度が低い」と感じた真由美さんは、お断りすることにしました。
自分が「普通以下」であることをまず受け入れて
タカシさんや真司さんを「普通以下」と感じるのは仕方がないとは思います。わざわざ婚活で出会った相手に「投票するつもりがない」なんて言ったら、それは「民度が低い」と思われて当然でしょう。
「普通の男性がいないというより、コミュニケーションが取れる普通の男性の多くは婚活なんかしないで結婚するし、30代で独身だったとしても美人や若い女性がライバルにいるから、垢抜けない女性をわざわざ選ばないの。スキンケアもメイクも髪のブローも習って、真由美さんの“普通”のレベルも上げよう」
努力をしようともしない人に、相性も何もない
話したことで真由美さんは分かってくれましたが、多くの人が集まる場に市場原理が働き、人気のヒエラルキーができることを、理解できない人もいるのです。「たくさんの人がいる出会いの場に行けば、一人ぐらい両思いになれる人に出会える」──そんな風に甘く考えている人が多いのです。
しかし、外見を磨く努力をしようともしない「向上心ゼロの“ブス”」に、相性も何もないのです。問題はコンプライアンスの厳しくなった令和においては、誰も「もっと外見に気を使いなよ」なんて指摘してくれないこと。圧倒的な努力不足を、自覚しづらくなっている時代にあると思うのです。
※個人が特定されないよう一部脚色してあります。
<取材・文/菊乃>
【菊乃】
恋愛・婚活コンサルタント、コラムニスト。29歳まで手抜きと個性を取り違えていたダメ女。低レベルからの女磨き、婚活を綴ったブログが「分かりやすい」と人気になり独立。ご相談にくる方の約4割は一度も交際経験がない女性。著書「あなたの『そこ』がもったいない。」他4冊。Twitter:@koakumamt