『アメトーーク!』(テレビ朝日 毎週木曜よる11時15分)の「BS大戦争芸人」でも番組がピックアップされて話題を呼びました。
ケンコバさん自身、地方営業などの際、ビジホを利用しているそうです。一方、この番組に対する取り組み方は、芸歴32年目となったケンコバさんにとっても「新感覚」なのだそうです。今回は番組にまつわる様々なエピソードを話してもらいました。
異常なくらい「『ビジホ泊』見ています」と声を掛けられる

ケンドーコバヤシさん(以下、ケンコバ):今日はいつもと勝手が違い過ぎてね。番組の中では、あきらかに昭和に建立されたホテルのことを指して「ストロングスタイル」と呼んでますが、ここは真逆な印象で洗練され過ぎてますよね。さっきも若い女性客2人がフロントで宿泊手続きしていましたから。ここは楽しめるでしょうね。僕なんかはいつもと雰囲気が違い過ぎて緊張してますもん。

ケンコバ:魅力、なんでしょうね。実は僕もまだ正直、掴み切れていないというか。でもこの番組が始まってから、本当に異常なくらい「『ビジホ泊』見ています」と声を掛けられるようになったんです。
ただ今までの自分の仕事への向き合い方と比較すると、相当脳みそをまわしていない収録といいますか(笑)。良い言い方をすれば自然体というか。それが功を奏したとしか考えられないですね。
――長いキャリアを持つケンコバさんも、新しい感覚での仕事の向き合い方?
ケンコバ:ホンマに新感覚ですよ。
ビジホ泊には「自由があります」

ケンコバ:四国や九州に行った時はビジホに泊まることは多いですけど、ホンマにこんな過ごし方をしてるだけですね。だからこの番組での姿は等身大も等身大です。
――ケンコバさんとビジホの歴史を遡ると、2007年に放送された『アメトーーク!』(テレビ朝日 毎週木曜よる11時15分)の「ホテルアイビス芸人」に出演されていました。
ケンコバ:そうですね。僕なんか当時、年間宿泊数が200日を超えてましたから。
――そういう意味だと、“ビジホを知り尽くしている男”と言っても差し支えないかと思いますが、以前と今を比較して“ビジホも進化したな”と感じる部分は?
ケンコバ:それこそ昔は“泊まれたらいい”みたい感覚だったと思うんですね。とにかく夜、寝る場所を確保するみたいな。
加えてディナーが自分で選べるっていうね。旅館だとご飯の時間にこっちも合わせなくちゃいけないですから。その街にある良さげな店を選んで、ふらっと立ち寄れる自由がありますよ。
――ビジホを起点としながら、街を練り歩く楽しさはありますよね。
ケンコバ:そうなんですよ。ビジホを基地にできますから。
「おばけなんかないさ」を歌えばいい

ケンコバ:それこそ「ホテルアイビス六本木」に泊まっていた時、1度だけポルターガイスト現象を体験したんです。
――えっ?
ケンコバ:はい。でも「おばけなんかないさ」を歌ったら、止まったんです。連泊したんですけど、その後はまったく起きなかったですね。どんなお祓いよりも効果ありますよ。
――そういった時の対処法としてオススメ?
ケンコバ:オススメです。ビジホでそんな体験をしたことある人もいると思いますけど、怖いことなんて何もないです。「おばけなんかないさ」を歌えばいいんですから。
印象的なビジホは?

ケンコバ:草津のビジホ(ビジネスホテル アゼリア)に行った時ですかね。老舗の施設だったんですけど、マッサージ機が充実していたんです。酸素カプセルもあったりしてね。聞くところによると土地柄、スキー選手が泊まったりするらしくて、体のケアのために必要なんですよね。それで納得しましたけど、「酸素カプセルもあるのか」と驚きましたね。
――ケンコバさんは『アメトーーク!』の「ドーミーイン芸人」にも出演されていましたが、ドーミーインも充実したサービスを展開していますよね。
ケンコバ:ドーミーインなんてだいたいの施設で天然温泉やサウナを楽しめますから。あれはホンマ、エゲツないサービスですよ。夜鳴きそばも無料で食べられるっていうね。改めてスゴいですね。
日本はなんだかんだ安全です

ケンコバ:僕なんかこの番組でその土地のお店に入ってお酒を飲んだりするじゃないですか。でもあれができない人が意外といるみたいですね。コンビニで済ましちゃうみたいな話をよく聞くんですよ。
――部屋飲みもそれはそれで楽しいけれども、ということですね。
ケンコバ:それはそれでいいんですけどね。ただひとりで居酒屋に入っても意外と何も怖くないっちゅうことを知ってほしいというか。僕なんかこれまで軽く数えて数百以上、そんな夜を過ごしてきましたけど、トラブルになったことは2回くらいですから。
――あるんですね(笑)。
ケンコバ:あるにはあります。ただそれは一応テレビなどに出ているケンドーコバヤシがあってのトラブルですから。
――確かに。どうしても目立ちますし。
ケンコバ:「あっ、誰々だ!」とならない限りはトラブルなんてほぼ起きないでしょう。
――安全という視点の一方で、楽しさはどんなところにありますか?
ケンコバ:脳を停止してボーッとできるところじゃないですか。仕事として出張で来ているのに、居酒屋にいる時間は仕事から離れられますから。
墓を建てるなら熊本

ケンコバ:僕の地元なんですけど、大阪なんかは良いでしょうね。
――どういったところが?
ケンコバ:まず道が明るいですし。たまに俺も「怖いな」って思うくらい、道が暗い街に行くことがあるんですよ。気さくな人も多いと思います。
――ケンコバさん自身が「やっぱり好きだな……」としみじみ思う街は?
ケンコバ:それはやっぱり福岡でしょうね。まず飯が美味いというのが保証されてますし。あと、これは僕の個人的な趣味ですけど、やっぱり女性の博多弁が可愛いっていうね。自分の生まれ育ったところ以外の方言を聞くっていうのは男女問わず良いもんやと思います。
――ケンコバさんは各所でたびたび熊本愛を叫ばれていますが、それについてはいかがですか?
ケンコバ:熊本ですか? まぁ僕が墓を建てるなら熊本にと決めてますから。それくらい思い入れがある街です。まぁ事情は深く話せないですけどね(笑)。



<取材・文/中山洋平 撮影/藤木裕之>
【中山洋平】
1983年生まれ。群馬県前橋市出身、埼玉県川越市育ち。主にエンタメ分野のニュース・インタビュー記事を執筆。サウナ、ビジネスホテル、ファッション、Mリーグ、ボウリング、The Beatles、サザンオールスターズ、坂道シリーズ、お酒を好む。X:@yhinakayama