地域活動のボランティアだとしても、どうしても苦手なタイプの人で関わりたくない。そんな人に出会ったことはありませんか?

朝の交差点に現れる“交通整備のおじいさん”が怖すぎる「子ども...の画像はこちら >>
 今回は、「地域活動をしているおじいさんに腹が立った」という女性から話を聞きました。


子ども2人を乗せての毎日は時間との戦い

朝の交差点に現れる“交通整備のおじいさん”が怖すぎる「子どもは泣きわめき、私も涙目」→でも、正しいルールは
ママ友 自転車
 都内在住の田中真理子さん(仮名・37歳)は、保育園と仕事を往復する毎日を送っています。車を持たない真理子さんにとって、1歳と5歳の娘を前後に乗せた電動子乗せ自転車は、生活必需品なんだそう。

「保育園の送り、買い物、通勤……どれも電動自転車を使っています。とにかく、毎日時間に追われていますね。朝から自転車を飛ばさないと、保育園の送りに結構時間がかかってしまうし」と真理子さん。

 そんな真理子さんの通勤ルートには、必ず通らなければならない大きな交差点があります。そして、その交差点には、必ずといっていいほど“ボランティア癖ありおじいさん”が立っているんだとか。

下をうつむいてじっとしているおじいさん

 真理子さんが“ボランティア癖ありおじいさん”と呼ぶその男性は、70代前半。白髪まじりの短髪にキャップをかぶり、警察官のような紺色の上下に革靴を履いているそう。

「警察引退後に、警備員さんになったりする人っていますよね。見た目はそんな感じなんですよね。いろいろ経験してきて、70代はボランティア活動に参加しているって雰囲気で」

 見た目にそれほど癖があるように思えませんが、真理子さんはすぐにおじいさんの様子がおかしいことに気づいたといいます。

「おじいさんは、だいたい一人でその交差点にいるんです。最初は、元警察官なのかなと思ったのですが、なんだか様子がおかしくて。
だって、交差点の交通ボランティアなのに、信号が青になってもずっと下を向いて立っているんですから」

おじいさんが激変!叫び声に泣きわめく子どもたち

朝の交差点に現れる“交通整備のおじいさん”が怖すぎる「子どもは泣きわめき、私も涙目」→でも、正しいルールは
※画像生成にAIを使用しています
 交差点に立ったまま、ずっと下を向いているおじいさん。

 しかし、真理子さんが信号を渡る時にだけ、おじいさんは鬼のようになるんだそうです。

「信号待ちしている間は、別に何も言わないんです。下を向いているので。

でも、信号が赤から青に変わって、私が自転車を漕ぎ出した瞬間に、おじいさんは突然叫ぶんですよ。『こらあー!!! 危ないぞ!!!!』って」

 おじいさんの声があまりにも大きいため、真理子さんの自転車に乗っている1歳と5歳の子どもたちはびっくりして大泣き。

「あの声には、私も泣きそうになります。前後に乗っている子どもたちも、ビックリして大泣きですよ。こっちは安全確認をしながら進んでいるのに、急に叫ばれると本当に心臓に悪いんです」と真理子さん。

さらに、ヤクザ映画の悪役のような顔

朝の交差点に現れる“交通整備のおじいさん”が怖すぎる「子どもは泣きわめき、私も涙目」→でも、正しいルールは
誰にも相談できず、メンタル不安定に…
 叫び声に驚いて振り返ると、おじいさんはもの凄い形相で真理子さんを睨んでいるそう。

「おじいさんは、巻き舌でお腹から声が出ていて、顔もめちゃくちゃ怖いんです。眉毛がくっと上がって、ヤクザ映画に出てくる悪役みたいな感じ! おじいさんに遭遇すると、あの顔と声が1日中頭から離れなくて……」

 顔の血管が浮かび上がり、今にも飛び出しそうな目は、真理子さんと子どもたちの脳裏に焼きついてしまうんだとか。

どうにかしたい!別ルートを探すが……

朝の交差点に現れる“交通整備のおじいさん”が怖すぎる「子どもは泣きわめき、私も涙目」→でも、正しいルールは
日本で撮影した横断歩道の写真。無人。道路
 おじいさんを避け、別のルートで行けないか考えたという真理子さん。

「でもね、どうしてもあの交差点は外せないんです。そこで、交差点を通る時間をずらしてみたりしたんですけど……かなり朝早くからおじいさんは立っているんですよね」

 しかも、真理子さんには許せないポイントが…。


「私以外にも、子乗せ自転車で交差点を横断している人はいるんです。それなのに、他の人には何も言わないで、ずっと下を向いているんですよ。どうして私にだけ叫ぶのかわかりません」

地獄の交差点を今日も通る

朝の交差点に現れる“交通整備のおじいさん”が怖すぎる「子どもは泣きわめき、私も涙目」→でも、正しいルールは
電動自転車で出掛ける親子 送迎
 おじいさんに目をつけられたと話す真理子さん。それでも、自転車から降りて交差点を横断するのは嫌なんだそう。

「1歳と5歳を乗せた電動自転車って、降りて押すとすごく重いんです。バランスを崩して倒れかけたこともあって、それ以来、自転車を降りて押すのが怖くて。むしろ、きちんと乗って走ったほうが安全だと思うんです。ただでさえ朝はバタバタしているのに……。あの交差点を通らないと職場に行けないから、本当に困ります」

 埼玉県庁のサイトによると、「交通の状況に照らしてやむを得ないと認められる場合」において自転車は歩道を通行でき、「歩行者がいるときは、歩行者の通行の妨げとならないよう自転車を降り、自転車を押して横断歩道を渡らなければならない」とあります。そのため、伝え方はさておき、交通ルールに照らし合わせるとおじいさんの言い分は間違ってはいないと言えるでしょう。

 実際の道路状況に即して交通ルールを忠実に守ることが、現場ではいかに難しいかも浮き彫りになります。特に子どもを乗せた自転車利用では、安全との両立が難しく戸惑う人も少なくありません。


 さらに、2026年4月からは自転車の違反に対して反則金制度が導入される予定。今後は取り締まりが厳格化されることで、利用者と指導する側の間でさらなる混乱が生じる可能性もあります。私たち一人ひとりにとっても、“どう守るか”を考えさせられる問題といえます。

 交通ルールを守らせたいおじいさんと、母としての大変さを理解してほしい真理子さん。真理子さんの切実さも、おじいさんの正しさも、どちらも真実。ぶつかり合う声にこそ、気づきを得られるのかもしれませんね。

<取材・文/maki>
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