近年はタレントとしてのイメージよりも、真っ先に俳優業での活躍が思い浮かぶユースケ・サンタマリアさん(54歳)。昨年のNHK大河ドラマ『光る君へ』での安倍晴明役や、映画版の公開も発表されたドラマ『全領域異常解決室』など、多くの作品でユースケさんにしか出せない存在感を放っています。


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現在公開中の映画『ストロベリームーン 余命半年の恋』では、余命半年を宣告された娘・萌(當真あみ)を、優しく気丈に支え続ける父・桜井康介を演じています。自身も今年、父親になったばかりのユースケさんの目には、康介がどう映ったのか、お話を伺いました。

『ストロベリームーン』に尻込みした理由

オファーが絶えない54歳人気俳優、出演映画のタイトルに“しり込み”したワケ 「汚したくないという気持ちでいっぱい」
1024_ユースケ・サンタマリアさん
――素敵なお父さんでした。

ユースケ・サンタマリアさん(以下、ユースケ):この映画を汚したくないという気持ちでいっぱいでした。

――えっ、汚したくない?とても素敵なお父さんでしたよ。

ユースケ:だって、タイトルからしてね、「ストロベリームーン」ですよ。最初、タイトルだけで尻込みしました。なんて可愛らしくてロマンチックなタイトルなんだろう、と。そして物語のメインは若い子たち。でも、お父さん、お母さんの存在も必要不可欠ということだったので、このような映画になったわけですけど、変なノイズにはなってはいけないと。それで最初に覚悟を決めて、「とにかく優しいパパを!」とね。「こんなパパがいてくれたら」と誰もが羨むような父親を目指して演じました。

なんだかんだ、“優しい人”がいちばん強い

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1024_ユースケ・サンタマリアさん
――ユースケさんご自身としては、康介さんはどんな父親、男だなと感じましたか?

ユースケ:いまおっしゃったように、“男だな”と思いましたね。僕らの世代って、「男は歯を食いしばって涙を見せないものだ」っていうイメージを叩き込まれて育ったんです。
康介って、一見ふわっとしているように見えて、実は本当に“男”なんですよ。それも、ものすごく強い男。「こんな人になれたらな」と思わせるような人間です。なんだかんだ言って、本当に優しい人って、実はものすごく強いんだと思います。

――そうですね。

ユースケ:娘が余命いくばくもないと言われていて、体調を崩すたびに「もしかしたら…」と覚悟しなきゃいけないような状況って、普通ならとても平常心ではいられないはずです。それなのに、あの穏やかな状態を保ちながら、すべてを胸の内に押し込めて生きている。普通だったらパニックになりますよ。でも康介も、妻の美代子(田中麗奈)も、娘も、みんな本当に強い。そう感じましたね。

無理くりにでも「にやり」と笑いたい

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1024_ユースケ・サンタマリアさん
――ユースケさん自身は、どういう人でありたいですか?

ユースケ:僕は普段から「人生でユーモアが一番大事だ」と言っています。ただ、周囲からもユーモアがある人間だと思われている分、パニックになったりすると後から反省することが多いんですよね。それこそパブリックイメージ通りの人間でいられればいいのにと思います。
追い込まれた時にも「にやり」と笑えるやつというか。そういう男でいたいと昔から思っているんですけど、やっぱり余裕がないと「にやり」はできない。

――たしかにそうですね。

ユースケ:余裕がなくても、それを周りに悟られたくないし、自分を持っていくためにも、無理くりにでも「にやり」と笑えるくらいの精神力が欲しいです。追い込まれているのに、「面白いことになってきたな」と口にするとかね。小さなことから大きなことまで、人生ってどうしたって苦境に立たされるシチュエーションもあります。でも、そうしたときに「にやり」とできると、一拍考える余白にもなると思います。

家がうまくいく秘訣は…

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1024_ユースケ・サンタマリアさん
――桜井家には「悲しい顔をしたらマイナスポイント」という家族ルールが登場します。ユースケさんがお子さんの頃には、何か家のルールはありましたか?

ユースケ:ノンルールです。ノンルールというルール。両親が働いていて、夜に僕と弟だけでいるということも多かったので、「これやっちゃダメ、あれやっちゃダメ」といったものが何もなかった。だから今みたいになっちゃった(笑)。

――現在のユースケさんのご家庭のルールは?

ユースケ:僕の家は妻がルールです。
それに100%従う。それでいいのか?と感じることもありますが、結局はそれが一番うまくいくと思うんです(笑)。

健康の秘訣は“おばあちゃんの知恵袋”

――現在、50代ですが、年齢を重ねたことで心身に変化はありますか?

ユースケ:めちゃめちゃありますよ。あからさまに疲れやすくなってるし。

――(笑)。

ユースケ:でもね、実はそれってあまり分からないようにもできてるんですよ。人間っていきなりバン!と老けるわけじゃないから。徐々に年齢を重ねているから、緩やかに疲れやすくなってくるんです。「あれ、オレ、疲れやすくなってんじゃね?」と考えたときに、初めてそれが発覚する。ってことは、本当はそういうことは考えないほうがいいのかもね(笑)。

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1024_ユースケ・サンタマリアさん
――現在、なにか健康のためにしていることはありますか?

ユースケ:朝、起きたら白湯を飲みます。

――いいと聞きますね。
ちゃんとやっているのは偉いです。

ユースケ:まずうがいをしてね。起きてすぐコップ1杯の水を飲むというのは、絶対にダメですから。まずは口の中のバイ菌をうがいでちゃんと出して、それから白湯を飲む。もう10何年とやってます。あとはお風呂にも絶対浸かります。シャワーじゃなくて、湯船につかる。それと、朝と夜に水浴び。

――ひとつひとつは昔から言われていることでも、それをちゃんと毎日されているんですね。

ユースケ:結局ね、おばあちゃんの知恵袋的なことなんです。「なんとなく体調が悪いなぁ」と思っている人って多いと思うんですけど、白湯と水浴びと、しっかり湯船に浸かること。これで変わります。
あ、あと、納豆を食う。できれば大根おろしとお酢を少し加えるのがおすすめです。

<取材・文・撮影/望月ふみ ヘアメイク/池田真希 スタイリスト/藤本大輔(tas)>

映画『ストロベリームーン 余命半年の恋』は全国公開中
(C) 2025「ストロベリームーン」製作委員会

【望月ふみ】
70年代生まれのライター。ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画系を軸にエンタメネタを執筆。現在はインタビューを中心に活動中。@mochi_fumi
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