10月15日、「NHK紅白歌合戦」(NHK)に3年連続出場している11人組の人気男性グループJO1の大平祥生さんのスキャンダルが世間を駆け巡りました。本命彼女と、所属事務所の後輩である11人組女性グループ「ME:I」のSHIZUKU(飯田栞月)さんとの二股疑惑が一部週刊誌によって報じられたのです。


“妹分”との二股報道が引き起こした衝撃

報道されたのはJO1の大平祥生さんが一般女性と交際しているものの、ME:IのSHIZUKUさんとも恋愛関係にあるという二股交際でした。JO1の所属事務所はLAPONEエンタテインメント、ME:Iの所属事務所はLAPONEエンタテインメントのガールズ部門であるLAPONE GIRLSです。

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つまりME:IはJO1にとって同じ事務所所属の妹分の後輩グループ。この報道を受け、大平さんもSHIZUKUさんもともに事務所が「重大な規定違反」として活動休止を発表しました。

この報道に対してネットやSNS上では「本気交際ならまだしもデビューして間もない妹分に浮気相手として手を出すなんて」と大平さんへの批判が最初は多く集まっていました。

SHIZUKUさんに関しても、デビュー前は宝塚音楽学校を目指していた現役音大生のお嬢様として知られており、「恋愛経験の少ない箱入り娘がチャラ男に本気になっちゃったのかな」「いきなり華やかな芸能界に入って勘違いしたのでは」とアイドルとしての資質を問う声も多く寄せられていました。

批判の矛先は事務所へ――「プロ意識の教育は?」

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JO1 画像:吉本興業株式会社 プレスリリースより(PRTIMES)
そうした中で勃発していたのが所属事務所への批判です。「数年前まで素人だった若い子にプロ意識を持たせる教育を事務所はしていないの?」「社内恋愛が常習化しているとしたら事務所の問題」といった批判が殺到。それもそのはず、LAPONEエンタテインメントおよびLAPONE GIRLSにはこれまでも「所属グループを管理できていない」という前例があるからです。

そもそもLAPONEエンタテインメントは吉本興業と韓国のCJ ENMの合弁会社として2019年に設立。オーディション番組『PRODUCE 101 JAPAN』のアーティストのために作られた会社であり、最初の所属アーティストが2020年にデビューしたJO1。現時点では他にINIなども含めてすべてオーディション番組から誕生したグループが所属しています。

LAPONE GIRLSは、オーディション番組『PRODUCE 101 JAPAN THE GIRLS』から誕生したME:IとIS:SUEの2組を所属させています。つまり、ついこの間まで素人だった10代の若者たちが多く所属しているグループのスケジュール管理や運営を担当する芸能事務所ということです。


なぜ止まらない?ME:Iで続く“休養の連鎖”

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ME:I 画像:株式会社NTTドコモ プレスリリースより(PRTIMES)
しかし、2024年にデビューしたばかりのME:IとIS:SUEに関しては、ともにデビュー直後に最年少のTSUZUMIさんとRINさんがそれぞれ体調不良によりすぐに活動休止を発表しました。当時は2人の年齢やキャリア不足などもあって活動休止は心配の声とともに受け止められていました。しかしその後、今年に入ってもME:Iは最年長のCOCOROさん、サブリーダーのRANさんが体調不良や治療のため活動休止に。

また、TSUZUMIさんが今年8月末に1年ぶりに表舞台に復帰したばかりというタイミングでSHIZUKUさんのスキャンダルと活動休止が発表されました。さらに今回の騒動に影響されたのかは不明ですが、10月18日にはKOKONAさんが体調不良につき『Rakuten GirlsAward 2025 AUTUMN/WINTER』の出演をキャンセル。ME:Iは11人組にも関わらず7人でのイベント出演となりました。

さらにJO1もメンバーの鶴房汐恩さんが今年5月末にオンラインカジノ利用が発覚して活動休止に。現在は復帰していますが、後に賭博容疑で書類送検され、8月には単純賭博罪で略式起訴。東京簡易裁判所から罰金10万円の略式命令が出ました。

