田中さんは、余命半年と宣告されてしまう當真あみさん演じる主人公の桜井萌の母、桜井美代子役。
脚本の10ページ目くらいから涙
田中麗奈(以下、田中):最初に脚本をいただいて読んだ時、10ページ目くらいから泣いてしまいました。後半になるにつれて、もう号泣です。脚本の岡田惠和さんとの相性もよかったと思うのですが、自分の子どもが余命宣告された方も実際にいらっしゃると思いますし、自分の子どもの健康が当たり前ではないこともすごく分かります。キツイですが自分の娘に重ねて考えてくこともありました。
――母親の桜井美代子というキャラクターは、どう受け止めて演じましたか?
田中:彼女は一番に娘の萌の人生を考えていて、萌の笑顔のために生きているというか、彼女がやりたいこと、彼女が納得できるような人生を手助けしたいと思っているんです。ちゃんと青春をしたい、高校生活を楽しみたいという目標が出来たり、恋をしたいなど、希望を持てたことがうれしかったんだろうなと思いますし、同時に悲しく辛い気持ちもあると思いますが、それはそれで自分の中で処理しようとしている人だなと思いました。
――強く生きようとしている姿は、多くの方の共感を呼びますよね。
田中:わたしも母親なので感情移入しますし、実際に同じような立場になった時に美代子みたいに言えるのかなと思ったりもしました。今こうして思い出しても涙が出てきてしまうくらいですが、役を演じている間は本当に美代子だったので、現場でもふっと気を緩めると涙が出てしまうことがありました。監督と打ち合わせをしている時に涙が止まらなくなることもよくありました。
俳優の仕事の楽しさとは?
田中:共演する相手とのセッションが、盛り上がっていく感じが楽しいですよね。「今のお芝居、いいところいったね」とか、やっぱりお相手がいて成り立っているものだと思うので、目の前の人とコミュニケーションが取れて、自分でも思わぬ展開になっていったり、その場の空気は見えないけれど見えるような感覚になっていったり、そういう瞬間が楽しいです。
――今回で言うと、當真あみさんとのセッションも多かったと思いますが、共演の印象はいかがでしたか?
田中:あみちゃんは本当に白い服が似合うんです(笑)。自分の中では萌そのままだなと思っていて、ふわふわしていて、ピュアで真っ直ぐで、頑張り屋さんで、あみちゃんと萌はとてもつながっているようなイメージです。
「暗くなってしまうのは辞めようよ」と言う萌と、あみちゃんが持っている持ち前の明るさがリンクしていて、本当に素敵な方でした。今回、ご一緒できてうれしかったです。
――長く俳優の仕事をされていますが、大切にしているモットーはありますか?
田中:人様のお役に立ちたいという想いがまずあります。やっぱりエンタメですので、人様に刺激を与えられたり、人を楽しませたりできるような人になりたいですし、わたし自身もわくわくしたいという想いもありますので、突き進みたいですね(笑)。また、そうしないといけないですし、想像以上を超えていかないといけないと思うんです。まだやったことない役もありますし。
「人間じゃない役もやってみたい」
田中:漫画原作の役に興味を持っていて、人間じゃない役もやりたいです(笑)。コミカルなこともやってみたいなと思うし、映画などで1年、2年準備して初めてやれるような特殊な技術が必要な役もやってみたいと思います。身体が動く限り、チャレンジしていきたいです。
――そのためにも40代、どういうことに気をつけて過ごしていますか?
田中:ありきたりな答えですが、健康がまず大事ですよね。身体は動きやすいほうがいいし、自分なりに続けられるような運動みたいなことはしたほうがいいと思います。
わたしは走ることが好きなので、筋トレしたり、ジムに行ったり、自分の身体を動きやすく、いい状態にすることが大事だと思っています。
子育て世代にも観てもらいたい
田中:掃き掃除や草むしりを日課にしていたら、とても気持ちがいいんですよね。家の中をきれいにすることはもちろんなのですが、家族のためにちょっとでもみんなが気持ちよくなることをすることは、いいことかなと思っています。
――最後になりますが、読者のみなさんに一言お願いいたします。
田中:女子SPA!読者のみなさんは、わたしと世代が近いと思いますので、このタイトルを聞いて女子高生の余命わずかな恋物語で、若者たち向けの映画かなと思う方もいるかもしれないですが、主人公の両親のストーリーもしっかり描かれているんです。
だからお子さんがいらっしゃる方はお子さんと一緒に観てほしいですし、ママにもきっと胸に響く映画だと思います。試写で映画を観た男性の方で目を真っ赤にして試写室を出ていく方も多くて、パパ、ママ世代も観ていただける作品です。
<取材・文/トキタタカシ>
【トキタタカシ】
映画とディズニーを主に追うライター。「映画生活(現ぴあ映画生活)」初代編集長を経てフリーに。故・水野晴郎氏の反戦娯楽作『シベリア超特急』シリーズに造詣が深い。主な出演作に『シベリア超特急5』(05)、『トランスフォーマー/リベンジ』(09)(特典映像「ベイさんとの1日」)などがある。
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