今では話すこともできなくなってしまったブルースの現状について、妻エマ・ヘミングと元妻デミ・ムーアがつらい胸のうちを明かすとともに、家族の葛藤を赤裸々に語った。
最新家族ショットで笑顔を浮かべるブルースだが……
病気で俳優業を引退した後も、自身や家族のインスタにたびたび登場し、生き生きと日々を過ごす姿を見せてきたブルース。このたび家族とともに写った最新写真が公開された。写真は、彼の妻エマにロングインタビューを行った米誌『ヴァニティ・フェア』が、9月5日に掲載。その貴重な家族ショットには、エマと11歳&13歳の娘、元妻デミや3人の娘(タルーラ、スカウト、ルーマー)、さらにルーマーの子どもに囲まれ、笑顔を浮かべるブルースの姿が写っている。
ネット上でその姿を見る限り、元気そうに見える彼だが、実際には病状は進行しているという。
もう会話することはできません
ブルースが「前頭側頭型認知症(FTD)」と診断されて以降、介護の中心を担うと同時に、FTDへの理解を広める活動に取り組んできたのが妻エマだ。彼女はFTD患者を抱える家族を支援するため、自身の実体験をまとめた著書『The Unexpected Journey: Finding Strength, Hope and Yourself on the Caregiving Path』を執筆。9月9日の出版にあたり、各メディアに登場し夫の近況を明かした。8月下旬には、米放送局ABCの特別番組「Emma & Bruce Willis: The Unexpected Journey」に出演。ブルースの現在についてこう語った。
「本当に身体の調子は良いんですが、脳だけがちゃんと機能しなくて。もう会話することはできません」
言語能力が衰え、言葉が通じなくなった夫と「別の方法でコミュニケーションを取ろうとしている」と説明したエマ。
エマともうけた幼い2人の娘たちや、前妻デミともうけた3人の娘たちともしっかりつながっていて、「彼は私たちの手を握るし、私たちが彼にキスやハグをすると、彼も同じようにするんです」と明かした。
そうした“つながり”がエマを支えているようで、「私に必要なのはそれだけです。私が彼の妻だとか、私たちが結婚した日だとか、そんなこと彼に覚えいてもらう必要はありません。私はただ、彼とつながっていると感じたい。そして、実際にそう感じるんです」。
また、ほんのつかの間、かつてのブルースに戻る瞬間があるそうで、「目のきらめきとか笑い方とかみて、彼が戻ってきたと夢中になるんです。けど、それを見るのもつらいんですけどね。そんな瞬間はすぐに過ぎ去ってしまうから。でも、夫は今もここにいてくれる。
「病人を追い出すなんて」“別居”に批判の声
ABCの特別番組では、ブルースが現在、24時間体制のケアが整えられたセカンドホームで暮らしていることも明かされた。エマは「最も難しい決断の一つだった」と苦渋の思いをにじませつつ、「娘たちにより安定した環境を提供したかったし、ブルース本人も娘たちのためにそう望んでいるはずです」と語った。また彼女は米誌『ピープル』に対し「ブルースにとって騒音など刺激を避けた環境が重要だった」と説明。9日に出演した米番組『Good Morning America』では、「以前は助けてほしいと言えなかった。“助けを求めてもいいんだよ”って誰かに言ってもらう必要があったのです。私は、誰かを介護している人にそれを伝えたくて本を書いたのです」と述べ、自分を犠牲にしすぎないためにプロの介護士に頼る選択をしたと明かした。
ブルースが暮らすセカンドホームは、エマや娘たちが暮らす自宅のすぐ近くにある別宅で、そこで毎日一緒に食事するなど、家族で多くの時間を過ごしているという。けれども、ブルースと家族が別々に暮らしていることを「別居」と捉え、「病人を家から追い出した」「夫を見捨てた」などと非難する人も。
こうした批判に対し、エマはSNSで反論。「世間にはやたらと意見を言いたがる人がいますが、それを裏付けるだけの経験を彼らが持っていないことも多い。それを忘れてはなりません」「経験したことがない人たちは意見を述べるべきではないし、彼らの声を気に留めるべきではありません」と訴え、介護者への理解を求めている。
元妻「彼の今の姿を見るのはつらい」
そんなエマをサポートし続けているのが、ブルースの元妻でベテラン女優のデミ・ムーアだ。つい先日公開されたポッドキャスト番組『ジ・オプラ・ポッドキャスト』で、デミはエマについてこう話している。
「この状況がどうなるか誰にも予想できないなかで、彼女は本当に良くやっていると思います」
「彼女は正しい方向へ進むために全力を尽くしてきました」
「多くの問題がエマにのしかかっていましたが、本当に素晴らしかったのは……介護する人にとって何より大切なのは、自分自身のケアであると気づけたことです」
「自分のコンディションを整える時間を持たなければ、他の誰かのために力を尽くすことはできません」
介護者が自分を犠牲にしすぎず、まず自分自身を大切にすることの重要性を訴えたデミ。介護の重責を担ってきたエマに共感と理解を示した。一方で、元夫ブルースの現在の姿を見るのは「つらい」とも。
「あんなにも生き生きとしていて力強く、揺るぎない意志を持っていた人が、別の人格に変化していくのを見るのはつらい」
「でも、大切なのは相手の立場に寄り添うこと。その人の従来の姿や、自分の理想通りでいてくれることを望まないこと。そうすれば、すばらしい優しさや、柔らかく繊細で、愛に満ちた何かが見つけられる」
たとえ言葉を交わせなくなっても、家族の絆が消えることはない。
<文/BANG SHOWBIZ、女子SPA!編集部>