部屋というのは無意識にその人自身の内面が出るもの。そのため気になる男性の部屋に初めて行くとなったら、どこまで見ていいものかとつい緊張してしまいますよね。
今回は、そんな経験をした女性のエピソードをご紹介しましょう。
「祐太さんと何度かデートをしてみた結果、とにかく穏やかな性格で真面目だし、仕事もスキルで稼げるITエンジニアで尊敬できるので結婚する相手としては申し分ないと思い、いつ交際を申し込まれてもOKしようと決めていたんですよ」
そして植物園デートを楽しんでいる最中に、祐太さんから「よかったらこの後、僕の部屋に来ない? 何かデリバリーして一緒に食べよう」と誘われたそう。
期待を胸に、有希さんは初めて祐太さんの住むマンションに向かいました。
「そしたら想像以上に立派なマンションだし、エントランスもかなりおしゃれで、思わず心の中で『ウェーイ!』と叫びましたね。もちろん表情には出さないように(笑)」
さらに玄関も広く、掃除の行き届いた室内に有希さんはうっとりしながらリビングのドアを開けてみたそう。
「するとなぜか違和感が。ん? と辺りを見回したら、出窓にディスプレイ棚が置いてあって……」
しかもそれらが全部、道路に面した窓の外に正面を向けて飾ってあったのです。
「私が目を離せずにいると、祐太さんは『あぁこれ? 実は僕ずっと陸上部でかなり成績優秀だったんだよね』と話し始めました。気づいてもらえてご満悦の様子でしたが、私は正直言ってその光景にウッときてしまって」
祐太さんの部屋は2階なので、きっと通りすがりの人たちにはこの窓に置いてあるものははっきり見えるはず。自分の過去の栄光を見せつけたいという気持ちなのか、わざわざディスプレイ棚まで用意してドヤ顔でトロフィーを並べている姿を想像すると……有希さんの気持ちは徐々に萎えていきました。
ですが「ダメダメ! そうは言っても祐太さんは優しいし仕事もできる人。せっかくいい雰囲気になれてようやくお付き合いできそうなんだから」と、作り笑顔でなんとか気持ちを立て直そうとしました。
そのままキスを求めてきたんですが……やっぱりどうしてもトロフィーのことが頭をチラついて、うっとりすることができなくて。結局は交際をお断りして、帰ってきちゃったんですよ」
悲しみと恥ずかしさが混ざったような顔をした祐太さん。そんな姿を背にマンションを出るのは忍びなかった有希さんですが、外から祐太さんの部屋を見上げてたくさんのトロフィーが光っているのが見えた時「これでよかったんだ」と確信したそう。
「そしたら奈美も、いい感じの男性とマッチングして、初デートで一緒に食事した時に、似たような経験をしていたんです。
『彼がお箸をまるでペンを握る時のように持って、食べ物を串刺しにして使っている姿を見て、やっぱり一瞬で気持ちが冷めてしまった』と言っていて……ちょっとホッとしたんですよね。こんな気持ちになるのは私だけじゃないんだって」
そして「やっぱりいくら条件が良い相手だとしても、どうしても譲れない部分てあるよね」という話で、2人は首がもげるかと思うほどうなずきあってしまいました。
ですがもちろん、些細なことなら歩み寄って許してあげたいという気持ちもあり。そこの線引きの難しさについては、話し合っても結論は出なかったそうです。
「とにかく自分の中に芯となる基準を持つことが大事。それに従って、グラグラしないことが大事なんじゃないか? というところでその日は奈美と解散しました。いつか無理せず自然体でお付き合いできる男性と出会えるといいのですが」とため息をつく有希さんなのでした。
<イラスト・文/鈴木詩子>
【鈴木詩子】
漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:@skippop
今回は、そんな経験をした女性のエピソードをご紹介しましょう。
マッチングアプリで出会った彼と4回目のデート
渡部有希さん(仮名・29歳)は、最近マッチングアプリで知り合った祐太さん(仮名・32歳)と4回目のデートをすることになりました。「祐太さんと何度かデートをしてみた結果、とにかく穏やかな性格で真面目だし、仕事もスキルで稼げるITエンジニアで尊敬できるので結婚する相手としては申し分ないと思い、いつ交際を申し込まれてもOKしようと決めていたんですよ」
