そんな中、待望のシーズン3が2025年9月25日から配信スタート。世界87か国でトップ10入りするなど早速注目を集めていますが、今シーズンでは名バイプレイヤーの大倉孝二さんがその有能ぶりを発揮しています。
※本記事にはNetflixドラマ『今際の国のアリス』シーズン3の内容に一部触れています。未視聴の方はご注意ください。
注目のシーズン3、新たな顔ぶれと大倉孝二の存在感
『今際の国のアリス』は麻生羽呂さんによる原作漫画を映像化したドラマ。異次元の東京を舞台に、プレイヤーたちが生死をかけた理不尽なデスゲームに参加させられるという作品です。2020年に全世界に配信されて人気を博したシーズン1と2では、主演の2人に加えて村上虹郎さん、町田啓太さん、森永悠希さん、三吉彩花さん、金子ノブアキさん、青柳翔さん、渡辺佑太朗、柳俊太郎さん、仲里依紗さんなど売れっ子の若手俳優が集う顔ぶれでした。
今シーズンでは新たに賀来賢人さん、池内博之さん、須藤理沙さん、玉城ティナさんらが出演しています。複数のキャラクターが登場し、デスゲーム以外にもさまざまな人間ドラマが交錯するのが魅力のドラマですが、本作でひときわ強い存在感を放っている新キャストが大倉孝二さんです。
ストーリーの歯車を動かす“万能キャラ”の妙技
真面目で良い人やその辺にいそうな人から刑事や医師、ちょっとクセのある悪人までさまざまな役を演じてきた大倉さん。そんな大倉さんは本作で薬物中毒者のテツを演じています。短気で口が悪いものの、どこか憎めない役どころです。
まずテツはその無鉄砲な性格ゆえに真っ先に行動を起こします。これはデスゲームで滞りがちなストーリー展開やゲーム全体のルール把握をスピーディーに進めてくれるため、非常に重要な役割を果たしています。
また、初めはテツが仲間を口悪く罵ったり、自分勝手な行動で周囲を困らせたりするものの、次第に打ち解けて仲間になっていく胸アツな展開も。これもゾンビ作品あるあるで、登場人物たちの絆を深める演出に欠かせません。
さらに、ゾンビ作品によくある「医者がいない状況で何らかの手当てや手術をしなければならない」という場面でもテツが活躍します。このようにデスゲームやゾンビ作品で必要不可欠な役回りを大倉さんが1人で担っているのです。
緊迫感の中に笑いを生む絶妙な“コメディリリーフ”
中でも最も「大倉孝二ここにあり」と視聴者を唸らせるのがコメディリリーフとしての立ち回りです。映画や演劇作品において緊迫した場面で緊張を和らげる役割をコメディリリーフと言いますが、本作では大倉さんがその役割を1人で担い、作品全体に絶妙なアクセントを加えています。
そのため朝比奈さんの関西弁やツッコミなどは作品全体を雰囲気を和ませるというより、仲間内での会話劇の延長という印象が否めませんでした。
こうした中でシーズン3では、大倉さんがシリアスな場面でふざけたり、視聴者をクスっとさせる場面が多数見られます。大倉さんの絶妙な表情やセリフ回しはほどよく笑いを誘い、悲劇的で重苦しい雰囲気一辺倒になりがちなところに一瞬和ませてくれています。
コメディリリーフが過剰であったり俳優のスキルが不足していたりすると、作品の世界観を壊す可能性がありますが、シーズン3では彼の演技力によって絶妙なバランスが保たれています。その信頼は、まさに大倉さんの演技力と存在感を製作側が認めている証でしょう。
見映え・存在感・演技力…すべてが唯一無二のバイプレイヤー

笑いを提供しつつ、複数の登場人物が錯綜する中で進行上の重要な役割を担える、大柄で映像的にも見映えがあるという点で、大倉さんの存在感は唯一無二かもしれません。今後もこうしたデスゲームやゾンビ作品などでの大倉さんの活躍を期待させてくれるものでした。
「大倉孝二が薬物中毒者を演じる」と言うだけでも一見の価値がある『今際の国のアリス』シーズン3。実際に見てみると、役を演じる演技力だけでなく、作品の世界観やストーリー展開を支える名バイプレイヤーっぷりに驚かされるはずです。
<文/エタノール純子>
【エタノール純子】
編集プロダクション勤務を経てフリーライターに。エンタメ、女性にまつわる問題、育児などをテーマに、 各Webサイトで執筆中