今回は、そんなオニヤンマフィギュアがきっかけで彼との仲が深まった女性のエピソードをご紹介しましょう。
お試しで同棲した彼がくれたお土産
29歳の城山真美さん(仮名/契約社員)は、半年前から恋人の優馬さん(仮名・32歳/会社員)と同棲生活を送っています。「とりあえず結婚を視野に入れつつ、お試しで一緒に住んでみることにしたんですよ。時々喧嘩もしますがまぁまぁ仲良くやっている方だと思います」
そんなある日、真美さんが女友達数人とBBQに行くことになったと知った優馬さんは、あるおみやげを買ってきてくれたそう。
「それがオニヤンマのフィギュアで。蜂やアブや蚊などの天敵であるオニヤンマを身につけることによって虫よけの効果があるらしいんですが……」
虫があまり得意ではない真美さんは、その妙にリアルな見た目に若干の気持ち悪さは感じたものの、優馬さんが自分のためを思って買ってきてくれたその気持ちを嬉しく思いました。
「あと純粋に、これを身につけているだけで虫が逃げていくのなら簡単でいいなと思いました。私はBBQに虫よけスプレーと、虫に刺されてしまった時用の痒み止めクリームを持って行こうと思っていたので、その分荷物が減るじゃないですか」
そしてBBQ当日、オニヤンマの効果は……?
そしてBBQ当日。さっそく女友達にオニヤンマのフィギュアのことを指摘された真美さん。彼氏にもらったという経緯を説明すると、皆に優馬さんとの仲の良さを羨ましがられたそう。「そのまま私は自慢げに首からオニヤンマを下げて、意気揚々と野菜やお肉を焼き始めたのですが……」

「それが、オニヤンマをつけているのに蚊に刺されまくって。私は特に首からいっぱい汗をかくせいか、首だけで4箇所も……。女友達のみんなも最初は『あれ、おかしいね? でももしかしたら都会の蚊はオニヤンマなんか見たことないから知らないのかもよ?』など優しい言葉をかけてくれました」
ですがついにオニヤンマに蜂が止まり、真美さんが悲鳴を上げていると、周りの方が我慢ができなくなったようで次々に「もうお願いだから、これ使って!」と虫よけスプレーを渡されたそう。
「恥ずかしながら、ありがたく使わせてもらいました。
彼をがっかりさせたくなくて嘘をついたら
オニヤンマをつける位置があまりよくなかったからかもしれませんが、あまり虫よけ効果を感じられなかった真美さんはトボトボと家路につきました。「とにかく優馬をがっかりさせたくなかったので、いちばん目立つ首の虫刺され跡をタオルで隠して、余計なことは言わないでおこうと思ったんです」
ですが帰ると優馬さんが笑顔で出迎えてくれ「あ、オニヤンマどうだった?」といきなり先制パンチが飛んできてしまい、真美さんは思わず硬直してしまったそう。
「慌てて『もちろん効いたよ! ありがとうね。お陰で助かったよ』と作り笑顔を浮かべながら答えると足早にバスルームに逃げたんですよね」
そして入浴後、リビングに戻ると優馬さんが明らかに不機嫌でした。
話がぶっ飛んで浮気を疑われてしまう
「話を聞くと、『様子が変だ。絶対に嘘をついているでしょ?』と問い詰められてしまって」さらに不自然に首を隠していたことを指摘され、「実は女友達とBBQだなんて嘘で、本当は男と浮気してきて、首にキスマークでもつけられたんじゃない?」と優馬さんが涙目で言いがかりをつけてきたそう。
「なにその変な妄想は? とビックリしてしまいましたが、とにかく身の潔白を証明しなくちゃと思い、慌てて首の虫刺され跡を見せると、正直に全てを話しました」
すると優馬さんは、顔面蒼白になり真美さんに土下座して謝ってくれました。
「私も嘘が下手すぎて、なんかごめんねって謝って円満に仲直りしたのですが……」
その後、2人はどうなったのでしょうか。
翌日、彼から渡されたあるモノと衝撃の言葉とは
「翌日、優馬に指輪を渡されて『昨日は本当にごめんなさい。でもそれで、真美を独占したい自分の気持ちに改めて気づいたんだ』と急にプロポーズされてまたビックリしてしまいましたね」
「その後オニヤンマのフィギュアは2人の記念の品としてリビングに飾っています。最初は気持ち悪いと思っていたのに、今では宝物ですよ」と微笑む真美さんなのでした。
<文・イラスト/鈴木詩子>
【鈴木詩子】
漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。