お笑い芸人のシドニー石井さん(31歳)は、YouTubeチャンネル『僕らの別荘』のリーダー。令和ロマンの松井ケムリさんもメンバーの1人であり、現在は登録者数45万人以上を誇る人気チャンネルとなっています。


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 “友達が1万人いるアホ”を自称し、同名の個人YouTubeチャンネル(現在のチャンネル名は『シドニー石井ch【友アホ】』)を立ち上げたほど、「人間関係がカンスト(上限到達)している」という石井さん。「それは、いろんな立場を経験したからこそ」と語る、コミュニケーション力の原点を教えてもらいました。

芸人にならないというのは無理だった

――芸人になるという意思は、大学お笑いを経た後もずっと変わらなかったのでしょうか。

「というよりも、周りに芸人になると豪語しちゃっていたから、これでならないっていうのは無理だな、と。正直ヤバい、ヤバいと思ってはいました。ただ、NSC入学後でいえば、ある程度はやりやすい立ち位置にはありましたね。選抜クラスに入りつつ、学生時代から知り合いだった令和ロマンと一緒にいたりしつつ。あの2人も同じタイミングで入学していたんです」(シドニー石井さん、以下「」内同)

――令和ロマンの松井ケムリさんは、YouTubeチャンネル『僕らの別荘』のメンバーでもありますね。

「はい。『僕らの別荘』は、もともとライブから始まったんですよ。ケムリさんのほかに、NSCの同期だったこんの、作家としててっせーさんに入ってもらって。でも、コロナ禍に入ってからライブができなくて暇になっちゃったので、YouTubeでやってみようか、と。てっせーさんはそのタイミングで出る側にもなりました」

――芸人さん数名でのYouTubeチャンネルといえば、その当時すでに『板橋ハウス』がありましたよね。


「僕らも最初のコンセプトがまさに『板橋ハウスみたいなことをしよう』でしたからね。ちゃんと『板橋ハウス』の皆さんには許可を得ています。それでもテスト的に1回撮ってみたら、もう『板橋ハウス』すぎて! だからまずはショート動画からスタートして、TikTokにアップしました。そっちで登録者数が10万人を突破したので、YouTubeのほうでの投稿を始めたんです」

友達と呼べる人は2000人くらい

――そして2024年には個人チャンネル『シドニー石井ch【友アホ】』が始まりました。開設当時は『友達が1万人いるアホ』でしたが……。

「実際はさすがに1万人はいないので(笑)。それでも友達と呼べる人は2000人くらいはいますよ。会ったことがあるってレベルなら、1万人超えると思います」

“友達2000人”の31歳芸人が明かす「出会う人みんなと仲良くなる才能」。全方向の愛されキャラが生まれるまで
――ちなみに私の知人にも「石井さんと会ったことがある」という人がけっこういました(笑)。「人間関係がカンストした」とも語られるだけのことはありますね。

「友達の友達が友達になって……ということが繰り返されているんですよね。僕は誰と会っても、その人と考え方が違っていたとしても、基本は大丈夫なんです。物事の折衷案が人によって違うだけだと思っているので、自分がブレることもありません」

いろんな立場を経験してきたことが、人間関係の構築に活きている

――とはいえ、それで会う人会う人と友達になれるのは、一種の才能ですよ。

「それはいつも、この人はどこまで踏み込んで良くて、どこが琴線に触れるのかを考えているせいなのかもしれません。過去にはトラブルになったこともありますけど、試行錯誤の回数が多い分だけ今は間違えないようになりました。
初対面の相手に『なんだ、おまえ』と思われてはいけないし、その人との対話で何も生まないことも良くないと思っています」

“友達2000人”の31歳芸人が明かす「出会う人みんなと仲良くなる才能」。全方向の愛されキャラが生まれるまで
――でも、それだけでオールマイティからの愛されキャラを確立するのは難しいと思いますよ。

「う~ん……もしかしたら、いろんな立場を経験してきたことが、この人間関係の構築に活きているのかもしれません。幼少期は勉強やスポーツが得意で、周囲から“できる子”と見られていました。中高では逆に“いじられる側”に回ってみて、ピエロのように振る舞うことを楽しんでいたんです。でも、世の中の人は想像よりもピエロをピエロとしか思っていないんだな~と体感もしたんですよね」

――確かに真逆の立ち位置ですね。大学時代はどうだったのでしょうか。

「夜勤をやり出した頃なんかは、バイトの中では大学生という肩書きがあるだけでも上の立場になると気づいたりしました。浪人だったり、若手芸人だったり、本当に僕はいろんな立場になってきたので、なんとなくいろんな人の気持ちがわかるようになったのかなって今は思います」

『僕らの別荘』のメンバーで、シドニー石井の立ち位置は?

