突然ですが、お酒は好きですか? 「毎晩飲んでいます!」という方もいれば「嗜む程度に……」など人それぞれですよね。もしかしたら、体を気遣って控えていることもあると思います! ちなみに筆者は、梅酒のお湯割りが好きです(笑)。


お酒を飲み続けると「腸」に起こる“嬉しくないコト”3つ。腸を...の画像はこちら >>
「お酒は百薬の長」なんて言葉もありますが、最近ではその健康効果に疑問符が投げかけられることも増えてきました。そこで今回は、お酒(アルコール)を飲んだ時の腸内環境や体への影響について、最新の研究結果を基に解説します。ぜひ最後まで読んで参考にしてみてくださいね!

お酒の良いところ・メリット

冒頭でもお伝えした通り、昔は「少量のお酒は体に良いかも!」と考えられていましたが、今では否定的な研究結果も増えてきています。たとえば『ランセット』という医学雑誌で発表されたのは、健康によいアルコール摂取量は存在せず、アルコールは少量でも有害である、というもの(※1)。

お酒好きからすると、悲しい結果ですよね……。その上で、お酒のメリットになり得ることを2つ挙げてみました! まずは、アルコールの悪影響の前に、良いところを簡単に見てみましょう。

<血流が良くなる>
適度なアルコールは血管を広げ、血液の流れを一時的にスムーズにしてくれる効果が期待できます。寒い日に少し飲むと体がポカポカする、あの感覚ですね。

<緊張感を和らげる>
「飲みニケーション」という言葉があるように、お酒には緊張をほぐし、コミュニケーションを円滑にする力があります。人間関係のストレスは腸に悪影響を与えることもあるので、良好な関係を築くきっかけになる点は、お酒の良いところと言えるかもしれません!(結構むりやり感はありますが……笑)

知らぬ間に腸が荒れてるかも……お酒が引き起こす3つの悪影響

では、お酒を飲み続けると、私たちの腸や体には具体的にどんな変化が起こるのか? カリフォルニア大学などの研究を参考にすると、主に3つの影響が懸念されています(※2)。

お酒を飲み続けると「腸」に起こる“嬉しくないコト”3つ。腸を守る飲み方のコツも
お酒を飲みつつソファで横たわる女性
①腸内細菌のバランスが崩れる
私たちのお腹の中(腸内)には、多種多様な細菌が暮らしています。しかし、アルコールの慢性的な摂取は、そのバランスを大きく乱してしまうのです。良い働きをする細菌が減り、悪い働きをする細菌が優勢な状態に。この状態はディスバイオーシスと呼ばれています。


②腸のバリア機能が壊れる
健康な腸には、強力なバリア機能があります。ところが、アルコールとその代謝物(アセトアルデヒドなど)は、このバリアを直接的・間接的に傷つけてしまうのです。

その結果、腸のバリアに隙間ができてしまうことに。本来であれば体内に入るはずのない有害物質や未消化物、細菌などが血液中に漏れ出してしまう可能性があります。

③腸内細菌が血液中に侵入する
上記②の状態が進行すると、さらに悪循環が起こります。それは、本来腸の中にとどまっているべき腸内細菌が、壊れたバリアを通り抜けて血液中に侵入してしまう「細菌転座」と呼ばれる状態です。

血液中に侵入した細菌や、細菌由来の物質(LPSなど)は、全身を巡ってさまざまな臓器で炎症を引き起こしてしまいます。

筆者も以前、セルフ人体実験としてお酒を沢山飲んだ翌日に腸内細菌の検査をしたことがあるのですが、やはり普段とは違う細菌バランスになっていました……。

お酒を飲む人ほど快便? 便秘とアルコールの関係

ここまで聞くと、「やっぱりお酒は悪いことだけなの?!」と思われるかもしれません。ところがつい最近、その考えを少し覆すような、意外な研究結果が報告されたのです!

