お笑いコンビ・千鳥の大悟が、女優の綾瀬はるかと共に是枝裕和が原案・監督・脚本・編集を務めるオリジナル映画『箱の中の羊』で主演を務めることが発表された。2026年に公開予定とされ、大悟は映画初主演という重責を担うことになる。


是枝監督といえば、『そして父になる』『海街diary』『万引き家族』『ベイビー・ブローカー』『怪物』など、数々のヒット作を生み出している名監督。『万引き家族』はカンヌ国際映画祭で最高賞のパルム・ドールを受賞するなど、海外で多くの作品が評価を受けている。

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『箱の中の羊』も世界を視野に入れた作品だと予想されるが、演技経験があまりない大悟が主演で大丈夫なのか――?

「意外とイケる」?大悟の過去作に見る可能性

そんな大悟だが、これまで『OUT』などいくつかの映画に脇役として参加している。また、Netflixで配信された『トークサバイバー!シリーズ』でもドラマパートで演技を披露。意外に表現力が高いことで知られるが、是枝作品の主役というのはかなりハードルが高い。

とはいえ、今回のキャスティングは、非常に絶妙で大悟が俳優として大化けする可能性を秘めていると考える。

最初に、『箱の中の羊』のストーリーを簡単に説明しよう。作品の舞台は少し先の未来で、人間そっくりのロボット‟ヒューマノイド”を息子として迎え入れた家族の物語が描かれる予定。建築士の妻・甲本音々を綾瀬が演じ、その夫で工務店の2代目社長・甲本健介を大悟が担当する。

まず、工務店の2代目社長という設定が大悟のキャラにピッタリで、ハマり役になりそうな予感がある。公開されている写真を見ても人間味あふれる人物のようで、大悟が演じやすい役になりそうだ。

“自然体”を武器にできる是枝監督との化学反応

「セリフ覚えなくても…」千鳥・大悟が“映画主演”に抜擢のワケ。演技経験の乏しさを凌駕する“人間味”とは
画像:株式会社AbemaTV プレスリリース(PRTIMES)
さらに、是枝監督との相性も大悟にとってプラスに作用しそうだ。是枝監督といえば、これまで『誰も知らない』を筆頭に、意外性あるキャスティングをすることで有名。演技経験が乏しい芸能人や子役を起用することも多々あり、セリフを口頭で伝え演技してもらい、自然な表情やリアクションを作品に活かしているとされる。


ちなみに大悟は、監督から「きっちりセリフ覚えなくても、僕が現場で耳打ちする感じでそれをそのまま自分なりにやっちゃってください」と言われたことを明かしている。この「是枝式」の演出があれば、大悟はセリフを覚える難題をクリアでき、リラックスして自然な演技ができる。

俳優としての経験値が少ない大悟は、是枝監督とのコンビで化学反応を起こす可能性が大いにある。また、綾瀬も共演者の魅力を引き立たせるのが上手な女優で、芸人である大悟にとって、最高の現場になっていることだろう。

大悟の“人間味”に是枝監督も太鼓判

「セリフ覚えなくても…」千鳥・大悟が“映画主演”に抜擢のワケ。演技経験の乏しさを凌駕する“人間味”とは
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そんな大悟について、是枝監督は「存在感があり、歩き方が独特で、人間味があってすごくいい顔」と評価している。現在、多くのレギュラー番組を持ち、老若男女から愛されている千鳥。特に大悟は、人間臭い性格と言動で人気を集めてきた。

例えば、かつて放送された『ヤギと大悟』(テレビ東京系)では、ロケ先で出会う人たちとの心温まるふれあいを見せている。そういった個性が映画の役でも活かされそうで、さらに好感度を高めることになるだろう。是枝監督の演出が加われば、大悟の良い部分がブラッシュアップされ、まさに国民的な人気を獲得するのではないだろうか。

大悟の俳優としての覚醒が見られそうな『箱の中の羊』だが、作品が想定通りにヒットすれば、役者としての活躍は広がっていくと予想される。現在では、ドラマや映画で芸人が演技をするのが当たり前になりつつある。秋ドラマでも『じゃあ、あんたが作ってみろよ』(TBS系)のラランド・サーヤを筆頭に、さまざまな作品に芸人が登場している。


この流れを受け、大悟が俳優として起用される動きも活発になるだろう。勘の良い大悟なら、ドラマでも活躍できるポテンシャルは持っていると考える。俳優として大ブレイクする未来も、そう遠くないと推測する。

国民的芸人から国民的俳優へ?進化する大悟像

「セリフ覚えなくても…」千鳥・大悟が“映画主演”に抜擢のワケ。演技経験の乏しさを凌駕する“人間味”とは
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かつて、明石家さんま、ビートたけし、志村けん、笑福亭鶴瓶、浜田雅功、内村光良など、多くのレジェンドたちが、お笑いだけでなく俳優としても高い評価を受けてきた。大悟もその流れに乗る可能性は十分あり、『箱の中の羊』がターニングポイントになることは間違いない。

果たして、俳優として本気モードの大悟が、是枝監督や綾瀬からのバックアップを受けてどんな演技を見せるのか。来年の公開に期待したい。

<文/ゆるま小林>

【ゆるま 小林】
某テレビ局でバラエティー番組、情報番組などを制作。退社後、フリーランスの編集・ライターに転身し、ネットニュースなどでテレビや芸能人に関するコラムを執筆
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