2010年にTBSに入社し、『朝ズバッ!』『報道特集』などを担当したのち、2016年に退社したアンヌ遙香さん(39歳・以前は小林悠として活動)。

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 TBS退社から8年経った今年、紆余曲折を経て20年生活した東京を後にして活動拠点を故郷北海道に戻したアンヌさん。
アラフォーにして再スタートを切った「出戻り先」でのシングルライフの様子や心境をつづる連載です。
 第52回となる今回は、アンヌさんが「おにぎり」にまつわるできごとから得た気づきを綴ります(以下、アンヌさんの寄稿です)。

私の最近のテーマ

 最近の自分のテーマが「Don’t Think Feel」。考えるな、感じろ、と訳されることが多いですね。ブルースリーのあの名作「燃えよドラゴン」で使われた有名なセリフ。

 この言葉の真意をどうとらえるかは人それぞれかと思いますが、

 頭で考えすぎてがんじがらめになってしまい思考や行動が停滞する前に、直感的、反射的にその場で感じ取った感情で動くことの重要性を説いている、ということでしょうか。

 さて私の場合の“Don’t Think Feel案件”は、ごくごく身近なところから。

コンビニで「梅仕事」の動画を思い出す

いつもとは違う具のおにぎりを購入して後悔したワケ…元TBSアナ・39歳が学んだ“後悔しない選択”の条件
アンヌ遙香さん
 北海道でテレビのお仕事をしている私。出勤前におにぎりを軽食としてゲットするのがルーティーンとなっています。中でもお気に入りなのが明太マヨ味。

 某コンビニの明太マヨおにぎりはしっかり辛みがあり、それでいてクリーミー、しかも比較的大きなサイズ感は満足感がものすごい。

 先日、いつものごとく明太マヨおにぎりにホクホク顔で手を伸ばした瞬間、目の前に「梅」のおにぎりが。そこで急遽脳内に、前日の夜に観たとあるインスタグラマーさんの動画の残像が。

 梅はとにかく万能である、「梅仕事」なるもの(おそらく梅を梅酒にしたり梅干しにしたりする作業のこと)に従事する時間がとてもプレシャスであり、梅のおかげで日々健康維持に努めているということ……を彼女は延々と語っており、「とにかく梅食べなきゃ!」という気持ちになっていたことを思い出したのです。


「そうなんだけど! わかるんだけど!」

 私の好物はウニ、イクラなどの魚卵類。日頃我ながら魚卵を食べすぎかもしれない、今日は梅のおにぎりにして私もプレシャスな時間を過ごすべきなのではないか、健康体を目指すべきなのではないか、という思考がむくむくと浮かんできたのでした。

 いや、でも、明太マヨおにぎりを控室で食べる時間が特別幸せな時間なんだけどなあ……うーん……とその場で逡巡した挙句、その日は梅おにぎりをむんずとつかみ、お会計へ。

 そして数時間後、朝の打ち合わせを終え、控室でおにぎりが入ったビニールを開けた瞬間の私。はい、どうでしょう、なにが起きたでしょうか。

 すっかり口の中はいつもの愛する明太マヨモード。わくわくしながら袋をあけたときのあの気持ちたるや。梅が出てきたときのあの何とも言えない切ない感覚たるや。

 いいんですよ、たまにはいつもと違う味を楽しむことも大事だし、なにより健康に良い! しかも味もおいしい、そうなんだけど! わかるんだけど! 気持ちのままに明太マヨを選ばないで、頭で考えて梅おにぎりを選んだこと、はっきりいってちょびっと後悔したのでした(梅おにぎりは純粋に非常においしかったのです。それは断言いたします)。

「Think」が先立ってしまう現象

いつもとは違う具のおにぎりを購入して後悔したワケ…元TBSアナ・39歳が学んだ“後悔しない選択”の条件
アンヌ遙香さん
 実は最近こういう現象が本当に多い。

 本当はこれが食べたい、飲みたい、あそこに行きたい、と気持ちではさまざまなアイディアがあるのに、結局脳内であれやこれやと考えているうちに、健康によさそうなほうにしよう、とか疲れなさそうな選択肢にしよう、とか、“考えた末に”なんとなく自分の中で納得できない結果を呼び起こすことが多々あるのです。

 要するに、どんな選択ひとつとっても「Think」が先に立って、「Feel」したものをないがしろにしている自分がいるということ。

 でもね、今年40になる私は最近すごく思うのです。
職業選択の機会であっても、友人や親戚づきあいであっても、恋愛関係であっても、結局は根底にある「パッション」がずっと大事であり続けるということ。

 民放アナウンサーをやめたあと、まったく違う職を選んだことがありました。もちろんその経験そのものも私の人生の大切な財産となっていますが、そこに湧き上がるパッションがあったかというと……なかなか難しかったなと今では感じます。

 結局は、純粋に好きという気持ち、湧き上がるような情熱があればどんなシチュエーションでも頑張っていける、純粋に続けていきたいという気持ちこそ実は大事なのだなと最近すごく思うのです。

パッション=Feelは馬鹿にできない

 青臭いことを言っているかもしれませんが、結構馬鹿にできないなと。私の言うパッションとは=Feelのことを指します。

 最初に湧き上がった、純粋に好き! という感情や、すごい! 嬉しい! 楽しい! というパッションって、時間がたっても残り火として心の奥底に残り続けるものでしょう。

 仕事も、恋愛も、「条件的にこうだから」とか「でも長い目でみればアレだから」など、頭で考えすぎて導き出した結論って結局長続きしないというか、しこりを自分の中に残す気がするのです。今の私は純粋なパッションでもって仕事ができている。要するにFeelできている。こんな幸せなことありません。

 おにぎりから派生して、この人はいったい何の話してるんだいとお感じになる方もいらっしゃるでしょうが、頭で考えこみすぎずに「本当に自分が愛するものや事柄ってなんだろう」て感じながら動くと、いろいろな意味で後悔が少ないものですね。


 さて、今週も明太マヨでがんばるか!

<文/アンヌ遙香>

【アンヌ遙香】
元TBSアナウンサー(小林悠名義)1985年、北海道札幌出身、在住。現在はフリーアナウンサーとしてSTV「どさんこWEEKEND」メインMCや、情報番組コメンテーターして活動中。北海道大学大学院博士後期課程在籍中。文筆家。ポッドキャスト『アンヌ遙香の喫茶ナタリー』を配信中。Instagram: @aromatherapyanne
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