あなたにとって、今までで最も強敵だと思った「恋のライバル」はどんな人でしたか?

 今回は、そんなライバルに尻込みしつつも立ち向かった女性のエピソードをご紹介しましょう。

飼い猫を溺愛している彼氏

バッグをボロボロにされ、靴の上にうんこ…彼氏の猫に嫌われてた...の画像はこちら >>
 相田美優さん(仮名・29歳/会社員)は、同じ部署の裕之さん(仮名・33歳/会社員)とお付き合いを始めたばかりです。

「最初は仕事仲間として相談したり、ときどき食事に行ったりしていたのですが、どんどん会う頻度が増えて。
好意を持つようになり、いつの間にか付き合うようになっていましたね」

 そんな美優さんは、初めて裕之さんの部屋へ行くことになりました。

「それまでは、職場に近い私の部屋で過ごすことが多くて。あと、なんとなく部屋に行きにくかったのは、裕之が飼い猫の『みーにゃん』を溺愛していると聞いていたから。私は猫に免疫がなく、うまく接することができるか不安だったんですよ」

みーにゃんには初対面から威嚇されて

 そして緊張しながら裕之さんの住むマンションに向かい、みーにゃんとの初対面を果たした美優さん。

「玄関にいた三毛猫のみーにゃんに『はじめまして。美優です』と挨拶しながら、頭を撫でようと手を近づけたら……シャー! と威嚇しながら猫パンチで制されました。完全に『誰がお前なんかに触らせるかよ』という雰囲気でしたね。やってしまいました」

バッグをボロボロにされ、靴の上にうんこ…彼氏の猫に嫌われてた私。最悪の仲から「仲良くなれた」意外なきっかけは
恋のライバル
 裕之さんに「ごめんね! みーにゃんは気難しいところがあるけど、最高にいい子だから仲良くしてほしい」と謝られながら、美優さんは不安な気持ちになりました。

「みーにゃんは裕之が23歳の時に拾った猫で、10年も一緒にいるせいか古女房のような貫禄がすごくて。そこにぽっと出の私が入っていけるのかな? と考えてしまいましたね」

バッグで爪を研がれ、靴の上にうんこされ

 でも少しずつ信用してもらえるように関係性を築くしかない。美優さんがそう決意した矢先……。

ソファーに置いてあった私のバッグで、みーにゃんが爪を研いでいたんです。バッグはボロボロになっていて、思わずため息が出ました」

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長毛の三毛猫
 それから来る日も来る日もみーにゃんは、美優さんが来るたびに靴の上にうんこをするなど、敵意をむき出しにしてきたそう。

「お土産に“ちゅ~る”を持っていっても全然食べてくれないし、テーブルに置いてあった私のスマホを床に落とされ、壊されてしまったこともあります。
とにかく何度会っても一向に慣れてくれず心が折れそうでしたね」

彼氏の「ポテチ食べすぎ問題」も気になる

 そして美優さんには、みーにゃんの件とは別にもう一つ気になることがありました。

裕之が、毎日夕食後にテレビを観ながらポテチを一袋食べるんですよ。『健康に良くないし、どう考えても食べすぎだよ』と言っても『この時間が至福で、ずっとやってきた習慣だから無理かも』と改める気はないようでした」

 美優さんはどうしてもその悪習を止めさせたいと考えたそう。

「でも、無理にポテチを取り上げるのは逆効果だと思いました。夕食にお菓子っぽいおかずを出して満足感を出したらいいんじゃないかな? と思い、ネットでレシピを調べまくって試行錯誤したんです」

 そしてじゃがいものソテーや、長芋をスティック状にして焼き揚げしカレー味にしたものを裕之さんに出してみるとおおむね好評でした。

「特にオクラの唐揚げにはハマってくれて。『にんにく味でパンチのきいた、サクトロ食感がたまらない』とたくさん食べてくれて、自然とポテチに手が伸びる回数が減っていったのでホッとしたんですよね」

やっとみーにゃんに認めてもらえた理由

 そしてついには、裕之さんがポテチの買い置きをやめてくれたのです。

「すごく嬉しかったですね。そしたらその晩、なぜかみーにゃんが私の膝に乗ってスリスリしてくれたんですよ! も~ビックリだし嬉しすぎて硬直してしまって」

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猫のいる暮らし
 その光景を見た裕之さんも「うわー! みーにゃんが僕以外の人の膝に乗るのなんて初めて見たよ」と大興奮して喜んでくれました。

「もしかしたらみーにゃんも裕之の身体をずっと心配していたのかもしれません。私がポテチ習慣を止めさせたことを評価して、仲間と認めてくれたのかなって思うんですよね(笑)

 その後、美優さんは裕之さんと結婚しみーにゃんと3人で暮らしているそう。

「みーにゃんは今ではデレデレで毎晩私の腕まくらで寝ているんですよ。あと裕之には、揚げ物好きを克服してヘルシー料理を好きになってもらえるようにまたレシピを調べまくっています」と微笑む美優さんなのでした。


<文・イラスト/鈴木詩子>

【鈴木詩子】
漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:@skippop
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