1985年デビューの元アイドルで、現在はバイプレイヤー俳優として、主人公や準主役の母親役でさまざまなドラマに引っ張りだこ。朝の情報番組やお昼のバラエティ番組にも出演するなど、タレント活動にも精力的です。


 斉藤由貴さん、58歳。

 ……とても過去に3度も不倫スキャンダルを起こした人物とは思えない活躍ぶりなのです。

“スケバン刑事”から“ダメ母”へ、俳優としての現在地

3度の不倫でも干されない「華の85年組」清純派女優がテレビに...の画像はこちら >>
 1985年に歌手デビューし、「卒業」が約35万枚を売り上げるヒット曲となり、同じ年に『スケバン刑事』(フジテレビ系)で連続ドラマの主演も果たし、いきなりトップタレントの仲間入りをした斉藤由貴さん。

 近年も俳優業は順調で、2019年に主要キャストの1人として『スキャンダル専門弁護士 QUEEN』(フジテレビ系)にレギュラー出演。法律事務所の事務員として働くバツイチ子持ちのキャラを好演しました。

 そして最近は主人公や準主役の“ダメ母”を演じることがとても多いのが印象的です。

 例えば、2022年の『恋なんて、本気でやってどうするの?』(フジテレビ系)では、SixTONESの松村北斗さん演じる準主役の母親役。2023年の『いちばんすきな花』(フジテレビ系)では、今田美桜さん演じる主人公の母親役。2024年の『あのクズを殴ってやりたいんだ』(TBS系)でも、奈緒さん演じる主人公の母親役。

『恋なんて、本気でやってどうするの?』では包丁を振り回しながら取り乱すシーンを怪演し、『いちばんすきな花』では女の子らしさを強要し主人公を苦しめる過干渉な役どころを好演、『あのクズを殴ってやりたいんだ』ではクズ男ばかりにハマってしまう男を見る目がないダメ母を演じました。

「華の85年組」として歌番組でも存在感

3度の不倫でも干されない「華の85年組」清純派女優がテレビに出続ける理由──“怪演女優”としての復権と、平成スキャンダルの遺産
画像:株式会社ポニーキャニオン プレスリリースより(PRTIMES)
 アイドル・歌手としての実績も素晴らしかったため、今年7月放送の『THE MUSIC DAY 2025』(日本テレビ系)に、「華の85年組デビュー」として南野陽子さん、浅香唯さんとともに3人で出演。同じく7月放送で作詞家・松本隆さんを特集した『うたコン』(NHK)にも、スタジオゲストとして出演していました。

歌番組以外にも、バラエティ番組や情報番組への出演も少なくありません。

 昨年はお昼のバラエティ番組『ぽかぽか』(フジテレビ系)にて、デビュー当時の思い出話などに花を咲かせていましたし、今年2月・3月にはお昼のバラエティ番組『ヒルナンデス!』(日本テレビ系)にて、全国各地の絶品グルメをショッピングするコーナーに出演していました。
今年5月には土曜朝の生活情報番組『サタデープラス』(TBS系)にもゲスト出演しています。

なぜ“3度の不倫”でも干されなかったのか

3度の不倫でも干されない「華の85年組」清純派女優がテレビに出続ける理由──“怪演女優”としての復権と、平成スキャンダルの遺産
画像:画像:株式会社ポニーキャニオン プレスリリースより(PRTIMES)
 数多くのドラマで主人公の母といった重要な役どころを演じており、アイドル時代の功績によって歌番組にも呼ばれ、主婦層がメインターゲットとなる昼の生放送バラエティや朝の情報番組にもゲスト出演して笑顔を見せる。

 ドラマ、歌番組、バラエティとジャンル問わずテレビで需要が非常に高い斉藤由貴さんですが、冒頭で述べたように過去に3度も不倫スキャンダルを起こしているのです。

 独身時代の1991年、妻子ある身だった歌手・尾崎豊さんとの禁断愛がスクープされています。当時斉藤さんが会見で、尾崎さんの妻に対して「私の会ったことのない、知らない人」と語ったことで、今で言う炎上状態になりました。

