では、容姿いじりを徹底的に自主規制することで問題を解決しようとする昨今の風潮は完全に正しいのでしょうか?
炎上する「容姿いじり」──格闘キャストの一件から見えるもの
ボクシングや総合格闘技の人気YouTubeチャンネル「格闘キャスト」の出演者が、女性格闘家でRIZINスーパーアトム級王者の伊澤星花選手を「見た目もブサイク、性格もブサイク」と発言したところ炎上。伊澤選手と同じジムに所属する総合格闘技界のスーパースター、朝倉未来選手が訴訟の準備を示唆したり、「格闘キャスト」のスポンサーが降板したりする事態となっています。一連の動きを受け、「格闘キャスト」はXの公式アカウントで謝罪に追い込まれました。<容姿に関する発言は決して許されるものではなく、私自身の軽率な言動が多くの方々を不快にさせてしまったことを真摯に受け止め、深く反省しております>とのコメントを発表しています。
スポーツ界に限らず、このような容姿いじりの是非は女性お笑い芸人やバラエティタレントなどでもたびたび議論となってきました。
その都度、過度なルッキズムへの批判や、多様性を重んじる時代の流れもあり、コンプライアンスの側面から価値観がアップデートされてきた背景があります。そのため、近年では容姿いじりに該当するような言動はしないのが当たり前という前提ができあがっています。
これに照らし合わせると、『格闘キャスト』の一件も致命的な失言であり、格闘競技を評論するのに全く必要のない言葉だったと言わざるを得ません。
「言わないだけ」では解決にならない?
だとすれば、そうした感性に強制的に蓋をして見て見ぬふりをすることは、かえって美醜や容姿に対する偏見が心にすりこまれることにはならないでしょうか?
つまり、言葉に出さないことがかえって容姿いじりに対する陰湿な感情を肥大させることにつながらないだろうか?という疑問です。
ここで、いくつかのエピソードをもとに、“容姿いじりをしてはいけない”という形式的なスローガンが、本当に救いとなり得るのかを考えたいと思います。これは男女に共通した話です。
山下達郎も語る「ルックスで選ぶ道」
では、人は自分の見た目とは無関係に好きなことを自由にできるのか。“容姿いじりをしてはいけない”という呼びかけには、これに対する道徳的な異議を含んでいるからです。そこで思い出すのがシンガーソングライター、山下達郎のエピソードです。日本を代表するポップス職人で妥協を許さない繊細で正確な作風を誇る山下氏ですが、一方でパンクロックやハードなロックを好んで聴くことでも知られています。
<ほんとはだから、運動神経ぜんぜんダメなんですね。ブラバンだったという事もあり、運動全くダメなので。バク宙とかね、そういうのが出来たら、もっとメタルなものとか、お化粧系…じゃかなわないかな、ルックスはアレだから。>
冗談めかしてはいますが、それでも山下氏は重要な指摘をしています。
つまり、山下氏は自らの容姿に対して冷静な距離を持てたからこそ、自分自身の限界を知ることができた。それゆえに、他に広がる金脈を発見することができたわけです。
美醜の現実を直視する──福田恆存の警告
俗に言うイケメンや美女という褒め言葉も、このような区別が社会に厳然として存在していることの裏返しだと言えます。どれだけ見た目で判断してはいけないと言おうとも、逆にそのように建前を強化すればするほど、美醜のフィルタリングは固定化されていくのです。PUFFYの「とくするからだ」という曲は、まさにその身も蓋もない事実を歌っています。
<例えば才能とてもある 二人を見くらべよう 片方はまあまあ ひとりはグー どっちが雇われる 女の人に限った話はしていないよ 男の人に限って うろたえる>(詞・奥田民生)
これはシェイクスピア作品などの翻訳で知られる批評家、福田恆存に通じるところです。福田は、人が見た目で判断されても仕方ないことを次のように言っています。
<なるほど、美醜によって、人の値うちを計るのは残酷かも知れませんが、美醜によって、好いたり嫌ったりするという事実は、さらに残酷であり、しかもどうしようもない現実であります。それを隠して、美醜など二の次だということのほうが、私にはもっと残酷なことのようにおもわれるのです。
もちろん、人格が努力でどうにでもなりうるものなら、その程度に、顔の美醜も持主の自由意志に属するものなのであります。同時に、美醜が生れつきのもので、どうにもならないものだというなら、おなじように、人格といわれるものも、どうにもなるものではなく、やはり生れつきのものだといえましょう。>(『私の幸福論』 ちくま文庫 p.16)
福田が否定しているのは、“容姿いじりをしてはいけない”という言葉に含まれる、“人は内面で判断すべき”という理想論です。そして、見た目と内面を切り離して評価できるほど、人間は都合良くできていないということも言っているのです。
以上を踏まえて、形式的に、まるで法律遵守のように容姿いじりを禁じ合う社会が本当に健全なのでしょうか? それは他者を傷つけないことよりも、感性を抑圧することでチープな安心を細々と分かち合う貧しい社会になってしまう可能性はないでしょうか?
確かに「格闘キャスト」はミスを犯しました。しかし、その間違いが必要以上に炎上したことは、言葉と感性を極めて甘く見ている現代社会のいい加減さ、つまり欺瞞を映し出しているのです。
<文/石黒隆之>
【石黒隆之】
音楽批評の他、スポーツ、エンタメ、政治について執筆。『新潮』『ユリイカ』等に音楽評論を寄稿。『Number』等でスポーツ取材の経験もあり。いつかストリートピアノで「お富さん」(春日八郎)を弾きたい。
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