もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう
まず秋クール最初に口火を切るのは、この秋、大きな期待が寄せられている『もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう』(10月1日スタート/フジテレビ系、水曜よる10時~)です。群像劇の名手である脚本家・三谷幸喜が、25年ぶりにゴールデン・プライム帯の民放連続ドラマの脚本を手掛けます。
しかも主演は、三谷とは大河ドラマ『鎌倉殿の13人』以来2度目のタッグとなる菅田将暉。二階堂ふみ、神木隆之介、浜辺美波ら、三谷作品初出演となるキャストも魅力的です。
個性豊かな登場人物たちによるコミカルな会話劇が真骨頂の“三谷”らしい脚本を、旬の俳優たちが演じるなんて贅沢!見逃すわけにはいきません。
じゃあ、あんたが作ってみろよ
第26回手塚治虫文化賞・新生賞受賞作家・谷口菜津子氏の同名作をドラマ化する『じゃあ、あんたが作ってみろよ』(10月7日スタート/TBS系、火曜よる10時~)も期待大!
原作を愛読する筆者ですが、ダブル主演の夏帆×竹内涼真の両名ともに役柄にぴったりの印象で、それだけでも楽しみ!自分が“当たり前”と思っている価値観が他人には受け入れられないことは、誰もが経験したことがあるはずです。
そんな自身の“当たり前”を疑いながら、周囲ともぶつかり合いながら、二人が成長していくラブコメディはキャストも含め良作の予感がします。
ザ・ロイヤルファミリー
秋クールの日曜劇場『ザ・ロイヤルファミリー』(10月12日スタート/TBS系、日曜よる9時~/原作:早見和真氏同名小説)は、珍しい題材ながら濃厚な人間ドラマが楽しめそうです。
おすすめの理由は、超豪華キャスト×演出家の最強タッグ。キャストは公開中の映画『宝島』も話題となっている妻夫木聡を主演に、目黒蓮(Snow Man)、佐藤浩市、松本若菜、沢村一樹、小泉孝太郎、高杉真宙、津田健次郎、吉沢悠などなど、日曜劇場らしい実力派ばかりです。
そして演出を務めるのが塚原あゆ子氏。『グランメゾン東京』『MIU404』『最愛』『海に眠るダイヤモンド』などの名作を生み出し続けている塚原氏は、テンポの良い物語展開の中にも、しっかりと心情描写を美しく映し出す名手です。
ドラマでは稀な競馬という題材を通して、どんな熱いヒューマンドラマで魅せてくれるのか。今からワクワクします。
ぼくたちん家
同じく日曜放送の『ぼくたちん家』(10月12日スタート/日本テレビ系、日曜よる10時30分~)は、まったく異なるテイストで、これまた面白そうな作品です。
そして波多野が偶然出会うのは、人生にも恋にも冷めきっているクールなゲイの中学教師・作田。こちらを手越祐也が演じます。さらに、中学3年生の“トーヨコ少女”・ほたる役には白鳥玉季が抜擢されています。
白鳥は、朝ドラ『とと姉ちゃん』で子役デビューし、『凪のお暇』『テセウスの船』『極主夫道』など、印象深い役柄を次々と演じてきた実力派。可愛らしさよりも、どこか大人びた独特の存在感を持つ女優です。そんな彼女が演じる“ワケあり少女”が、ゲイの二人と家を買って一緒に暮らす――という、なんとも奇妙な設定。
だからこそ、主要キャスト3人の“化学反応”が、このドラマ最大の見どころになりそうです。さらに、脇を固める俳優陣――田中直樹、井之脇海、渋谷凪咲、久保田磨希、土居志央梨、坂井真紀、光石研、麻生久美子――の安定感も抜群。
心がふっと温かくなる、日曜夜にぴったりのホームドラマになりそうです。
ちょっとだけエスパー
筆者的に最も期待しているのが、脚本家・野木亜紀子×主演・大泉洋で制作される『ちょっとだけエスパー』(10月21日スタート/テレビ朝日系、火曜よる9時~)。
しかも唯一無二の俳優・大泉洋が主演ですから。主人公の文太は、会社をクビになったどん底サラリーマン。そんな文太がある会社の最終面接に合格し、与えられた仕事は“ちょっとだけエスパー”になって世界を救うことです。
しかも実に不条理で不可解なルールがあって、“人を愛してはならない”とか。大泉は理不尽な目に遭えば遭うほど輝きを放つ俳優さんなので、面白くなるイメージしか湧きません。
さらに、文太の見知らぬ妻を演じる宮﨑あおいをはじめ、岡田将生、ディーン・フジオカ、北村匠海、高畑淳子、宇野祥平らが出演。見たことのないような展開が楽しめそうで、とにかくスタートが待ち遠しい作品です。
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他にも、草彅剛主演の『終幕のロンド ―もう二度と、会えないあなたに―』(10月13日スタート/カンテレ制作・月曜よる10時~)をはじめ、注目作が続々登場します。
劇場版へとつながる完結編・第5シーズン『緊急取調室』(10月16日スタート/テレビ朝日系・木曜よる9時~)、シリーズ最新作で新たな主人公・沢口靖子が登場する『絶対零度~情報犯罪緊急捜査~』(10月6日スタート/フジテレビ系・月曜よる9時~)など、話題作が目白押しです。
この秋も、見応えのある連続ドラマがしっかりとラインナップ。2025年の締めくくりに、胸が熱くなるような作品に出会えますように。
<文/鈴木まこと>
【鈴木まこと】
日本のドラマ・映画をこよなく愛し、年間でドラマ・映画を各100本以上鑑賞するアラフォーエンタメライター。雑誌・広告制作会社を経て、編集者/ライター/広告ディレクターとしても活動。X:@makoto12130201