新卒から18年半、テレビ朝日のアナウンサーとして、報道、スポーツ、バラエティなど多岐にわたる番組を担当してきた大木優紀さん(44歳)。

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 40歳を超えてから、スタートアップ企業である「令和トラベル」に転職。
現在は、令和トラベルが運営する旅行アプリ「NEWT(ニュート)」の広報、まさに「会社の顔」として活躍中です。

 第17回となる今回は、世界で広がるスマホ規制と大木さんの子育てのリアルな悩みを綴ります。(以下、大木さんの寄稿)。

スマホやSNSとの向き合い方の悩み

 みなさんは、一日にどのくらいスマホを見ていますか?

 私はかなり使用時間が長くて、スクリーンタイムをもっと減らしたいと思っているのですが、寝る前のスマホがなかなかやめられません。

 眠くなるまでSNSを眺めたり漫画を読んだりして、そのまま寝落ちしてしまう日々。結果的にブルーライトの影響で、睡眠の質が下がっているのを実感しています。

 そこで一時期は「寝室にはスマホを持ち込まない!」と決め、充電器をキッチンに置いて、緊急連絡用には寝室に固定電話の子機を置くなどの対策をしました。でも、気づけばまたスマホを寝室に持ち込んでしまっている……。

 そんなふうに自分自身はスマホやSNSに依存気味な生活を送っている一方で、子どもにはそうなってほしくないと願っていて……。矛盾していますが、子どものスマホの使用を最近禁止にしました。

……というように、我が家にとってもスマホの使い方は頭を抱えるテーマ。同じような悩みを持つ家庭は多いのではと思うのですが、最近、世界各地で国レベルのスマホ規制の動きが広がりつつあります。

国家主導でデジダルデトックスする国も

小1からスマホを与えた結果→小6になった娘に「使用禁止」を言い渡したワケ。“子どもを依存から守るのは誰なのか”問題を考える
※イメージです
 先日、ネパールでのSNS規制が大きなニュースとなりました。

 ネパール政府は、サイバー犯罪やヘイトクライム対策を理由に、9月4日からXやYouTube、Instagramなど主要SNSの利用を禁止しました。
ところが、首都カトマンズなどでは抗議デモが起こり、死者が出る事態にまで発展。最終的に、この措置は撤回されました。

 スマホ規制の動きに目を向けると、フランスは比較的早くから若者のスマホ問題に取り組んできました。2024年には全国180校の中学校で「デジタル断ち」が試験的に導入され、登校時にスマホを学校のロッカーに預け、放課後に受け取る方式が採用されていました。

 この取り組みが好評だったことから、2025年9月からは全国すべての中学校でスマホの持ち込みが全面的に禁止されています。

 一方、アメリカでは州ごとに対応が分かれています。AP通信の調査によれば、現在35の州で、学校でのスマホ使用に関して規制や禁止のルールを制定しており、それ以外の州では学校や地域ごとの判断に任されているのが現状です。

 さらに、中国の規制当局でも、2023年の段階で子どもや10代の若者の携帯電話使用時間を減らすための施策を発表しています。

 中国の場合は、道徳規範と同時に、政治的思惑もありそうですが、子どもには未成年モードの実装を義務付けられていて、一日の使用時間が最長2時間程度に制限されているようです。いわば国家主導の強制デジタルデトックスです。

子どもにスマホ規制する世界共通の目的とは?

 このように、フランス、アメリカ、中国でのスマホ規制の形はそれぞれ異なりますが、その目的は共通しています。スマホ規制の目的を大きく分けると3つあると考えられます。

 1つ目は「学習にしっかり集中できる環境を守ること」。
2つ目は「SNSいじめなど、道徳的な問題を防ぐこと」。そして3つ目は「リアルな人間関係や対話を大切にしてほしい」という、大人から子どもへの願いです。

 スマホの中だけでは得られない体験の中でこそ、子どもは成長していく。子どもたちが本来持っている人間らしい力や、かけがえのない「子どもの時間」をどう守っていくか。それが今、各国で共通する価値観として議論されているのだと思います。

我が家の場合、子どもに早くスマホを与えた結果…

小1からスマホを与えた結果→小6になった娘に「使用禁止」を言い渡したワケ。“子どもを依存から守るのは誰なのか”問題を考える
夜に暗い部屋でスマホを見る子ども
 我が家にも小学6年生の娘がいます。実は娘は、小学1年生というかなり早い段階からスマホを使っていました。

