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日々、老若男女さまざまな人が乗り合わせる電車。
今回は、通勤の電車内で遭遇したとんでもない出来事を小島亜子さん(仮名・41歳)が語ります。
登山帰りの70代女性2人組
亜子さんは毎日通勤で電車を利用しています。通勤は乗り換え無しで1時間ほどの距離。平日でも18時頃だと仕事帰りの人が多く、電車内は混んでいるそうです。「帰りの電車は結構混んでいるので、1本遅らせて座れるように調整しています。日中ずっと立ち仕事なので、1時間電車で座れるとラクなんですよね」
ある日、いつものように亜子さんが帰りの電車に乗ると、途中駅で70代位の女性2人が乗ってきたそう。服装から、山登りの帰りだとすぐに分かったと言います。
「私たち、疲れてるよねー!」大きな声でアピール

すると女性は持っていた登山用のスティックを、亜子さんが譲った席に突き出したそう。
「私は席をゆずる気で立ったのですが、女性は他の誰かに席を奪われないようにと必死の様子でした。杖のような登山用のスティックは、まるで女性の長い手のように伸びてきて、本当に驚きました」
女性に席を譲った亜子さんは、女性の前で吊り革を持って立つことになったそう。
「座席に座った女性は、座れなかった連れの女性を気にしているようでした。自分だけ座れたのが申し訳ないという気持ちだったのでしょうかね。
その内、大きな声で周りにアピールし始めて。『言おうか? ね、言おうか? 私たち、疲れてるよねー! ねぇ、あなた腰、痛くない? 大丈夫? 次の駅で降りる人は誰だろうねー!』と。その声は車内に響き渡る声でしたね」
明らかに席をゆずって欲しいというアピールだったものの、目立ち過ぎる女性の言動に対して、周りの人はうつむいてしまい反応ができなかったようです。
登山リュックが宙を舞った!
結局3駅、4駅と進んでも座席はあきませんでした。その間も女性は周りの人をキョロキョロ確認したり、ジロジロと睨みつけたりして落ち着かない様子。そしてついに5駅目に停車する間際に、女性の2つ隣の座席が空きます。
「いや、あの時は驚きましたよ。2つ隣の席が空いた途端、女性は登山リュックを空いた座席に向かって投げたんです! すぐ隣にも奥にも座っている人がいたので、女性が投げたリュックが身体にぶつかっていました。前に立っていた私にもリュックの紐が少し当たりましたよ」
登山リュックは、頭の部分からお尻当たりまで長さもあるかなり大きいサイズ。リュックには、紐やバックルのパーツも付いていたそうです。
「疲れているのは分かるし、私たちより高齢の方は疲れやすく身体に痛いところがあるのかもしれないし、快く席を譲らなければいけないとは思います。でも、あんな風に周りに迷惑をかけるのはマナー違反ではないでしょうか?」
捨て台詞まで…

「電車内でのマナー違反はたびたび騒がれますが、どんな世代でもマナー違反をする方はいますよね。控えめでいては、席をゆずってもらえないと思ったのかな。なんだか残念な気持ちになってしまいました」
2人の高齢女性は目的の駅まで隣の座席に座っていたそうですが、後から座った女性は下車するまでずっと、うつむいていたそうです。
<取材・文/maki>