 同じく独身時代の1993年には既婚者の俳優・川﨑麻世さんと密会不倫が発覚。この際、斉藤さんは2度目の不倫スキャンダルだったこともあり、「本当に学ばない人間なんだなと、自分のことながら悲しい気持ちです」と語っていました。

 翌年の1994年に斉藤さんは結婚し、3人の子を授かります。こうして「恋多き女」といった印象を払拭していましたが、結婚から23年後の2017年、3度目の不倫スキャンダルが報じられたのです。

 妻子ある50代医師とのダブル不倫で、相手の医師が斉藤さんの私物と思われる下着を頭からかぶっているというショッキングな痴態写真も掲載され、再びイメージダウンの憂き目に遭うのでした。

ちなみに斉藤さんは昨春に離婚したそうなので、現在は独身に戻っています。

令和でも続く“ノーダメージ伝説”

3度の不倫でも干されない「華の85年組」清純派女優がテレビに出続ける理由──“怪演女優”としての復権と、平成スキャンダルの遺産
画像:BS日テレ プレスリリースより(PRTIMES)
 計3人の男性との不倫。しかも1人目、2人目は30年以上前の話ですが、3人目の50代医師との関係は2017年に報じられた後、2023年にも関係が継続していると思われる報道が出ており、ここ10年以内に2度に渡ってすっぱ抜かれています。

 年々世間の倫理観が高まっており、不倫スキャンダルに厳しくなっている昨今の傾向を考えれば、芸能人生が詰んでいてもおかしくないほど。
それにもかかわらず斉藤さんは芸能界から干されるどころか地上波テレビに出続けているのです。

不倫スキャンダルを起こしたほかの芸能人たちがなかなか復帰できなかったり、復帰したとしてもスキャンダル以前のポジションには戻れなかったりと、往時の勢いを失うのが常のなか、斉藤由貴さんだけはまるでノーダメージ。

 男性芸能人では不倫スキャンダルが出ても元どおり活躍できる人は少なくありませんが、女性芸能人では希有で、斉藤さんはかなり例外的と言えるでしょう。

“恋多き女”の免疫力が奇跡を呼ぶ?

 なぜ彼女の不倫は許されるのか?

3度の不倫でも干されない「華の85年組」清純派女優がテレビに出続ける理由──“怪演女優”としての復権と、平成スキャンダルの遺産
画像:株式会社ACD プレスリリースより(PRTIMES)
 要因として91年の1人目と93年の2人目のスキャンダルが、まだ昭和の慣例が色濃く残っていた平成初期だったことが挙げられるかもしれません。

 当時も、不倫報道の渦中ではメディアの追求や世間からのバッシングが激しかったものの、叩かれてから一定期間経てばほとぼりが冷め、スキャンダル前と同じような活躍ができるというケースは多々ありました。

 斉藤さんはそうして1人目と2人目の不倫が世間から許されていたので、2017年と2023年の報道の際、大衆は「またか」と思いながらも彼女に対する感覚が麻痺しており、平成初期だった前例に倣ってぬるっと復帰できたのではないでしょうか。

 平成後期やいまの令和の時代に“初”不倫スキャンダルが出た芸能人の場合、現代の倫理観によって社会的制裁を受けるわけですが、3度目の斉藤さんは過去と同様に平成初期の倫理観が適用されたと考えると、現在の活躍ぶりにも納得できます。

 平成初期に「恋多き女」といったイメージが定着していたことが、結果的に近年の不倫報道のダメージを最小限にとどめる要因になったのかもしれません。

<文/堺屋大地>

【堺屋大地】
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。『日刊SPA!』(扶桑社)で恋愛コラム連載、『SmartFLASH』(光文社)でドラマコラム連載、『コクハク』(日刊現代)で芸能コラム連載。そのほか『文春オンライン』(文藝春秋)、『現代ビジネス』(講談社)、『集英社オンライン』(集英社)、『週刊女性PRIME』(主婦と生活社)などにコラム寄稿。LINE公式のチャット相談サービスにて、計1万件以上の恋愛相談を受けている。
公式SNS(X)は @SakaiyaDaichi
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