もしあなたのパートナーが、慌てて何かを隠そうとしている姿を目撃してしまったら、あなたならどうしますか? 見なかったことにするか、強引に内容を追及するか……。今回は、そんな経験をした女性のエピソードをご紹介しましょう。


マッチョな爽やかイケメンとの出会い

マッチョ彼氏が押し入れに隠していた“意外すぎる趣味”。「呪い...の画像はこちら >>
 二宮沙也加さん(仮名・30歳/契約社員)は、運動不足で太ってきてしまったためフィットネスクラブに入会しました。

「仕事帰りになるべく通おうと頑張っていたのですが、もともと運動があまり好きではないので行ったり行かなかったりという感じで。このまま挫折して退会しちゃうかもと、入会して早々に弱気になっていたんですよ

 ですが、そんな沙也加さんのモチベーションが上がる出来事が起きます。

「いつも私が行く時間帯にマシンで黙々と筋トレしているマッチョな爽やかイケメンがいて。何だか気になってついチラチラ見ていたんですよ。そしたらある日、休憩室で話しかけられて……それからフィットネスクラブに通うのが俄然楽しみになったんですよね」

 哲也さん(仮名)というその男性は29歳の会社員。顔見知りになり、会えば挨拶を交わし雑談をする仲になりました。

ダイエットに成功し、食事に誘ってみた結果

「毎日のように運動するようになったおかげで、体重も落ちて身体も引き締まってきた私は、勇気を出して哲也さんを食事に誘ってみることにしたんですよ」

 すると哲也さんは喜んで快諾してくれ、そこから2人の距離はどんどん縮まり、沙也加さんから押す形でお付き合いをすることになりました

「哲也は大型犬みたいな男性で、強くて穏やかで何でも『うん、うん』て私の言うことを聞いてくれるんですよ。最初はそれがとても嬉しかったんですが、だんだんと『もしかして哲也って、ただ押しに弱くて私と付き合ってくれているだけなのでは?』と不安になってきてしまって」

マッチョ彼氏が押し入れに隠していた“意外すぎる趣味”。「呪いみたい」と元カノは全否定、でも私は違った
不安になる女性
 哲也さんは口数も多い方ではなく、感情の浮き沈みもほとんどなく常に安定しているため、本音が分かりにくいところがありました。

もしかしたら哲也は、ボランティア精神で私と付き合ってくれてるだけなのかも? と少しいじけた気持ちになりながら、私は哲也の部屋に向かったんですよ」

明らかに押し入れに何かを隠した!

 その日、哲也さんと一緒にたんぱく質たっぷりの料理を作って食べようと約束していた沙也加さん。心細い気持ちからか、予定していた時間よりかなり早く到着してしまったそう。

「玄関を開けたら哲也が慌てふためいていて、そんな姿は初めて見たので驚いてしまいました。そして、明らかに押し入れに何かを隠したのが見えてしまったんです

マッチョ彼氏が押し入れに隠していた“意外すぎる趣味”。「呪いみたい」と元カノは全否定、でも私は違った
マッチョな彼の意外な趣味
 なぜか哲也さんは自分の両手も後ろに隠していて、明らかに不自然に見えました。沙也加さんは「もうどうにでもなれ!」という気持ちで、哲也さん必死の静止を振り切り、押し入れを強引に開けました


「そしたらなんと、私の名前が書かれた半紙が何枚もあり、よく見たら哲也の手は墨で汚れていて……要は書道をしていたんですよ」

元カノに全否定された、彼氏の意外な趣味

 話を聞くと、実は哲也さんは子どもの頃から書道を習っていて、大人になった今でも精神統一のために無性に筆をふるいたくなるんだそう。

そしてなぜか、好きな人の名前を完璧に書きたいという欲が湧くそうなんですよ(笑)。なんて変わった癖なんだと驚き、哲也の話をとても興味深く熱心に聞いてしまいました」

マッチョ彼氏が押し入れに隠していた“意外すぎる趣味”。「呪いみたい」と元カノは全否定、でも私は違った
書道
 哲也さんは以前にも元カノに、書道している姿と、彼女の名前を書いたたくさんの半紙を目撃されてしまったことがありました。そのとき、「呪いみたいで気持ち悪い!」と悲鳴まじりに全否定されてしまったトラウマから、沙也加さんには内緒にしておこうと考えてしまったといいます。

でも私はこう思った

「私としては『こんなに綺麗な字を書くんだ?』とむしろ好感度が上がりましたし、ただただ嬉しかったんですよね。哲也は私のことをちゃんと好きだったんだ、と安心することができたので」

 沙也加さんが自分の名前が書かれた半紙を欲しがると、哲也さんは小躍りして喜んだそう。

「とにかく哲也は、筋トレでも書道でも、黙々と集中して自分と対峙(たいじ)するのが好きな人なんだなということが分かりました。哲也は今でもよく私の名前を書いてくれて、上手く書けると『更新できたから』と私にくれるんですよ」と微笑む沙也加さんなのでした。

<文・イラスト/鈴木詩子>

【鈴木詩子】
漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:@skippop
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