実は、男子小学生に選ばれる“黒いドラゴン”のデザインが施された裁縫セット、通称「家庭科のドラゴン」もサンワードが手掛けています。そこで、同社の営業・川中靖博さんにリトルボブドッグの誕生、詳細、活躍などについて取材しました。
アジアで根強い人気、グッズの売れ行きも好調
――サンワードさんはどのようなことを行っている会社なのでしょうか?川中さん(以下、川中):リトルボブドッグや「家庭科のドラゴン」のような既存キャラクターの活用や、オリジナルキャラクターの開発を提案するキャラクター事業と、商談の場で使うカタログ制作や、売り場のデザインや販促イベントなどを企画、提案、実施するセールスプロモーション事業を行っています。
――人気キャラクターを教えてください。

リトルボブドッグは、目立ちすぎず、企業のイメージやブランドを引き立てサポートをしてくれる黒子のような立ち位置で、採用いただいた企業、団体からは長く愛されています。また、中国を中心にアジアで根強い人気があり、海外の方もグッズをよく購入してくださいます。
一方で「家庭科のドラゴン」は際立った個性を持ち、存在感のあるキャラクターです。他の企業とコラボレーションをすると、ほとんど毎回と言っていいほどXで話題に上がります。かつての小学生男子からの人気を超える勢いで、現在人気が再燃し、グッズの売れ行きも好調です。
「平成の懐かしさ」感じるキャラクターが受けている
――20~30年前と今とで、人気の傾向に違いはありますか?川中:当社のものに関わらず、キャラクターはその守備範囲が広くなっている印象です。キャラクターは、昔は子どもだけのものでしたが、今は大人にも愛されています。
当社のキャラクターでいえば、今風のキャラクターよりは、平成の懐かしさを感じさせるキャラクターの方が、受けがいいですね。
今年7月、リトルボブドッグがXでバズった理由
――「なんか見たことがある」と言われるリトルボブドッグのプロフィールを教えてください。川中:1988年3月6日生まれのパワフルなダルメシアンで、スケートボードで移動しています。性格は単純明快でかなりのドジ。血液型はB型、身長は120cmで永遠の10歳です。ガールフレンドはプードルのチェリー。他にもボブの弟として育てられたアヒルのジーノ、ボブの大親友でブルドッグのアンクルブル、ボブを愛してやまないテナガザルのジミーなどがいます。
誕生のきっかけはクライアントからの依頼です。パジャマを作る取引先から「アメリカっぽいキャラクターはいないか」と問い合わせがあり、当時在職していたデザイナーが飼っていた犬をモチーフにして生み出したのが、このリトルボブドッグです。

川中:タンスのゲン(公式)さん発の「久しぶりにお聞きします。『〇〇(自社製品)』」という名を、1度でも聞いたことがある方は、正直にいいねしてください」という構文がXの各社公式アカウントの間で流行りました。
この投稿で、多くの方が「見たことはあるけど、名前は知らない」という共通認識をお持ちでいらっしゃることが可視化されました。当時の懐かしいグッズの画像や、それにまつわる思い出なども投稿していただき、盛り上がりを作れたのはすごくうれしかったですね。
おむつのデザインとして採用され、世代を超えた人気に
――中国では名前も知られています。どのような経緯で海を渡ったのでしょうか?川中:当社が1991年に企業向けの展示会に出展した際に、台湾の企業がブースに立ち寄ってくださり、リトルボブドッグに一目ぼれしたことから台湾に渡りました。その後1994年に中国に渡り、すぐにおむつのデザインとして採用されました。そのおむつを履いていた赤ちゃんが成長し、年齢に合わせたグッズの需要が高まり、子ども服や靴などの商品が展開されるようになりました。
また日本のNHKにあたると言われている中国CCTVでアニメが放送されたり、専門店がオープンしたり、子どもを対象にしたアパレルブランドの大規模なモデルオーディションが実施されたりと、みるみるうちに人気者になりました。今でも子どもから大人まで幅広い層から支持されていて、子ども靴は毎年新しいデザインが出るほどです。
――いっぽうで国内回帰もしている印象です。
川中:おっしゃる通りです。2023年の年末に経営層が変わり、創業者から現在の社長に世代交代しました。
また、Xの運用にも力を入れ、たびたび投稿が多くの方の目に止まり、おかげさまでよく「バズっている」と言われている状態になっています。それまで約600人だったフォロワーさんが、今では約1万9千近くに増え、日々温かく見守っていただいています。
【株式会社サンワード】
1988年に設立。大阪市に拠点を置き、リトルボブドッグその他オリジナルキャラクターの企画及び版権業務を行う他、セールスプロモーション事業を展開。X:@sunward_info
<取材・文/増田洋子>
【増田洋子】
2匹のデグー、2匹のラットと暮らすライター。デグーオンリーイベント「デグーサロン」を運営。愛玩動物飼養管理士2級を取得。Twitter:@degutoichacora