お笑い芸人・有吉弘行が、『第76回NHK紅白歌合戦』で3年連続となる総合司会を務めることが発表された。11本を超えるレギュラー番組を抱え、いまや“国民的MC”の一人と称される存在だ。
その一方で、人気の高まりとともに発言への注目度も増しており、業界内では“好感度の高さゆえのリスク”を指摘する声も上がり始めている――。

国民的MC・有吉の“バランス力”に高まる評価

「最大の落とし穴…」紅白3年連続司会・有吉弘行、“お笑いBI...の画像はこちら >>
有吉といえば、現在は『有吉の壁』(日本テレビ系)や『有吉のお金発見 突撃!カネオくん』(NHK総合)など、11本以上のレギュラー番組を各局で抱える人気芸人だ。そのうえ、紅白で3年連続の司会を担当することになり、まさに国民的MCの一人といっても過言ではない。

そんな有吉の魅力だが、最も大きいのは“バランス感覚”の良さだろう。かつて猿岩石として一世を風靡した後に、長らく低迷期を経験したのは有名な話。その後、毒舌を売りにしたあだ名芸などで再ブレイクし、着実にMCとしての評価を高めて現在の地位を築き上げた。

毒舌キャラだった時代には、大物芸能人にも怒られないギリギリのラインを見極めるさじ加減を発揮し、人気を獲得。その経験があるからこそ、有吉は視聴者に不快感を与えにくい絶妙な距離感を保つバランスを身につけており、今の“好かれる芸風”へとつながっている。

たとえば、ラジオ番組『有吉弘行のSUNDAY NIGHT DREAMER』(JFN)では現在も毒舌や下ネタを披露している一方で、小さな子どもも視聴する『有吉の壁』や『有吉ゼミ』(いずれも日本テレビ系)では、角の立たないキャラクターに徹している。

また、深夜枠の『有吉クイズ』(テレビ朝日系)では下ネタを全開にするなど、番組の性質に応じてキャラクターを巧みに使い分ける柔軟さも評価されている。そのバランス感覚は他の芸人と比較しても秀でており、『紅白歌合戦』のような国民的番組で司会を任される理由の一つになっているのだろう。

“ポストBIG3”へ? 業界内で高まる存在感

「最大の落とし穴…」紅白3年連続司会・有吉弘行、“お笑いBIG3”に迫る男に囁かれる“弱点”とは
画像:株式会社BS朝日 プレスリリースより(PRTIMES)
そんな有吉だが、紅白の司会を3年連続で務めることにより、今後は「お笑いBIG3」やダウンタウン、ウッチャンナンチャンといったレジェンドと並び称される存在になるのでは、という声もテレビ業界関係者の間で聞かれる。

「これ以上はレギュラー番組が増やせなさそうだが、いまだに特番や新規の番組の会議では、有吉さんの名前が一番に挙がる。紅白の司会を複数年務めることで好感度もさらに上がり、CMスポンサーからの受けも非常に良い。
有吉さんをMCにできれば、いまやどんな企画でも番組になると言われているほど

現在の影響力で言えば、全盛期のBIG3に匹敵する勢いがあるとも言われており、ダウンタウンやウッチャンナンチャンに並ぶ存在感を放っています。それほどまでに、有吉さんのMCとしての実力は、テレビ業界で絶大なものとなっています」(民放関係者)

高まる好感度が招く“炎上リスク”

「最大の落とし穴…」紅白3年連続司会・有吉弘行、“お笑いBIG3”に迫る男に囁かれる“弱点”とは
画像:株式会社マイナビ プレスリリースより(PRTIMES)
一方で、人気と好感度が高まるほどに、発言や言動への注目度も高まり、プレッシャーも増している。有吉に対して“危うさ”を感じる声も業界内では上がり始めているという。

たとえば、有吉は9月6日放送の『有吉の夏休み2025』(フジテレビ系)で、タレントの野呂佳代に対する体型いじりがSNSで物議を醸した。さらに、9月21日放送のラジオ番組では、行きつけの飲食店で店員から失礼な対応を受けたと発言したことが一部ネットユーザーにより“店探し”につながり、ちょっとした騒動になっている。

また、有吉がメインMCを務めた『オールスター後夜祭’25秋』(TBS系)では、出題されたクイズの内容に対して、広末涼子の事務所が抗議する場面もあった。なお、これについては有吉個人の責任ではないが、結果的に番組が注目されるきっかけにもなった。

テレビ偏重のリスクと“弱点”の存在

「最大の落とし穴…」紅白3年連続司会・有吉弘行、“お笑いBIG3”に迫る男に囁かれる“弱点”とは
画像:株式会社 中国放送 プレスリリースより(PRTIMES)
紅白の司会を務める存在としては、今年に入って何かと立て続けに騒動を起こしている印象だ。有吉に死角があるとすれば、ラジオをはじめとする「攻めた番組」での言動だろうとテレビ関係者は明かす。

「有吉さんのラジオ番組は、放送中の発言がすぐネットニュースに取り上げられる。切り取りが炎上につながることもあり、本人にとっては最大の“落とし穴”とも言える。また、野呂さんの件のように、有吉さんの好感度が高くなりすぎたことで、過去なら問題視されなかった発言でもすぐに指摘されるようになった。今後は、より“清廉潔白なキャラ”を求められる場面も増え、窮屈になる可能性もある。


さらに、意外な点では配信番組での存在感があまりないという指摘もある。千鳥やかまいたちなどは、ABEMAやNetflixで人気番組を持ちますが、有吉さんは基本的に配信番組に出演しない方針だという。いまは影響がないですが、テレビの人気がさらに低下した際に、一緒に消えて過去の人になる可能性もあります」

紅白の司会を3年連続で務め、芸人としての存在感をさらに高めている有吉。現在の立ち位置はまさにトップクラスだが、同時にその人気ゆえの“弱点”やリスクも見え隠れしているようだ。

<文/ゆるま小林>

【ゆるま 小林】
某テレビ局でバラエティー番組、情報番組などを制作。退社後、フリーランスの編集・ライターに転身し、ネットニュースなどでテレビや芸能人に関するコラムを執筆
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