「食べなければ痩せられる」――ダイエットをする時に誰もがそう考えるのではないでしょうか。しかしそう信じて努力しても、結果が出ないどころか、むしろ体重が増えてしまう。
そんな経験をしたことのある人は少なくないでしょう。

47歳主婦が3カ月で9キロ減!“食べない”をやめたらスルスル...の画像はこちら >>
今回お話を伺ったMさん(47歳)も、まさにそのひとりでした。Mさんはこれまで数々のダイエット法を試し、「食べない」「サプリに頼る」「単品だけ食べる」などの方法を取り組んできました。しかし、思うように痩せられないどころか、体重は年々増加。さらに健康診断の数値も悪化してしまい、生活を見直さざるを得ない状況になりました。

どうして?“食べていないのに痩せない”

Mさんも「食べなければ痩せられる」と信じていたひとりでした。朝食を抜く、昼を軽く済ませる、夜は食べてもほんの少しだけ。誰が見ても「ダイエット、頑張ってるね」と言ってくれるような生活をしていました。しかし、そんな生活を続けても体重計の数字は一向に減らないどころか、少しずつ増えていくばかりでした。

「食べていないのにどうして?という思いで、体重計に乗るたびに憂鬱な気持ちになりました。こんなに努力も我慢もしているのに、なぜ体重が減らないのか、なぜ増えてしまうのか。毎日疑問とストレスを抱えていました。頑張っているのに成果が出ないことが一番つらかったです」

食べない我慢と減らない体重への苛立ち。
こんなに頑張っているのに体重が減らないことで、ますます強くなる自己否定。「食べないのに痩せない」「食べたらもっと太るのではないか」といった思いから、食べることが怖くさえ感じるようになったそうです。

極端なダイエット法の落とし穴 ― 無理な食事制限とサプリ頼み

Mさんがこれまでに試してきたのは、極端な方法ばかりでした。ある時期は「これを飲めばきっと痩せられる」と、サプリに頼っていました。また別の時期はリンゴやヨーグルトだけ食べる単品ダイエットを取り入れてみたり、朝・昼は少食にして夜は食べないようにしてみたり。「とにかく少しでも食べる量を減らせば痩せられるはず」と信じていました。

「食べたら太ると思っていたので食事を抜けば体重は減るはずだと頑張っていました。痩せられないのは食べているせいだと思っていました。でも現実は違いました。無理な制限や我慢をしても、年齢を重ねるごとに体重は逆に増えていきました」

食べない生活では、一時的に体重が落ちることはあっても続けることができませんでした。むしろ疲れやすくなり、気持ちが不安定になることも。結果的にリバウンドを繰り返し、体調にも不安を感じる状態になったのです。

健康診断をきっかけに食生活を見直す

47歳主婦が3カ月で9キロ減!“食べない”をやめたらスルスル痩せた、その理由とは?
1016_ダイエット②
決定的なきっかけは、健康診断でした。数値の悪化を医師に指摘され、これまでの生活を見直さなければならないと痛感しました。
そこで初めて、「食べないことを頑張る」のではなく、「食べ方を変える」ことを意識するようになったのです。

無理な制限でやみくもに自分を追い込むのではなく、自分の身体としっかり向き合い、必要なものをきちんと摂ることの大切さに目を向けました。

「これまでは、ただひたすら制限するばかりで、自分を追い詰めるような苦しい方法しか知りませんでした。」

実践したのは、特別な食品や高価なアイテムに頼ることではありません。

・1日3食を欠かさず食べること
・主食のご飯をしっかり摂り、たんぱく質を意識して摂取すること
・毎食、必ず野菜を取り入れること
・こまめに水分補給をすること
・夜だけ糖質を控えめにすること


といった、無理のない調整を心がけました。また、ご飯をもち麦入りにするなどの工夫も取り入れています。

3か月で9kg減。家族と一緒に取り組めた理由

頑張りすぎず、基本的なことを丁寧に続ける。それだけで、身体は確かに応えてくれると感じました。

「ダイエット中だからと自分だけ特別メニューにせず、家族と同じ食卓で無理をしない工夫をしました。そのことで自然と夫や子どもも野菜やたんぱく質を多く摂るようになり、家族全員が健康的になったのは予想外のメリットでした。子どもも身長が伸びた気がします。」

47歳主婦が3カ月で9キロ減!“食べない”をやめたらスルスル痩せた、その理由とは?
1016_ダイエット③
食事の改善を始めて3か月。体重は62kgから53kgへと9kg減少。
体脂肪率も33%から27%へと6ポイント低下し、健康診断で指摘されていた数値も正常な範囲まで改善しました。

「数字が変化したのもうれしかったですが、それ以上に体が軽くなり、気持ちも明るくなりました。日常生活が楽になったことを実感しています。あんなに我慢や制限をしても苦しいだけで何も変わらなかったのに。大事なのは食事を制限することではなく、改善することだったんだと身に染みて感じました」

完璧でなくてもいい。“無理しない”で続けることが大事

無理な制限をせず、家族と同じ食事を楽しめたこと。これまでのように「食べたいのに我慢する」ストレスや「食べたらまた太ってしまう」という不安がなかったこと。それによって継続できたことが嬉しい結果につながったのだといいます。

今回の体験でMさんが強く感じたのは、「完璧でなくてもいい」ということでした。「以前はダイエットといえば、我慢や完璧主義が当たり前だと思っていました。でも、多少のゆらぎがあっても、身体の声を聞いて続けていれば結果はついてくる。そう考えられるようになってから、気持ちがとてもラクになりました」

食べないことで成果が出ずに苦しんできたからこそ、続けられる方法に出会えた意味を強く実感できたのです。
40代以上になると「代謝が落ちているのでは」「以前より痩せにくい」と感じる人は多いものです。その焦りから、さらに食事を減らす方向へ進んでしまいがちです。

しかし今回の体験が示すのは、むしろ逆でした。ご飯やたんぱく質をきちんと食べ、身体に必要な栄養をしっかり摂ること。無理のない形で継続することで、身体も生活も大きく変わるということでした。何か特別なことをしなくてもいいし、完璧でなくても大丈夫。大事なのは無理せず、焦らず、続けられることを続けること。

食べないことで苦しむのではなく、毎日の食卓を少しずつ整えていく。その積み重ねが、体も心もラクにし、結果として体重や体脂肪の変化につながるのかもしれません。

<文/おにゃ>

【おにゃ】
料理研究家・ダイエットカウンセラー。アラフォーからアラカンまでー10kg超えの女性が続出する、3か月のダイエットプログラム「エイジレスウェルスプログラム」(LINE)を主宰。インスタ「おにゃ|食べ痩せ専門家/40代からのゆる糖質オフ」。
近著に「#おにゃ式 食べてやせるレシピ」、「炭水化物とタンパク質で50代が続々10㎏以上やせ!たんタンダイエット」
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