20歳以上の男女約1万4000人を対象に行われた大規模な調査で、毎日のお酒の摂取量と「便秘」の関係が調べられました。その結果……なんとお酒を飲む量が多い人ほど、便秘のリスクが低くなるという、逆の相関関係が見られたのです!(※3)

具体的には、お酒を全く飲まない人と比べて、最も飲酒量が多いグループ(1日40g以上)では、便秘になるリスクが約76%も低かったと報告されています。

もちろん「便秘にお酒が良い!」と言えるわけではありません。しかし、なぜこのような結果になったのか? 考えられる理由をいくつか見ていきましょう。


理由①:腸内の水分量が増える
アルコールには、胃酸や消化液の分泌を促す作用があります。これにより腸内の水分量が増加し、茶色の宝石(便)が柔らかく、スムーズに排出しやすくなった可能性が考えられます。

理由②:腸の動きが活発になる
アルコールは、腸のぜん動運動をコントロールする消化管ホルモン(モチリンなど)の分泌に影響を与える可能性があります。

個人的には、総合的にみるとデメリットの方が大きいと思うので、便秘を改善するためにお酒はおすすめできません……! ですが、一応メリットとも考えられるのかなと。

腸内環境を守る! 賢いお酒の飲み方とおつまみ選びのコツ

お酒を飲み続けると「腸」に起こる“嬉しくないコト”3つ。腸を守る飲み方のコツも
並べられたビールとお水
やはり大切なのは、お酒と上手に付き合うこと! 腸へのダメージを最小限に抑え、楽しくお酒を飲むための実践的なポイントを3つご紹介します。

・お水をセットで必ず飲む
アルコールには利尿作用があるため、飲んだお酒の量以上に水分が失われがちです。できるなら、お酒と同量以上の水を飲むように心がけましょう!

・食物繊維が豊富または低脂質なおつまみを選ぶ
今回はあまり触れていませんが、お酒の厄介な1つの点は、食欲を刺激するところ。「締めのラーメン」という言葉もありますからね……。そこで、ぜひおつまみには、食物繊維が豊富または低脂質なものを選びましょう!

お酒を飲み続けると「腸」に起こる“嬉しくないコト”3つ。腸を守る飲み方のコツも
あたりめとお酒
<腸活的おすすめのおつまみ>
食物繊維が豊富:枝豆、キムチ、アーモンド、高カカオチョコ
低脂質:あたりめ、するめいか、蒸し鶏、練り物

・お酒そのものを楽しむ
お酒とひとことに言っても、種類は様々ですよね。気をつけたいのが、糖類や人工甘味料が配合されているお酒です。どちらとも摂りすぎると腸内環境を荒らす可能性があるので、ぜひお酒を飲む時はシンプルなお酒を選ぶようにしましょう!

お酒と腸の関係! 上手な付き合い方で腸活しよう

今回は、お酒が腸内環境や便通に与える影響について解説しました。「便秘のリスクを下げる」という意外な可能性が示唆された一方で、慢性的な飲酒が「腸内細菌のバランスを崩し」「腸のバリア機能を破壊する」というリスクは、やはり無視できません!

やはり大事なのは、「飲む量」と「飲む頻度」。休肝日を設けたり、飲む量をコントロールしたり、おつまみを工夫したりすることで腸への負担は減らすことができます。
できる範囲で賢くお酒と付き合っていきましょう!

(※1)GBD 2016 Alcohol Collaborators「Alcohol use and burden for 195 countries and territories, 1990–2016: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2016」(2018)
(※2)Henriette Kreimeyer, Cristina Llorente, Bernd Schnabl 「Influence of Alcohol on the Intestinal Immune System」(2025)
(※3)Wen-Xing Chen「Daily alcohol intake and its negative association with constipation based on NHANES data 2005–2010」(2025)

<文/腸活の研究家ざっきー>

【腸活の研究家ざっきー】
腸活の研究家。「健康と体作りを後回しにしない」をモットーに、フォロワー11万人のInstagramでは、論文を元にした腸活情報や腸が整うレシピを発信中。Instagram:@zakii312、Twitter:@chokatu_zakii
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