2025年度後期の朝ドラ(NHK連続テレビ小説)として9月29日にスタートする『ばけばけ』(NHK)。

 ヒロインを演じるのは新進気鋭の俳優・髙石あかりさんですが、ヒロインの母を演じる俳優が、24年前に朝ドラヒロインを務めた“あの人”だということでも注目を集めています。


24年ぶりの朝ドラ出演、池脇千鶴が母親役で“凱旋”

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『ばけばけ』で母役を演じるのは、1981年11月21日生まれで現在43歳の池脇千鶴さん。

 2001年度後期の『ほんまもん』(NHK)でヒロインを務めていた彼女が、24年ぶりに朝ドラに“凱旋出演”します。

 そんな池脇さんですが、ここ数年はドラマに出演するたびに「激変」と騒がれて話題になることが多いのです。

 そもそも池脇さんは、1997年の15歳のときにオーディションで8代目「三井のリハウスガール」に選ばれ、CM出演で芸能界デビュー。2001年に『ほんまもん』で朝ドラヒロインを演じ、清純派というイメージが出来上がります。

『ジョゼ虎』で清純派を打ち破った“全裸熱演”

 ただ、そんな清純派のイメージを自らぶっ壊すように、2003年の映画『ジョゼと虎と魚たち』にヒロイン・ジョゼ役で出演。

次の“朝ドラ”母役に“24年前のヒロイン”が帰還 体重増や肌荒れで見せる“リアルな中年像”…別人レベルの役作りが話題に
画像:映画『ジョゼと虎と魚たち』(Amazonより)
 ジョゼは足が不自由で歩けない役どころですが、妻夫木聡さん演じる主人公との初対面時にいきなり、乳母車に乗って包丁を振り回すというエキセントリックなキャラクター。関西弁で毒舌を吐きまくるジョゼは、いい意味で“清廉潔白”とは真逆だったのです。

 そんなジョゼの性格だけでも清純派のイメージを打破するのに十分でしたが、本作で池脇さんは全裸になってバストトップを披露するベッドシーンにも挑戦。主人公と愛し合い、濃密に求め合う姿を熱演していました。

 物語終盤に二人で行ったラブホテルにて、ジョゼは「深い深い海の底。うちはそっから泳いできたんや。あんたとこの世で一番エッチなことするために」と語るのですが、その後に描かれるラストシーンを想うと、狂おしいほど切ないセリフなのです。

 こうして池脇さんは清純派から激変して演技派に脱皮していくのですが、本当の激変は2021年から――。


『その女、ジルバ』で体重増に肌荒れ…役作りの鬼気迫る覚悟

 2021年、池脇さんが9年ぶりに連ドラ主演した『その女、ジルバ』(フジテレビ系)では、そのビジュアルのインパクトが強烈でした。

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画像:吉本興業株式会社 プレスリリースより(PRTIMES)
『その女、ジルバ』は、婚約者に浮気されて別れ、職場では望まぬ異動を言い渡され、人生に絶望したまま40歳となった冴えない女性が主人公。そんな彼女が、熟女バーで働き出して仲間たちとの絆を深め、ホステスとして新たな人生観を得ていくという物語です。

 なんと池脇さんはこの冴えない主人公になりきるために、あえて体重を増やして頬をたるませ、さらにはわざと肌を荒れさせるという役作りを敢行。そして演技では背中を丸めて自信がなさそうな雰囲気を醸し出し、あまりにリアルな中年女性を演じて視聴者を驚かせたのでした。

「誰かわからない」レベルの変貌にSNS騒然

 昨年の『アンメット ある脳外科医の日記』(フジテレビ系)には、娘の闘病を支える母親役で出演。こちらでも老けて見える体型や表情を追求し、くたびれた中年女性を好演しており、SNSなどをザワつかせたのです。

 そして極めつけは、今年放送された『秘密 ~THE TOP SECRET~』(フジテレビ系)にゲスト出演したときの変貌ぶり。

 池脇さんが演じたのは、父親の介護とコンビニ勤務で人生に疲弊する中年女性で、バイトの若い同僚男性を刺し殺してしまう殺人犯。ふくよかな体型にほうれい線が深く刻まれた顔に丸メガネ、老け込んで見える薄メイクをしており、劇中では醜く哀れなオバサンという扱いをされていたのです。

『その女、ジルバ』の頃は、激変と言えどもその人物が「池脇千鶴」であるとすぐに認識できるレベルでしたが、筆者は正直、『秘密』を視聴していた際に彼女を見ても、「池脇千鶴」だとわからなかったほど、別人レベルの変貌ぶりだったのです。エンドクレジットで「池脇千鶴」という表記を見て、驚愕したのでした。

「奇跡の○歳」とは対極のリアリズム俳優

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画像:株式会社WOWOW プレスリリースより(PRTIMES)
 池脇さんは以前、女性誌のインタビューで美容には関心がないということや、美しくありたいと思ったことがないということを語っていました。プライベートではほとんどメイクをせずにすっぴん状態で生活しているそうで、ラーメンやお酒が大好きで体型を気にせずに食べるというライフスタイルとのこと。


「奇跡の○歳」と称えられるような、40代とは思えない若々しさや美しさを保った女性俳優はいますが、池脇さんはその真逆の路線を突き進んでいます。そういう意味で、池脇さんほど生々しいリアリティをまとった中年女性を演じられる俳優はいないのではないでしょうか。

『ばけばけ』で演じるヒロインの母親は、神や霊について詳しいという風変わりなキャラクターのようなので、また今回も俳優・池脇千鶴が「激変」でSNSの話題をかっさらうかもしれません。

<文/堺屋大地>

【堺屋大地】
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。『日刊SPA!』(扶桑社)で恋愛コラム連載、『SmartFLASH』(光文社)でドラマコラム連載、『コクハク』(日刊現代)で芸能コラム連載。そのほか『文春オンライン』(文藝春秋)、『現代ビジネス』(講談社)、『集英社オンライン』(集英社)、『週刊女性PRIME』(主婦と生活社)などにコラム寄稿。LINE公式のチャット相談サービスにて、計1万件以上の恋愛相談を受けている。公式SNS(X)は @SakaiyaDaichi
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