木村文乃とラウール共演ドラマ『愛の、がっこう。』(フジテレビ系、2025年)は、今年最大の話題作の一つだが、純愛物語の伴奏役を担った主題歌「Spiral feat.Yura」も注目の楽曲だった。


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 Yuraとのデュエット曲として主題歌を担当したレイニ。今年デビューしたばかりの大型新人アーティストだが、ミステリアスな存在感が大きな話題になっている。

 男性俳優の演技を独自視点で分析する“イケメン・サーチャー”こと、コラムニスト・加賀谷健が、時代が求めるアーティスト・レイニを解説する。

ミステリアスな雰囲気が話題に

 2025年、赤楚衛二主演ドラマ『相続探偵』(日本テレビ系)主題歌でメジャーデビュー後、各メディア掲載記事やテレビ出演でその存在感がぐんぐん目立ってきた。ぐんぐんよりじわじわといった方がたぶん正確かもしれない。

 何せレイニが醸す雰囲気が極めてミステリアス。透明感あるビジュアルから繊細なアーティスト像がはっきり伝わるものの、どこか物憂げな表情が何かを秘めている。そしてその秘めたものをこちらに簡単には開示してくれない。どんなパーソナルなんだろうと気になる。

 メディア掲載記事を読めば、16歳でアメリカに留学していたなど経歴が書かれていて、ミステリアスな雰囲気の謎が少しずつ明らかになる。

 2025年は名作と大評判だったドラマ『愛の、がっこう。』主題歌も担当した。ぐんぐん目立ち、活躍の場を広げながらじわじわ話題になるという不思議な魅力がある。


所属事務所社長が「うちの秘蔵っ子」と形容

『Tristone Fan Fes 2025 ~UNDOKAI~』で赤楚衛二とレイニによるパフォーマンスも話題になった。二人が所属するトライストーン・エンタテイメント社長の小栗旬は、レイニをこう形容している。

「うちの秘蔵っ子」。事務所にとっても秘められた才能であるレイニを万全の仕上がりでデビューさせた。

『愛の、がっこう。』主題歌「Spiral feat.Yura」を生披露した『DayDay.』(日本テレビ系)初出演(9月30日)では、MC山里亮太が「お父さまと同じ音楽への道」と話題を広げていた。

「お父さま」とは徳永英明である。レイニという名前は、1986年リリース、徳永のデビューシングル「Rainy Blue」に由来しているらしい。

 名曲タイトルがアーティスト名になり、温存された「秘蔵っ子」の才能が、新たな歌声を響かせる。歌声はどんどん豊かに洗練され、レイニの存在感に磨きがかかる。

 最新インタビュー(『entax』掲載)でレイニは「Spiral feat.Yura」のレコーディングにふれ、「もっと歌いたい」と思っていたことを吐露している。

時代が求めるアーティスト

 新たな才能光る若い逸材を事務所とレーベル(レコード会社)がどうやって売り出すのか。メジャーデビューさせるタイミングは事務所なりレーベルがじっくり見定めるものだし、各社によって売り出し方も当然違う。


 ただ、アーティスト本人の重要な才能としてその時代ごとに求められる資質は共通している。

 才能と資質がうまく噛み合い、しかるべきタイミングで売り出されるか。ここが重要。メジャーデビュー後の今、レイニはまさに時代が求める才能と歌声の持ち主だったと事後的に語ることはできる。

 時代の要請に応えながら、自由な音楽性を追及していける環境にもある。上述した最新インタビューで「もっと歌いたい」と語る清々しい言葉は、今のレイニの率直な気持ちを理想的に言い表したものだろう。

「Spiral feat.Yura」の八分の六拍子が心地よく、歌声が前へ前へ進んでいく。主題歌としてはドラマ各話のクライマックスに置かれ、その後の展開を盛り上げた。

 木村文乃演じる教師とラウール演じるホストが紡ぐ恋物語に対して主題歌が伴奏した。

 活動領域を広げる中での俳優仕事も注目すべき。レイニ出演作『グラスハート』(Netflix、2025年)では、主人公たちのライバルとなる音楽ユニットのメンバーを演じ、熱狂的なリスナーの声援に応えるライブ場面などがあざやかだった。

 レイニは、現実でもドラマの世界でも時代が求めるアーティストなのだ。


<文/加賀谷健>

【加賀谷健】
コラムニスト/アジア映画配給・宣伝プロデューサー/クラシック音楽監修
俳優の演技を独自視点で分析する“イケメン・サーチャー”として「イケメン研究」をテーマにコラムを多数執筆。 CMや映画のクラシック音楽監修、 ドラマ脚本のプロットライター他、2025年からアジア映画配給と宣伝プロデュース。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業 X:@1895cu
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