婚活で効率中毒にハマり、条件が厳しくなる女性たち
今の婚活は「条件」が先に見えて、希望の相手を探していく方法が主流です。最も利用者が多いマッチングアプリでは、年収・学歴・身長など細かい条件で検索できます。ただし、マッチングアプリは年収も学歴も基本的に証明書などを提出しない自己申告ですし、メッセージのやりとりを重ねてデートにこぎつけなければなりません。「付き合い始めたけど、相手に結婚願望がなかった」というケースもあります。
そのため、マッチングアプリの出会いは非効率だと思う女性が、結婚相談所を利用するケースが増えています。女性無料が多いマッチングアプリとは異なり、女性も高い登録料を払って入会します。その分「“いい男”に会いたい」という欲が強くなる女性もいます。
筆者のところへ相談に来た真由美さん(仮名・35歳)という女性も、そんな一人でした。
無駄な出会いは排除、相手の大学名を知ってから会いたい
人と人だから、結局は会ってみないと分からないのですが、できるだけ会う前に効率的にスクリーニングしていました。「35歳になって、会える男性のランクがぐっと下がった感じがするんです。自分から30人ぐらい申し込み(結婚相談所における、会いたいという意思表示)しても全員から断られました。
同年代の男性がいいんですが、30代で申し込みをしてくれた男性は東海大卒の1人だけで、会おうかどうか迷いました。
東海大は中堅私大の中でも知名度が高く、学部によっては全国的にも高い評価を得ている大学。十分立派な学歴なのに……。
なお、真由美さん自身は早稲田大学を卒業しています。学歴に強いこだわりを持つ理由は、のちに明かされます。
相手が公開していない学歴を、無理やり調べていた
ここまで話を聞いて「おや?」と気がつきました。真由美さんが断られた東海大卒男性のプロフィールには「大卒」としか書かれていません。婚活では有名大学を卒業した男性ほど、大学名を公開する傾向はあります。
「大卒としか書いていないのに、なぜ卒業大学が分かったのですか?」
「結婚相談所に聞いたからですよ。よく分からない大学の人と会うのって無駄じゃないですか」

知り合いの仲人に聞いたところ、真由美さんのような女性はたまにいるそうです。その結婚相談所にも、男性会員の卒業大学や貯金額について問い合わせが来ることがあるそうです。
「相手が公開していないのに、大学名をわざわざ聞き出してから会おうとする女性って、選民意識が強くて“ヤバい”んですよね。人気がある男性はこういう人を選ばず、みんな大らかな女性と結婚していくのに。聞かれれば回答するけれど、正直なところそのご縁は応援したくないですね」
と、その仲人は言っていました。
選り好みしているのは相手にもバレバレ
真由美さんの場合、他にも良くない点があります。大学名を調べてもらっていたため、男性からの申し込みを受諾したのは、申し込みから7日目でした。真由美さんが利用している結婚相談所ではお見合いの回答期限が7日です。
ギリギリで回答しているため、相手側に“補欠扱い”のような印象を与え、会う前からモチベーションを下げさせているのです。
「それでも、会って無駄になることは避けたいじゃないですか」
「事前に確認しすぎる方が、会う前から印象悪くなって、出会いを無駄にするんですよ。相手だって、他のもっと若い女性とも比較検討して選んでいるんですから」
「それはそうなんですよね」
真由美さんはなんとか、次からは大学名は知らないままでも会うことを承諾してくれました。
教育方針にこだわりすぎて、出産自体が遠のきかねない
真由美さんが相手の大学名をここまで気にするのは、子どもが生まれてから教育方針で揉めないようにという思いがあるそうです。「私は親から習い事もたくさんやらせてもらったんです。子どもが生まれたら同じようにしてあげたいし、中学受験もさせていい大学に進学させたいんです」
「有名大学に進学した方でも、地方出身の方など、そんなに習い事をさせていないケースもあると思うんですよ。
すると驚きの答えが返ってきました。

詳しく聞くと、真由美さんは相手の両親の学歴まで確認し、どちらかが非大卒の相手は会っていなかったそうです。
「早稲田に入ってなかったら、自分の人権はなかった」
真由美さんの母親は教育熱心で、両親とも有名大学卒でお父さんは官僚でした。小学校時代からSAPIX(中学受験に特化した大手集団塾)に通い、中学からも夏休みに合宿があるような学習塾に入り、有名大学を目指します。「早稲田に進学できなかったら自分の人権はなかった」と言います。「私って、親が気に入る人を探していたんですかね」
「そうかもしれないですね。結婚相手の親の学歴なんて、知らない夫婦もかなり多いと思いますよ。これからは、親の学歴は見ないで会ってみてはどうでしょうか」
「……まだ折り合いが付けられなくて、少し考えてみます」
真由美さんは少し婚活をお休みして、自分と向き合う時間を作ってみると言っていました。
彼女のように親の期待に応えようとして、自分の年齢が上がっても条件を整理できず、苦しい婚活を自分に強いる女性は多いです。親が結婚するわけじゃないし、これからの人生では、親より配偶者の方が付き合いが長くなるのに。
※個人が特定されないよう一部脚色してあります。
<文/菊乃>
【菊乃】
恋愛・婚活コンサルタント、コラムニスト。