――数多いる友達の中でも、『僕らの別荘』のメンバーは特別な枠なのですか?

「そうですね。僕とケムリさんとこんのの3人はNSCの同期です。でも、もともとケムリさんは大学お笑い時代の先輩なんですよ。てっせーさんは作家として1年遅れて養成所に入ったのですが、彼も大学お笑いでは僕の先輩だったんです。だから僕はいまだに敬語を使っています」

――こんのさんだけが純粋な同期ということですか?

「僕にとってはそうなんですけど、こんのは社会人経験があるからメンバーの中でも一番年上なんですよね。だからてっせーさんだけは、こんのからすると芸歴も年齢も後輩にあたるんです。
それでも、面倒臭いからてっせーさんはみんなにタメ口オッケーってことになって。その流れで僕もみんなにタメ口でいいかなって思ったのに、許されなかった。今も許可が下りていません」

――その話を聞くだけで、石井さんの立ち位置が理解できますね(笑)。

「でも友達濃度としては、年々薄くなっていると思いますよ。4人で集まるとなると撮影しちゃうから、仕事の関係っぽくはなっているんです。他の仕事も忙しいケムリさんにとっては癒しの場なのかもしれないけど、僕の生活の中では別荘の比重が大きいので、どうしても仕事と捉えちゃう」

一番身近な“アンチ兼ファン”

――石井さんにとって『僕らの別荘』のメンバーはどういった存在なのでしょうか。

「一番の身近なアンチ兼ファン。温かくも厳しくも、僕をよく見てるなと思います。『もっとこうしてほしい』『こうした方がいいよ』とか、いつも言ってくれるんですけど、ありがたいと同時にアンチと似た構図だなって思っています。たぶん彼らにも『石井にはこうあってほしい』というものがあるんでしょうね。すべては愛ゆえだとは思いますけど」

――言い得て妙な気がしますね。アンチ兼ファン。

「愛は感じるんです。
そのうえで複雑ではあります。みんな僕に上手くいってほしいけど、そのままでもいてほしいような……。その気持ちに応えたくもありますが、今に見てろ!という感情もあるんですよ。どうせ一生の付き合いになると思うので、長いスパンでやっていきますけど(笑)」

明日も今日みたいな日だったら、それでいい

――石井さんは今年1月に、漫才コンビ・天秤を解散してピン芸人になっています。今後の芸人としての目標はありますか?

「これまでシドニー、うたたね、天秤という3つのコンビを組んでいたのですが、今後はピンでいくのか新しく相方を見つけるのか、迷っているところがあります。別荘以外の活躍の場を持つためにも、わかりやすい客観的な結果や知名度は上げるべきだとは思いますけど」

――絶賛お悩み中といったところでしょうか。

「個人的には、明日も今日みたいな日だったら、それでいいんですよね。だから、どうしていくのが一番幸せなのか、答えは出ていないです。ただ、最終的にお金持ちになって、保護犬の活動をできるようになりたいです。僕、実家で犬の介護を2年やって見送ってから、一人暮らしを始めたので。……ここ、(いい人)って書いておいてください」

――書いておきます。石井さん、イイ人ですね(笑)。


「それでよろしくお願いします(笑)」

【シドニー石井】
お笑い芸人。1994年生まれ東京都出身。吉本総合芸能学院(NSC)東京校23期生で、同期に令和ロマンやヨネダ2000がいる。YouTubeチャンネル『僕らの別荘』のリーダー。2024年からYouTubeチャンネル『シドニー石井ch【友アホ】』でも活動中。

<取材・文&撮影/もちづき千代子>

【もちづき千代子】
フリーライター。日大芸術学部放送学科卒業後、映像エディター・メーカー広報・WEBサイト編集長を経て、2015年よりフリーライターとして活動を開始。インコと白子と酎ハイをこよなく愛している。Twitter:@kyan__tama
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