人気バラエティ番組『水曜日のダウンタウン』(TBS系)が、またも物議を醸している。

「趣味が悪すぎない?」『水ダウ』企画に“不謹慎”と批判の声。...の画像はこちら >>

「死の淵にいるかと思う説」に批判殺到

同番組は7月30日の放送で、「クロちゃん、寝て起きたら川のほとりにいてその向こう岸に亡くなった父親がいたら、死の淵にいるかと思う説」という企画を実施。内容は、泥酔したお笑いトリオ・安田大サーカスのクロちゃんが、起きたら三途の川にいて向こう岸に亡くなった父親がいるというドッキリである。


『水曜日のダウンタウン』では、泥酔すると絶対に起きないクロちゃんに「起きたら◯◯だった」というドッキリを仕掛ける企画を続けている。その最新作だが、本当に亡くなった父親を題材にしたことで賛否両論が起き、SNSで炎上している。

亡き父親の再現に「やりすぎ」の声も

「趣味が悪すぎない?」『水ダウ』企画に“不謹慎”と批判の声。 コンプラ全盛時代に“炎上上等”を貫く理由とは
安田大サーカス クロちゃん画像:(株)スターミュージック・エンタテインメント プレスリリースより(PRTIMES)
今回の企画では、クロちゃんの父親に似たエキストラを特殊技術で本物そっくりに仕立て、音声もデジタルで作り込み、本物にしか思えないよう細工。

あまりにも本格的にやりすぎたことで、Xでは「クロちゃん可哀想すぎる」「亡くなった親を使って遊ぶのは面白くない」「趣味が悪すぎない?」「いくらクロちゃんでもあれはあかんやろ」といった批判のコメントが多く書き込まれた。

その一方で、クロちゃん本人は貴重な体験ができたことに感謝し、番組を観た母親が感動して喜んだとXで明かしている。また、「号泣した」という視聴者の書き込みも多く見られ、賛否が真っ二つに分かれている状況だ。

炎上続きの“説”たちに広がる波紋

そんな同番組は、先週の放送でも「どこの地元にも名物おじさんいる説」が賛否両論を巻き起こして炎上している。この企画は、芸人が子どもの頃に地元で遭遇した名物おじさんを発表し、実際に現在の姿を追跡取材するというもの。

「趣味が悪すぎない?」『水ダウ』企画に“不謹慎”と批判の声。 コンプラ全盛時代に“炎上上等”を貫く理由とは
きしたかの 高野正成画像:株式会社TBSラジオ プレスリリースより(PRTIMES)
お笑いコンビ・きしたかのの高野正成は「カメラのフィルムケースにツバを入れてほしいと要求してくる人物」を紹介するなど、変わった人が多く登場した。このことに対しSNSで「ガチの不審者」「すごく不快」「笑うところある?」といった批判の声が投稿された。

さらに最近では、同サイトでも報じたが、6月18日に放送された企画「インディアンス改名ドッキリ」に対して批判的な声が挙がっている。

なぜ『水ダウ』は「攻め」をやめないのか?

過去には企画で何度も炎上を起こし、2018年には芸人を拉致する企画の撮影で警察から厳重注意を受けたこともある『水曜日のダウンタウン』。テレビ業界でコンプライアンス重視が叫ばれるなか、なぜ『水曜日のダウンタウン』だけは執拗に攻めた企画を続けて炎上を起こしているのか?

「趣味が悪すぎない?」『水ダウ』企画に“不謹慎”と批判の声。 コンプラ全盛時代に“炎上上等”を貫く理由とは
画像:株式会社TVer プレスリリースより(PRTIMES)
他局のバラエティ番組制作スタッフが、巧妙に作られている『水曜日のダウンタウン』の構造を次のように解説してくれた。

「『水曜日のダウンタウン』ですが、放送開始当初は人気がなかったんです。
そんな中、同番組の仕掛け人である藤井健太郎氏が、とにかく攻めた企画を続けたことで、いまの人気を確立した。それだけに、いまさらおとなしい企画にするのは難しい。

それに、今回のクロちゃんのドッキリもそうですが、物議を醸す企画は芸人も得をするようにしっかり練られている。クロちゃんは父親へ胸の内を涙ながらに明かしたことで好感度がアップしています。

そもそもクロちゃんは、この番組でスターになったわけで、芸人をひどい扱いしているようでスタッフには愛があります。出演者とスタッフとの絆があるからこそ、SNSで大炎上しても揺るがないで攻めた企画を毎週放送する仕組みができているのです。」

普通のテレビ番組ならSNSで一部の視聴者が騒げば放送内容を改めるが、『水曜日のダウンタウン』にその手法は通用しないようだ。これからも、賛否両論を巻き起こして炎上する企画を毎週放送することを期待したい。

<文/ゆるま小林>

【ゆるま 小林】
某テレビ局でバラエティー番組、情報番組などを制作。退社後、フリーランスの編集・ライターに転身し、ネットニュースなどでテレビや芸能人に関するコラムを執筆
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