俳優の原菜乃華さん(22歳)が、アニメーション映画『不思議の国でアリスと -Dive in Wonderland-』で主人公の声優を務めました。

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 原さんが演じるキャラクターは、人生に迷う大学生の安曇野(あずみの)りせ。
アリスと出会い、“不思議の国”への冒険に出かけていく女の子役です。

 原さんの声の演技は、映画『すずめの戸締まり』以来4年ぶり。この間、NHK大河ドラマ『どうする家康』や、第47回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞した映画『ミステリと言う勿れ』、そして放送中のNHK連続テレビ小説『あんぱん』でヒロインの妹・メイコ役を好演するなど、活躍の場を広げています。

 現在22歳の原さんに作品のこと、仕事のことなどを聞きました。

音響監督の一言に「肩の力が抜けた」

NHK『あんぱん』22歳女優が実感する“朝ドラ出演の反響”とは「泣くくらいうれしい」
ⓒ「不思議の国でアリスと」製作委員会
――声優は映画『すずめの戸締まり』以来4年ぶりとのことですが、決まった時の心境はいかがでしたか?

原菜乃華(以下、原):『すずめの戸締まり』でお世話になった音響監督の山田陽さんが今回も担当されていたので、まず連絡をさせていただきました。不安な気持ちを話したら、山田さんは「大丈夫でしょう」とサラッと言ってくださり、肩の力が抜けました。

前作で自分のできないところも含めて全部わかってくださる方が大丈夫と言ってくださったことで安心することができました。

――実際にやってみていかがでしたか?

:前作よりもリラックスしてマイク前に立てていたと、時間が経つにつれて思いました。篠原(俊哉)監督は基本的に「自由に演じてくださればうれしいです」と伝えてくださっていました。「原さんの声は明るいなりにもちゃんと影があるところが素敵ですね」と言ってくださったことがすごくうれしくて。強く印象に残っています。

演じたりせも自分に自信がなかったり、不安なところなど影の部分を抱えているので、ちゃんと自分の声がマッチするのか不安だったのですが、篠原監督がそうおっしゃってくださるのなら、りせを最後まで演じ切れるかもしれないと自信につながりました。

演じた主人公に強く共感

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原菜乃華さん
――大学生のりせは共感を呼びそうなキャラクターですが、印象はいかがでしたか?

:世代的にSNSに囲まれて生きている子で、いろいろな人の意見を目にする中で、本当に自分の好きなものが、ちょっとずつわからなくなってしまっている子だと思いました。自分の言いたいことや意見がぼやけてしまう感覚や、本当は自分が何を思っているのか、自分でもわからなくなってしまう感覚は、なんとなく分かります。


流されやすいところや、自分に自信がない、横並びでいることに安心感を得るところは、とても共感できます。きっと同年代の子など多くの人にとって共感しやすいキャラクターではないかなと思っています。

――実写など数々の作品での経験が、今回のりせにいきたと思うことはありましたか?

:周囲の友達が就活をし始める時期だったので、それが大きかったかもしれないですね。りせがわたしと同年代の女の子で、私自身も友達からそういう話を聞く機会が増えたからこそ、身近なものとして感じられて役に対する理解がより深まったかなと思います。

――りせは上手くいかなかった時に自分を偽ってしまう場面もありましたが、たとえば結果が出なかった場合などどう切り替えているのですか?

:切り替えていないような気がします(笑)。りせとわたしはとても似ていて、「みんなと同じようにやっているのに上手くいかないんだよね」というセリフには深く共感しました。わたしも乗り越えてきたという感覚がなくて、りせと同じように「わからない、どうしよう」と、悩むことが多いです。

今、泣くくらいうれしいこと

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原菜乃華さん
――現在、NHK連続テレビ小説『あんぱん』も好評ですが、出演作が続く現在の状況は、どう受け止めていますか?

:うれしいです。小さい頃から仕事の予定はスケジュール帳に赤色で入れているのですが、本当に何もなかった頃からちょっとずつ赤色が増えていって。一昨年、去年よりも、今が一番赤色でぎっしりスケジュールが埋まっていることが、本当に、泣くくらいうれしいです。

――赤色がお好きなんですね。

:赤が一番好きな色なんです。だから一番好きなお芝居のお仕事は赤色で予定を入れると決めているんです。


――反響が大きい作品に出ると、環境も変化しませんか?

:もともと家にいることが多いので、特に変化はないですかね。ただ、どこの仕事現場に行っても「『あんぱん』観たよ」と言ってもらえるのですごくうれしいですし、話してくださるみなさんの顔がまるで姪っ子の成長を見ている親戚のようで、母性あふれる表情で接してくださいます。愛されキャラのような役を演じることができて、本当にありがたいなと思っています。

――先ほどのお話で壁にぶつかった際、乗り越えてきたという感覚がないと言われていましたが、それでも時間は過ぎていくなか、どう日々の仕事と向き合っているのですか?

:前を向くと言いますか、落ち込んでいても仕方がないという感じですかね。今日の芝居が上手くいかなくても明日も現場があるから、引きずってはいられないですし、終わってしまったことを気にしてもどうにもならないから切り替えるしかない、という考え方で頑張っています(笑)。

目標は“脱・出不精”

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「不思議の国でアリスと」
――22歳になられましたが、20代でやっておきたいことは?

:体力があるうちにいろいろなところに行ってみたいなと思っています。今年の目標が脱・出無精なんですが、わりと成功していて。人と比べたらまだ出ていないほうだと思いますが、休みの日にちゃんと計画して外に出るようになりました。成長しました(笑)。好きなアニメの展示会や夜景を観に行ったり、あとは工業地帯の夜景をめぐるツアーに、今年中に行きたいと思っています。

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原菜乃華さん
――最後になりますが、今回の映画を楽しみに待っている方にメッセージをお願いいたします。

:ワンダーランドの世界観がかわいくて、とてつもなく素敵なので、劇場で観ていただきたいなと思いますし、りせのキャラクターに共感できる部分は多いのではないかなと思っています。


今を生きるわたしたちに、すごく寄り添ってくれる作品だと思います。アリスの世界を純粋に楽しんでいただきつつ、自分の心にスッと入ってくる言葉や、自分を見つめ直すような気づきをたくさんもらえる作品になっていると思うので、ぜひ観ていただきたいです!

<取材・文/トキタタカシ 撮影/塚本桃>

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原菜乃華さん


【トキタタカシ】
映画とディズニーを主に追うライター。「映画生活(現ぴあ映画生活)」初代編集長を経てフリーに。故・水野晴郎氏の反戦娯楽作『シベリア超特急』シリーズに造詣が深い。主な出演作に『シベリア超特急5』(05)、『トランスフォーマー/リベンジ』(09)(特典映像「ベイさんとの1日」)などがある。現地取材の際、インスタグラムにて写真レポートを行うことも。
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