観測史上最高の41.8℃という記録も出ました(群馬県)。9月も猛暑日が続くと予想されていて、もうヘトヘトですね。
この異常な暑さが続く中、「“極暑バテ”が進行し、免疫力の低下につながる人が増えています」と警鐘を鳴らすのは、“現代バテの専門家”谷口英喜医師です(神奈川県済生会 横浜市東部病院 患者支援センター長)。
そこで谷口先生に、極暑バテの傾向と対策や、免疫力低下を防ぐ方法を聞きました。

だるい、風邪っぽい、熟睡できない…
まずは、みんながどのような不調を感じているのか、見てみましょう。リサーチ会社のイー・クオーレが7月に行った調査(※)によると、約8割の人が「今年の夏は例年よりも暑い」と感じており、約半数が疲労感を強く感じ、3割は体調を崩していることが明らかになりました。
今夏体調を崩した人の症状で、ワースト3は以下のとおり。
・1位 夏バテのような強いだるさ・倦怠感 53.4%
・2位 風邪のような症状 36.3%
・3位 睡眠の不調 32.3%
そう、特定のどこかに症状が現れるというより、カラダ全体がバランスを崩して悲鳴を上げている感じなんですよね。

2025年7月24日~7月25日、全国の20~69歳にインターネット調査。有効回答数は1000サンプル(各年代の男女100名ずつ)
新型コロナも増加中!暑さと感染症の関係
今年は、暑さが異常なだけあって、夏バテも例年とは違うと谷口先生は指摘します。「これまでの夏バテとは異なり、災害級の猛暑とその連続により『極暑バテ』に進行していると考えられます。夏バテと残暑バテ、さらには秋バテの症状が重なる新しいタイプのバテです。
『極暑バテ』で注意すべきは免疫力の低下。放っておくと、免疫力が低下したまま、秋以降の本格的な感染症シーズンに突入してしまいます」(谷口先生)
免疫力の低下は、感染症リスクにつながります。今年は6月から百日咳が大流行し、年間の累計患者数は過去最多で6万人を突破。
また、新型コロナの感染者数も増えています。
「極暑バテ」チェックリスト。これは病気です
「バテとは、何かの原因によってカラダが疲れすぎてしまい、その原因に対抗するエネルギーが不足してしまった状態です。バテは病名ではありませんが、確かに症状が存在する『病態』なのです」(谷口先生)つまり「ただの夏バテ」とナメてはダメで、「病気」と考えるべきなんですね。
============
<極暑バテのチェックリスト>
以下のうち3つ以上当てはまれば、極暑バテの可能性があるそうです。
□ 何ごとをするにも面倒に感じる
□ よく寝たはずなのに昼間でも眠い
□ 空腹感、食欲がない
□ 物事に集中できていないと感じる
□ 朝起きたときにも疲れがたまっている
□ 電車やバスなどですぐにでも座りたい
□ 肩や首筋のこりや目の疲れを感じる
□ 栄養ドリンクやサプリをとる機会が増えた
□ 便秘などお腹の調子が悪い
□ 立ちくらみを感じることが増えた
============
筆者は5つ当てはまりました、これはマズい……。
なぜ暑すぎると免疫力が下がるの?
でも「極暑バテ」で免疫力が低下するというのは、どういうメカニズムなのでしょうか? 以下は谷口先生の解説です。猛暑や屋外と室内の温度差などのせいで、体温をコントロールしている自律神経が疲弊して、ホルモンバランスも崩れてしまいます。さらに、猛暑が続くと交感神経が優位になり、アドレナリンなど抗ストレスホルモンが働き続け、疲労が蓄積します。
また、交感神経が優位だと、胃腸の働きも弱まって、体力も弱まります。
これらが相まって、免疫力を低下させるのです。暑熱環境では免疫力が低下することが、動物実験などでも明らかになっているそうです。
極暑バテに負けないために、今すべきこと
では、極暑バテに負けない、免疫力を低下させないカラダづくりには、何をしたらよいのでしょうか?
<極暑バテに負けないカラダづくり>
1.ヨーグルトなど発酵食品を摂る(腸内環境を整える)
2.体力消耗の予防(とにかく休もう)
3.白湯を飲む(朝、口をすすいでから)
4.規則正しい生活(朝、日光を浴びる)
5.軽い運動(ストレッチやスクワットなど)
============

「腸には7割の免疫細胞が集まっているとされます。特に小腸のパイエル板という場所では、食べ物から入ってきたウイルスや細菌などを排除する免疫システムが整っています。
そして、発酵食品に含まれる乳酸菌は、パイエル板で免疫細胞を刺激して免疫システムを活性化することがわかっています。例えばヨーグルトは夏に食べやすく、タンパク質が豊富で栄養補給にも最適です」(谷口先生)
体力や免疫力を回復するのには、時間がかかります。今のうちからカラダづくりをして、秋冬にやってくる感染症の本格シーズンにそなえましょう。
<文/溝口ゆかり>