若手俳優たちが、SNS上などで連関しながら話題を提供してくれている。

 財津一郎の孫である財津優太郎と小日向文世の長男である小日向星一による投稿の数々が、すぐにネットニュースで注目されるのだ。
さらに小日向星一は、弟である小日向春平との大河ドラマ初出演・初共演など、兄弟そろって話題性がある。

 男性俳優の演技を独自視点で分析する“イケメン・サーチャー”こと、コラムニスト・加賀谷健が解説する。

SNS投稿が話題になる若手俳優

 これからどんどん旬の存在になっていくだろう若手俳優たちが、仲良く写る写真はほどよい活気があって微笑ましい。若い才能が凝縮された一枚なら、なおさら才能の見本市みたいでもある。

 タケモトピアノのCMで「ピアノ売ってちょーだい!」というフレーズが有名な名優でコメディアンだった財津一郎の孫として知られる財津優太郎が、まさにそんな好印象な一枚を公式Instagramにアップしていた。

 2025年5月に投稿されるや、すぐにネットニュースで取り上げられる。フォーショットの中に写るもうひとりの注目の若手。小日向星一のさりげない存在感が、話題の相乗効果になった。

30歳の誕生日を迎えてから初の投稿写真

 小日向星一は、名優・小日向文世の長男である。上述した財津優太郎による投稿写真は、舞台『反乱のボヤージュ』共演者としてのオフショットだった。彼らのSNS投稿で、他にも直近で話題を集めたものがある。

 今度は複数人がおさまる写真ではなく、小日向星一単体の一枚。舞台千秋楽を終えたことを報告する何枚かの写真5枚目、なんとも言えずやわらかな雰囲気を醸すソロカットを添えた。

 投稿日は6月8日。
30歳の誕生日を迎えて以降初の投稿である。ネットニュースでは、このソロカットをメインビジュアルとして、ちょうど誕生日だったことが紹介されていた。

 財津優太郎もそうだけれど、たしかにやわらかな好青年という印象をまずは感じる。と同時に、やっぱり俳優としての気概みたいなものが、その内面世界を裏打ちする強さも感じる。

「全身で松平容保を表現」した大河ドラマ初共演

 実際、弟・小日向春平とともにのぞんだツーショットインタビューに興味深い発言がある。2018年に小日向星一が政治経済学部を卒業した明治大学創立140周年を記念するインタビュー。

 当時まだ情報コミュニケーション学部に在籍していた現役生の弟・春平と兄・星一による対談形式である。話題は当然のように父・小日向文世の存在に及ぶのだが、星一が「父を超えたいという思いがあります」と等身大の気持ちで答えていた。

 それに付け加えて名回答を披露する弟の存在が、星一にとって心強いことが伝わる。吉沢亮主演大河ドラマ『青天を衝け』(NHK総合、2021年)で、大河ドラマ初出演、なおかつ兄弟初共演を果たしたことについて星一が「弟と一緒に現場に行くことで落ち着いて臨むことができ、全身で松平容保を表現できました」と撮影現場を回想するのである。

やわらか優しげツインズ

『青天を衝け』画面上に小日向兄弟が初登場したのは、第15回(小日向星一演じる松平容保が第14回で外様のひとりとして画像上では登場している)。場面の舞台は京都御所。大河ドラマ内でもリアル兄弟を演じる小日向兄弟(小日向春平が演じるのは、松平容保の弟・松平定敬)がいる。


 カメラがツーショットで捉える。画面下手側に座る兄・星一が微動だにせずたたずむ。上手に位置する弟・春平は何度かまばたきをするのだが、このまばたきのリズムが父・小日向文世にそっくりであることを感じた視聴者は多いはず。という具合に話題性が話題性を重ねてくる。

 一方で財津優太郎もまた、近年若手俳優が活躍の場とすることが多い野球ドラマなどで固有の存在感を発揮している。鈴木亮平主演ドラマ『下剋上球児』(TBS系、2023年)で彼が演じた野球部員役は心根穏やかな性格で設定されていたのだが、SNS投稿写真や「優」一文字を含む名前の響きから伝わる、優しげな魅力がある。

 財津優太郎と小日向兄弟を合わせて、やわらか優しげツインズなどと命名してみたくなる。

<文/加賀谷健>

【加賀谷健】
コラムニスト/アジア映画配給・宣伝プロデューサー/クラシック音楽監修
俳優の演技を独自視点で分析する“イケメン・サーチャー”として「イケメン研究」をテーマにコラムを多数執筆。 CMや映画のクラシック音楽監修、 ドラマ脚本のプロットライター他、2025年からアジア映画配給と宣伝プロデュース。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業 X:@1895cu
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