素人からプロへ――必要なのは売り出しより教育

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JO1 画像:株式会社NTTドコモ プレスリリースより(PRTIMES)
オーディション番組から誕生したグループというのは、すでに一定の人気や知名度、話題性がある状態でのデビューになるため、売り上げがある程度見込めるメリットがあります。しかし、この間まで素人だったメンバーたちの教育や管理も所属事務所に求められる責任です。

もちろんアイドルたち本人の努力は絶対に必要です。しかし体調を崩させるような過密スケジュールを組み、プロ意識を植え付けないまま、プライベートな行動を制限しなければ、当然ながらアイドルグループとしてうまくいくはずがありません。

特にデビューしてわずか1年半で5人もの活動休止者を出しているME:Iは異常事態と言えます。
さらに今回は「アイドル同士の(純愛ではない)社内恋愛」という状況ですから、事務所の怠慢を指摘されてもやむを得ないのではないでしょうか。

NiziUの安定した活動と成功の背景

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NiziU 画像:HJホールディングス株式会社 プレスリリースより(PRTIMES)
今回の騒動ではME:Iの存続を心配する声も多く聞かれています。その中で少なからず比較されるのが、同じようにオーディション番組から誕生したK-POP路線の9人組ガールズグループNiziUです。しかしNiziUは2020年のデビュー直後こそMIIHIさんが体調不良により活動を休止しましたが、2か月後に復帰しました。それ以来メンバーは9人欠けることなく、恋愛スキャンダルもなく活動。

今年2月にリリースした1stミニアルバム『AWAKE』がチャート1位を獲得したことでアルバム1枚目から4作連続1位を獲得し、女性グループでは史上3組目の偉業も達成しました。さらに今年9月からは全国21都市で全32公演の全国ホールツアーも開催中です。

高いクオリティの歌とダンスに加えて、スキャンダルもなく、メンバー9人が絆を深めながら同じ目標に向かって前進している姿が固定ファンをしっかり掴み、アーティストとして安定期に入っています。

それもそのはず、NiziUの所属事務所である韓国大手のJYPエンターテインメントでは、シンガーソングライターでもある代表のパク・ジニョン氏が「3年間恋愛禁止」「会社のルールを守らなければ活動させない」「練習生のときから厳格な自己管理」といった事務所ルールを守らせていることも有名です。

事務所のプロ意識と教育体制の重要性

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TWICE 画像:株式会社第一興商 プレスリリースより(PRTIMES)
実際にJYPエンターテインメントの看板アーティストであるTWICEも活動休止をしたメンバーもいましたが、ここまで9人誰も欠けることなく、先日デビュー10周年を迎えました。恋愛事情が報道されたメンバーもいましたが、事務所のルールは守り、さらにアイドルとしてたしかな実力を見せている中での報道だったためにファンからは応援の声も多かったです。

JYPエンターテインメントのアーティストを見ているとグループとして息が長いだけでなく、メンバー同士の仲の良さや絆、ファンや周囲への感謝の気持ちが溢れている姿が印象的です。これは単に「事務所のルールを守る」「言われたことをすればいい」ということではなく、自分たちの行動がファンに何を感じさせ、パフォーマンスに繋がり、グループ全体や他のメンバーにどんな影響を及ぼすのかを理解しているためだと推測できます。


それは自身もプロのアーティストとして芸能やアイドル業界を知り尽くした、代表のパク・ジニョン氏がもつプロ意識と精神性の賜物でしょう。

止まらないK-POPブームやオーディション番組の盛り上がりに、多くの芸能事務所が力を注ぎたいと思うのも当然です。しかし、この間まで素人だった若者へのアイドル教育ができていない事務所がグループを量産しても、結果的にファンのみならず、メンバーの人生をも狂わせてしまう可能性があるのではないでしょうか。

今回のJO1とME:Iの騒動で所属事務所の怠慢が露わになってしまった感は否めません。スキャンダルの当人たちはもちろん、他のメンバーたちへのケアや教育、グループとしての方針転換などこれからの事務所の方向性には注視していきたいところです。

<文/エタノール純子>

【エタノール純子】
編集プロダクション勤務を経てフリーライターに。エンタメ、女性にまつわる問題、育児などをテーマに、 各Webサイトで執筆中
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