いいアイデアだと思うのに、なぜか上司には響かない。パートナーにお願いしても、いまいち動いてくれない。
男性に対して、そんなすれ違いを感じたことがある女性は、決して少なくないはずです。でも、実はそんなモヤモヤが生まれるのは、能力や熱意の問題ではなく、“脳の使い方”の違いが原因かもしれません。

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 脳科学者の黒川伊保子さんいわく、「女性ならではの直観力は、ビジネスでも家庭でも大きな力になるけれども、男性にその魅力を伝えるには、ちょっとしたコツが必要」なのだと語ります。

 そこで、脳の使い方を変えて運を引き寄せる方法を紹介した新刊『運のトリセツ』を上梓した黒川さんに、直感力を活かして男性の心を動かす「伝え方」のテクニックを伺いました。

“女性の直感力”が男性に響かない理由 あなたのアイデアが上司に伝わらないのは脳の使い方の違いだった
黒川伊保子「運のトリセツ」
※本記事は、『運のトリセツ』より一部を抜粋・再構成しています。

“女の直感力”で、ものごとをスムーズに進めるコツ

“女性の直感力”が男性に響かない理由 あなたのアイデアが上司に伝わらないのは脳の使い方の違いだった
画像はイメージです(以下同)
 様々なアイデアを生み出し、商品の売上にも貢献する女性の「直感力」。企業の発展に欠かせない、女性ならではの才能といえるかも。

 でも、「伝え方」によっては、男性上司や取引先には理解されにくく、意見を聞き入れてもらえないこともあります。「直感力」を活かして、さらにそれを上手に伝えるテクニックをマスターした女性は無敵かもしれません。

「直感力」とは、「潜在意識」の領域で感じたことを、「顕在意識」に伝えてくる力。

 女性は、右脳と左脳の連携力が強く、直感力に優れています。

 一方、男性は、その連携力が弱いため、空間認識力を使って物事のありようを見抜く「直観力」ははたらきますが、「直感力」は女性と比べるとはたらきにくい面があります。

 たとえば、オフィスの会議室で、新商品開発のための会議をしている、というシチュエーション。


 女性であれば、商品の想定ユーザーの様々な生活シーンを、自分の身体で起こったように想像できます。新商品であるシャンプーを商品棚で見たとき、濃いピンクが目に飛び込んできたときのトキメキ、手に取ったときのボトルの丸み、匂い。使い終わって、新しいものを買いに行くときに、そのネーミングを脳で振り返ったときにどんな感じか……。

 そうしたことを“自分の身に起こったように”思いつくのです。 そして、「この商品のコンセプトは、これしかないよね」という“決め打ち”の案が、必ず降りてくる。

責務があるとき、男性の脳は直観力が働かない

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上司面接話し合い交渉
 一人の女性が心の底から強く思ったことに、他の二人の女性が「あるある、わかる」と同意したら、それは普遍の真理に近い。世界の真理ではなくても、その場の真理であることは間違いありません。ターゲットを絞り込んだマーケティングなら、十分通用します。

 私は、最終決定権を持つ男性の方には、「三人の女性が魂で感じたことは、三千人の女性に聞いても同じこと。女性プランナー三人が口を揃えて主張したら、アンケートなんかに頼らなくても、GOを出して大丈夫」と言っています。

 ところが、男性の多くは「責務」のもとに動いているときには(つまり会社の会議室では)、直感力の要かなめである左右の脳をつなぐ脳梁がほとんど働きません。その代わりに、量や数を知覚し、比較によって世界観を構築する空間認知力を使います。このため、彼らは、「数字で証明すること」を望み、方向性の違う複数の提案をもらって、それらの位置関係でしかジャッジできないのです。


“見せ提案”をつけた上で「イチ押し」を言う

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会議
 そんな男性たちに意見を通したいなら、女性は「直感力」だけでものを言わないことが大事です。

 つまり、提案が「A案、一つだけ」だと、「思い込みが激しい女」と思われるだけ。「これしかないイチ押し」があっても、「いちいち説明しないとわからないなんて、バカみたい」と思っても、見せ提案を最低二個以上つけるのがコツ。

 その上で、「私がピンときたイチ押しは、こちらの案です」とつけ加えるといいでしょう。さらに、相対数値をつけて表にしたり、グラフにしたりすると、男性は安心して聞き入れてくれます。

男性には「理詰め」が効く

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家事を分担するカップル
 パートナーに家事を手伝ってもらうときも同じ。

 漠然と「私も働いているのだから、半分やってよ」と言っても、そもそも「何が半分か」もわからない男性脳には、グチにしか聞こえません。家事をリストにして、分担チェックを入れて渡すと、何をやってもらいたいか、それが全体のどこに位置するのかがわかって、男性脳の「使命感」を喚起できます。

 たとえば、ゴミ捨て一つをとっても、

1. ゴミ袋を切らさないようにキープする
2. 分別ゴミの種類別に置き場所を決めて、それぞれの容器を用意し、それを清潔に保つ
3. ゴミ出しの日を把握し、ゴミ出しのアクションを起こす
4. ゴミを集める
5. ゴミ袋を閉じる
6. ゴミを捨てる

 という六工程は最低あるわけです。

 それを見せて「あなたは、この最終工程をお願いね」とチェックを入れると、ゴミ出しの大変さ、自分のタスクの位置づけがわかり、「せめて、これだけはしっかりやってあげよう」と思ってくれたりします。

“イヤな気持ち”を顔にすぐ出さない

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不満
 また、直感力の強い女性が気をつけたいのが、「イヤ」だと思ったことを顔に出さないこと。

 仕事上ならたとえば、金曜日の夕方五時になって、男性上司から、少なく見積もっても四時間はかかるような仕事を、「月曜日の朝十時までに仕上げておいて」と言われるようなケースですね。

 そんなとき、「なかなか会えない彼と、久々のデートなのに」「明日、朝早くから遠出するつもりだったのにひどい」という気持ちが、すぐに顔に出てしまうのが、女性の弱点。

 でも、仕事のシーンでそれを出したら負け!

 そこで、顔色を変えずに、やれることを探します。
「月曜日、早出をして正午までに仕上げますが、いかがでしょうか」と「被害者顔」をせず、さらりと代案を伝えましょう。

 金曜日の5時から月曜日の10時までに、営業時間は1時間しかないことは、上司も冷静になればわかります。その理解を呼ぶために、恨みがましい顔で「ひどい」と訴えるか、冷静に代案をぶつけるか――

 だんぜん後者のほうがお得です。要は「伝え方」。

 男性脳を理解し、ちょっとしたテクニックを覚えておくだけで、心地よく仕事をすることができますよ。

<文/黒川伊保子>

【黒川伊保子】
(株)感性リサーチ代表取締役社長。1959年生まれ、奈良女子大学理学部物理学科卒業。コンピューターメーカーでAI(人工知能)開発に従事、2003年現職。『妻のトリセツ』『夫のトリセツ』がベストセラーに。近著に『息子のトリセツ』『母のトリセツ』
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