今回は、説明のつかないような不思議な出来事に遭遇した女性のエピソードをご紹介しましょう。
彼との2回目のデートで江の島へ
角田未来さん(仮名・28歳/派遣社員)は、マッチングアプリで知り合った祐介さん(仮名・30歳/会社員)と2回目のデートで江の島へ行くことになりました。「祐介さんとは当時1日に何十回もLINEのやり取りをしていて、気楽に『お昼はこれ食べたよ』とか『今夕焼け綺麗』と写真を送り合う仲でした。
一緒に海辺を歩いたり海の家でかき氷を食べたりと、いかにも夏というデートコースを考えてくれた祐介さん。そんな彼のことを更にいいなと思いながら、次なる目的地の展望台へと向かったそう。
「その展望台からは海や街並みが一望できて、すごくいい景色だったんです。私たちははしゃぎながら、スマホで一緒に写真を撮っていました」
突然話しかけてきた女の子とツーショット撮影
すると、ふと未来さんの前を小学1年生くらいの女の子が通りがかりばっちりと目が合いました。ボブカットが似合う、色白で可愛らしい子でした。「女の子はすごく不思議そうな顔をして、しばらく目をぱちくりしていましたが、やがて満面の笑みを浮かべ私の方に駆け寄ってきたんですよ」
するとその女の子は「私も一緒に写りたい」と未来さんの服を掴んできたそう。

ですがその瞬間「あ、勝手に写真なんか撮ったりして、この子の親御さんにひとこと断ってからじゃないとマズかったかな?」と思った未来さん。しかし振り返ると、もうそこに女の子はいませんでした。
「まるで消えてしまったようで驚きましたが、祐介さんに『子どもはすばしっこいし、想像のつかない動きをするものだよ』と言われ、たしかにそうかもとその場は納得したのですが……」
写真を見た彼は、「ヤバッ」と叫んで青ざめた
さて2人に何が起こったのでしょう?「夕食を食べて帰ろうと入った海鮮居酒屋で注文を済ませ、撮った写真を見せ合って、ビールを飲みながらその日の思い出を語らっていたら……急に祐介さんの顔色が変わり『ヤバッ』と叫んで、私に1枚の写真を見せてきたんですよ」
それは未来さんとあの女の子のツーショットを撮ったものでしたが、なぜか女の子は写っていなかったそう。
さらに未来さんと祐介さんの自撮りツーショットの後ろに、あの女の子っぽいシルエットが映り込んでいるのを発見してしまいました。
現実的にあり得ない写真が撮れてしまった
「それが明らかに展望台のガラスの向こう、外側にいる女の子が、こちらを覗き込んでいる状態で。空中に浮いているようにしか見えない、現実的にあり得ない写真で唖然(あぜん)としてしまって」
「すると祐介さんはかなり怖かったのか動揺してビールのグラスを倒しちゃって。
女の子が教えてくれた2人の相性
ですが未来さんは不思議と怖くはありませんでした。「驚きはしましたが、あの女の子がたまたま私たちと波長が合って、嬉しくなってつい交流してしまっただけとしか思えなくて。まるで嫌な感じがしなかったんですよね」
そしてその不思議な写真をきっかけに2人はギクシャクしてしまったそうで……。
なぜか未来さんの気持ちも冷めてきてしまい、祐介さんもあの江の島デートのことは思い出したくないなど気持ちに変化があったようで、徐々に疎遠になってゆき連絡を取らなくなってしまいました。
「もしかしたらあの女の子の霊が、私と祐介さんは合わないよって教えてくれたんじゃないかな? と前向きに捉えるようにしているんですよね」
現在、未来さんはマッチングアプリで新しい出会いを探しているそうです。
<文・イラスト/鈴木詩子>
【鈴木詩子】
漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:@skippop