そして植物園デートを楽しんでいる最中に、祐太さんから「よかったらこの後、僕の部屋に来ない? 何かデリバリーして一緒に食べよう」と誘われたそう。
マンションに向かう二人、部屋を見て違和感が
「ついにキタ! と思いました。祐太さんも妙に落ち着きがなく、『今夜きっと私たちの関係が深まる何かが起こる!』という予感がして、ワクワクが止まらなかったですね」期待を胸に、有希さんは初めて祐太さんの住むマンションに向かいました。
「そしたら想像以上に立派なマンションだし、エントランスもかなりおしゃれで、思わず心の中で『ウェーイ!』と叫びましたね。もちろん表情には出さないように(笑)」
さらに玄関も広く、掃除の行き届いた室内に有希さんはうっとりしながらリビングのドアを開けてみたそう。
「するとなぜか違和感が。ん? と辺りを見回したら、出窓にディスプレイ棚が置いてあって……」
正直、その光景にウッときてしまった
そこには、大量のトロフィーと表彰状がきれいに並べられていました。しかもそれらが全部、道路に面した窓の外に正面を向けて飾ってあったのです。
画像はイメージです(以下同)
祐太さんの部屋は2階なので、きっと通りすがりの人たちにはこの窓に置いてあるものははっきり見えるはず。自分の過去の栄光を見せつけたいという気持ちなのか、わざわざディスプレイ棚まで用意してドヤ顔でトロフィーを並べている姿を想像すると……有希さんの気持ちは徐々に萎えていきました。
ですが「ダメダメ! そうは言っても祐太さんは優しいし仕事もできる人。せっかくいい雰囲気になれてようやくお付き合いできそうなんだから」と、作り笑顔でなんとか気持ちを立て直そうとしました。
結局、モヤモヤは晴れず……
「そんな空気に気づかない祐太さんが、ついに私に、好きだから正式に付き合ってほしいと告白をしてくれました。そのままキスを求めてきたんですが……やっぱりどうしてもトロフィーのことが頭をチラついて、うっとりすることができなくて。結局は交際をお断りして、帰ってきちゃったんですよ」
悲しみと恥ずかしさが混ざったような顔をした祐太さん。そんな姿を背にマンションを出るのは忍びなかった有希さんですが、外から祐太さんの部屋を見上げてたくさんのトロフィーが光っているのが見えた時「これでよかったんだ」と確信したそう。
女友達に話を聞いてもらった結果
有希さんはその後、女友達で婚活仲間の奈美(仮名・28歳)に愚痴を聞いてもらうことにしました。
相談 女子会
『彼がお箸をまるでペンを握る時のように持って、食べ物を串刺しにして使っている姿を見て、やっぱり一瞬で気持ちが冷めてしまった』と言っていて……ちょっとホッとしたんですよね。こんな気持ちになるのは私だけじゃないんだって」
そして「やっぱりいくら条件が良い相手だとしても、どうしても譲れない部分てあるよね」という話で、2人は首がもげるかと思うほどうなずきあってしまいました。
我慢してもいつかほころびが出てくる
「きっとこういう感覚は大切にした方が良くて、その場は我慢してお付き合いに発展したとしても、いずれそこからほころびが生じてダメになってしまうに違いない、というのが私たちの結論です。そんなふうに、気持ちをいったん落ち着けたんですよ」ですがもちろん、些細なことなら歩み寄って許してあげたいという気持ちもあり。そこの線引きの難しさについては、話し合っても結論は出なかったそうです。
「とにかく自分の中に芯となる基準を持つことが大事。それに従って、グラグラしないことが大事なんじゃないか? というところでその日は奈美と解散しました。いつか無理せず自然体でお付き合いできる男性と出会えるといいのですが」とため息をつく有希さんなのでした。
<イラスト・文/鈴木詩子>
【鈴木詩子】
漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:@skippop
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