 学校には持ち込み禁止だったので、お子様モードにして家で使っていいよと、私の古いスマホを渡していました。その当時は、「これからの時代はスマホが当たり前。だからデジタルネイティブとしてスマホの世界に早く慣れてほしい」という思いもあり、夫とも話しあったうえで、渡すことにしたんです。

 でも、結論から言うと、この1年で娘からスマホを取り上げることになりました。低学年のうちは制限をかけてルールを守って使えていましたが、高学年になるにつれてスクリーンタイムの制限を突破し、だんだんと約束を守らなくなってきたのです。

 そして、ついにある事件がきっかけで、結局スマホを取り上げることにしたんです。


 ある日、私の帰宅が遅くなり、鍵を忘れて持っていなかった娘を家の前で待たせてしまったのですが、何度娘のスマホに電話をかけてもつながりません。到着予定からすでに2時間が経っていて、私は焦り、慌てて帰宅しました。

 そしたらなんと……玄関先に座り込んでスマホを見ている娘を見つけたんです。2時間もこうしていたの!? と驚いて、思わず「どうしたの? 大丈夫?」と声をかけると、娘はようやく顔を上げ、「へ?」と時間の経過にまったく気づいていないような表情を見せました。

 聞けば、「鍵がなくて家に入れなかったから、まあいいやと思ってここで座ってTikTokを見ていたら、あっという間に2時間経っていた」と言うのです。TikTokを見ている間、私からの着信やLINEを知らせる通知も出ていたはずですが、それにも気づかなかったと。

恐ろしくなり、スマホを禁止に

 もともとルール違反や依存気味な様子は気になっていましたが、この出来事で娘がいかに時間を忘れて、スマホにのめり込んでしまうのかを知り、恐ろしくなりました。そして、「もうしばらくスマホから離れよう」と娘からスマホを離すことにしたんです。

 娘の友達とのLINEのやりとりの中でも気になったことがありました。

 LINEの使用はすべて私がチェックできる約束で許していたんですが、友達とのやりとりの中で、友達の質問に対して、絵文字も使わないで「知らない」って返していたりして、少々危なっかしいところがあったんですよね。

 口頭だとなんでもないような内容でも、テキストだと伝わり方が変わるものとか、まだ小学生の時点ではなかなかわからないんだなと。

 今のところネット上でのいじめなどはないようですが、娘の友達とのやりとりを見ていて、少し心配な面もありました。

子どものスマホ、誰がルールを決める?

小1からスマホを与えた結果→小6になった娘に「使用禁止」を言い渡したワケ。“子どもを依存から守るのは誰なのか”問題を考える
オンライン授業を受ける少女
子どもたちが生きていくこれからの世の中は、スマホやSNSが前提となる世界です。
だからこそ、娘にもその環境に自然に適応できる「デジタルネイティブ」になってほしいと願う気持ちがあります。

 一方で、SNS、特にショート動画には強い中毒性や依存性があります。親である私自身も寝る前のSNSをやめられないのに、子どもにどうスマホと向き合わせればよいのか。これは本当に難しい課題だと感じます。

 だからこそ、「誰がルールを決めるのか」という問いはとても重要です。国や地域、学校といった単位で規制すべきなのか、それとも家庭ごとに任せるべきなのか。中には「むしろ国で一律に決めてもらった方がラクだわ」と感じる方もいるかもしれません。

 最終的には、家庭がいつまでも規制をかけ続けることはできません。子ども自身が危険性を理解し、自律して使えるようにしていかなければなりません。

 ……とはいえ、現状ではまだ娘からスマホを取り上げている段階で、改めてどうルールを作るかというのは、私自身の大きな悩みでもあります。
 世界で広がるスマホ規制の動きを見ながら、今日はそんな私の思いを綴ってみました。みなさんは、子どものスマホ利用についてどう考えますか?

<文/大木優紀>

【大木優紀】
1980年生まれ。
2003年にテレビ朝日に入社し、アナウンサーとして報道情報、スポーツ、バラエティーと幅広く担当。21年末に退社し、令和トラベルに転職。旅行アプリ『NEWT(ニュート)』のPRに奮闘中。2児の母
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