誰もが一度は見たことがあるけど、名前も設定も知られていないキャラクターっていますよね。株式会社サンワード(以下、サンワード)が生み出した犬のキャラクター「リトルボブドッグ」も、まさにそれにあたるかもしれません。


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 実は、男子小学生に選ばれる“黒いドラゴン”のデザインが施された裁縫セット、通称「家庭科のドラゴン」もサンワードが手掛けています。そこで、同社の営業・川中靖博さんにリトルボブドッグの誕生、詳細、活躍などについて取材しました。

アジアで根強い人気、グッズの売れ行きも好調

――サンワードさんはどのようなことを行っている会社なのでしょうか?

川中さん(以下、川中):リトルボブドッグや「家庭科のドラゴン」のような既存キャラクターの活用や、オリジナルキャラクターの開発を提案するキャラクター事業と、商談の場で使うカタログ制作や、売り場のデザインや販促イベントなどを企画、提案、実施するセールスプロモーション事業を行っています。

――人気キャラクターを教えてください。

「この犬の名前、分かる?」誰もが見たことある“懐かしキャラ”の正体は。日本で生まれ、アジアでも大人気
算数・漢字ドリルの他、裁縫箱、お菓子、信用組合のキャラクターとして採用
川中:
弊社には70種類以上のキャラクターがいます。どのキャラクターもさまざまな業種の企業に起用していただいていますが、その中でも「リトルボブドッグ」と「家庭科のドラゴン」の人気が飛び抜けています。

リトルボブドッグは、目立ちすぎず、企業のイメージやブランドを引き立てサポートをしてくれる黒子のような立ち位置で、採用いただいた企業、団体からは長く愛されています。また、中国を中心にアジアで根強い人気があり、海外の方もグッズをよく購入してくださいます。

一方で「家庭科のドラゴン」は際立った個性を持ち、存在感のあるキャラクターです。他の企業とコラボレーションをすると、ほとんど毎回と言っていいほどXで話題に上がります。かつての小学生男子からの人気を超える勢いで、現在人気が再燃し、グッズの売れ行きも好調です。

「平成の懐かしさ」感じるキャラクターが受けている

――20~30年前と今とで、人気の傾向に違いはありますか?

川中:
当社のものに関わらず、キャラクターはその守備範囲が広くなっている印象です。キャラクターは、昔は子どもだけのものでしたが、今は大人にも愛されています。

当社のキャラクターでいえば、今風のキャラクターよりは、平成の懐かしさを感じさせるキャラクターの方が、受けがいいですね。
例えば、リトルボブドッグはいくつかのデザインがありますが、漢字や算数のドリルに使用されていたクラシックなデザインが一番人気です。

今年7月、リトルボブドッグがXでバズった理由

――「なんか見たことがある」と言われるリトルボブドッグのプロフィールを教えてください。

川中:
1988年3月6日生まれのパワフルなダルメシアンで、スケートボードで移動しています。性格は単純明快でかなりのドジ。血液型はB型、身長は120cmで永遠の10歳です。ガールフレンドはプードルのチェリー。他にもボブの弟として育てられたアヒルのジーノ、ボブの大親友でブルドッグのアンクルブル、ボブを愛してやまないテナガザルのジミーなどがいます。

誕生のきっかけはクライアントからの依頼です。パジャマを作る取引先から「アメリカっぽいキャラクターはいないか」と問い合わせがあり、当時在職していたデザイナーが飼っていた犬をモチーフにして生み出したのが、このリトルボブドッグです。

「この犬の名前、分かる?」誰もが見たことある“懐かしキャラ”の正体は。日本で生まれ、アジアでも大人気
「リトルボブドッグ」の元気ボブ。同じリトルボブドッグでも、複数のデザインがあります
――リトルボブドッグの名前を問う、7月13日のX(旧Twitter)での投稿がバズりましたよね。投稿を行った意図と、反応への感想をお聞かせください。

川中:
タンスのゲン(公式)さん発の「久しぶりにお聞きします。『〇〇(自社製品)』」という名を、1度でも聞いたことがある方は、正直にいいねしてください」という構文がXの各社公式アカウントの間で流行りました。
それに乗る形で、「初めて聞きます」とアレンジして、リトルボブドッグの名前を尋ねる投稿を行いました。

この投稿で、多くの方が「見たことはあるけど、名前は知らない」という共通認識をお持ちでいらっしゃることが可視化されました。当時の懐かしいグッズの画像や、それにまつわる思い出なども投稿していただき、盛り上がりを作れたのはすごくうれしかったですね。

おむつのデザインとして採用され、世代を超えた人気に

――中国では名前も知られています。どのような経緯で海を渡ったのでしょうか?

川中:
当社が1991年に企業向けの展示会に出展した際に、台湾の企業がブースに立ち寄ってくださり、リトルボブドッグに一目ぼれしたことから台湾に渡りました。その後1994年に中国に渡り、すぐにおむつのデザインとして採用されました。そのおむつを履いていた赤ちゃんが成長し、年齢に合わせたグッズの需要が高まり、子ども服や靴などの商品が展開されるようになりました。

また日本のNHKにあたると言われている中国CCTVでアニメが放送されたり、専門店がオープンしたり、子どもを対象にしたアパレルブランドの大規模なモデルオーディションが実施されたりと、みるみるうちに人気者になりました。今でも子どもから大人まで幅広い層から支持されていて、子ども靴は毎年新しいデザインが出るほどです。

――いっぽうで国内回帰もしている印象です。

川中:
おっしゃる通りです。2023年の年末に経営層が変わり、創業者から現在の社長に世代交代しました。
リトルボブドッグをもう一度日本に広めることもそうですし、露出が減っていた「家庭科のドラゴン」のコラボレーションや自社グッズの販売などを積極的にしていく方針に転換しました。

また、Xの運用にも力を入れ、たびたび投稿が多くの方の目に止まり、おかげさまでよく「バズっている」と言われている状態になっています。それまで約600人だったフォロワーさんが、今では約1万9千近くに増え、日々温かく見守っていただいています。

【株式会社サンワード】
1988年に設立。大阪市に拠点を置き、リトルボブドッグその他オリジナルキャラクターの企画及び版権業務を行う他、セールスプロモーション事業を展開。X:@sunward_info

<取材・文/増田洋子>

【増田洋子】
2匹のデグー、2匹のラットと暮らすライター。デグーオンリーイベント「デグーサロン」を運営。愛玩動物飼養管理士2級を取得。Twitter:@degutoichacora
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