芸人の演技がもはや当たり前の時代に
現在では、芸人が俳優を務めることが一般的となり、今回の夏ドラマでもさまざまな作品で彼らの演技を見ることができる。例えば、いまや俳優業のほうが忙しい我が家の坪倉由幸は、『DOCTOR PRICE』(読売テレビ・日本テレビ系)で悪役医師・倉持栄治を担当。野心家の倉持をしっかり嫌らしく演じた。
さらに、俳優として知名度抜群のドランクドラゴン・塚地武雅は『リベンジ・スパイ』(テレビ朝日系)で主要キャラを担当。最近、大河ドラマや連続テレビ小説に出演しているなだぎ武は、『初恋DOGs』(TBS系)で丁寧な演技を見せている。
その他にも、有吉弘行が出演して話題となっているNHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』には、さまざまな芸人が出演中だ。もはや、芸人がドラマに出るのは当たり前の時代に突入している。
さて、ここからは「今後が期待される」夏ドラマに出演した芸人を独断と偏見でベスト3形式で紹介する。
第3位:モグライダー芝大輔 ― 哀愁の“天狗”が話題に
まず、第3位はモグライダーの芝大輔だ。色気のあるイケメン芸人として知られる芝は、『放送局占拠』(日本テレビ系)に出演中。何かと話題になる同作で、芝は武装集団“妖(あやかし)”のメンバー・天狗を担当している。
演じる天狗は、元神奈川拘置所の刑務官。とある事件の被害者家族として、妹とともに敵討ちをするため武装集団に参加した過去を持っている。
芝は、2025年3月に出演したドラマ『スプリング!』(テレビ朝日系)でも自然体の演技を見せており、今後も俳優業で期待値が高い芸人だ。
第2位:かが屋・賀屋壮也 ― 童貞×不倫!? ギャップ演技が光る
第2位はかが屋の賀屋壮也。賀屋は『完全不倫―隠す美学、暴く覚悟―』(日本テレビ系)で、主人公のひとり・吉岡拓哉(前田公輝)の幼なじみ・内野航を演じている。内野は独身で恋人もおらず、あまりモテない青年という役どころだ。劇中ではコミカルな演技を多く見せ、コント師ならではの高い表現力を発揮している。
結果、女性の夫と鉢合わせになり、マンションのベランダに閉じ込められるベタなシーンを演じた。間抜けな姿を迫真の演技で披露し、表情の作り込みや動きのテンポが良く爽快なシーンとなった。
賀屋は、2025年5月に公開された映画『6人ぼっち』にも出演し、発言や行動がいい加減な担当教師役を演じた。この映画でもテンポの良い演技を見せ、今後はコメディ作品で俳優としてブレイクする可能性を秘めている。
第1位:アルコ&ピース平子祐希 ― “原作にない男”がハマり役に
そして、第1位に推すのはアルコ&ピースの平子祐希だ。ここ最近、芸人としてのブレイクに合わせてドラマへの出演が多くなっている平子。現在は、『40までにしたい10のこと』(テレビ東京系)で、主人公・十条雀(風間俊介)の同期で友人となる黒木啓介を演じている。ちなみに、黒木は原作漫画には登場せず、ドラマのオリジナルキャラクターだ。平子が一から作り上げている登場人物である。
黒木のキャラクターは平子の芸人としてのキャラそのもので、キザなセリフも連発する陽気な性格。平子が得意とする「デキる男キャラ」に仕上げられており、真面目な雀との相性が良く人気キャラになっている。
第10話では、黒木の自宅でBBQが行われるのだが、家庭での良きパパも自然体に演じて平子の魅力が全開に。作品に彩りを与える俳優として、今後も重宝されそうだ。
そんな平子は8月には、レトロな雰囲気が話題の架空名作劇場『人情刑事 呉村安太郎』(テレビ東京系)で主人公の呉村安太郎を担当。呉村安太郎を演じる加賀美勲という往年のスター俳優を演じるというトリッキーな設定ながら、しっかり90年代風の演技を見せて高評価を得ている。演技力が高く、俳優としてのブレイクも間違いないだろう。
さて、ここまで独断と偏見で俳優業で今後が期待される芸人を3人紹介した。現在ではドラマや映画に出演する芸人が多くなっているが、今回取り上げた3人は間違いなくこれからも活躍を続けていくだろう。
<文/ゆるま小林>
【ゆるま 小林】
某テレビ局でバラエティー番組、情報番組などを制作。退社後、フリーランスの編集・ライターに転身し、ネットニュースなどでテレビや芸能人に関するコラムを執筆